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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

起業をつうじた社会課題解決⑥

~ カンボジアの農業課題と女性零細農家のエンパワーメント~

笹川平和財団


2024.10.09

【CamAgro-Foodの創業者ソッキムさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】

 笹川平和財団は2022年度より、カンボジアで起業家支援の「Cnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム」を実施している。このプログラムは、2021年度にミャンマーのVC、Emerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発したSanthit(サンティット:革新)アクセラレータープログラムをモデルにしており、世界的に有名なアーリーステージに投資を行うVCであるVillage Capitalのカリキュラムを採用している。

 「Cnai」とはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、このプログラムはジェンダー視点[i]を重視し、女性起業家が男性起業家と対等に参加できる公平な学びの場を提供している。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。2023年末から始まった第二期では、昨年度からのパートナーである、アジア開発銀行(ADB) Frontierに加え、カンボジア政府機関のクメール・エンタープライズ、米国政府機関のHarvestIII(ハーベスト・スリー)、オーストラリア政府機関のCAPRED(キャプレッド:Cambodia Australia Partnership for Resilient Economic Developmentの略)が新たに共同パートナーとして参画している。このことにより、Cnaiコミュニティづくりや展示会の実施、カリキュラムの拡充を行うことができた。多くのパートナーを巻き込むことで、コレクティブインパクトを生み出している好例であると言える。第一期に続き、今回、第二期のファイナリストの起業ストーリーや課題、ビジネスにかける思い、そしてビジネスを通じてどのように社会課題の解決に貢献しているかについてお話を伺った。
 
[i] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。
 
 第二期生の二人目の起業家として、2023年に設立された、CamAgro-Food(カムアグロ・フード)の若き女性CEO、ソッキム・イム( Soukhim Im)さんにお話しを聞いた。同社は、カンボジア観光業の拠点シェムリアップに点在する零細農家から、レモングラス、生姜、ターメリック、モリンガ、唐辛子などの原材料を買い取り、加工販売している。カンボジアにとって農業は依然として重要なセクターである。アジア開発銀行によると、カンボジアの人口の約7割が農村部に住んでおり、農業は国民総生産の約20%、総雇用の約30%を占めている。サービス業や他の産業の急速な発展により、雇用の80%を占めていた農業セクターは2022年には37%にまで減少したものの、それでも女性の雇用や生計を支える重要な役割を果たしている。第一期生として参加したSRFMやAgro Agapeなどをはじめとして、カンボジアでは農業セクターで起業する女性が多く、女性が多く占める零細農家の経済的エンパワーメントに貢献している。

- CamAgro-Foodを設立した経緯や思いを教えて下さい。

【CamAgro-Foodの加工工場に立つソッキムさん】

 カンボジアでは、適切な時期に農作物が収穫・管理されないため、多くの農作物が廃棄されています。一方で、必要な時期には海外からの輸入に頼らざるを得ない状況です。自然栽培を行っている零細農家は市場がないことで苦しみ、農業を辞めてしまうこともあります。この自然から享受する農産物という資産を活用し、農作物の廃棄と輸入依存という問題を解決するために、CamAgro-Foodを設立しました。
 
 私は首都プノンペンで化学工学を学んだ後、欧州委員会(EC)の奨学金を受けてフランス、スペイン、イタリアの大学で食品工学、オーガニック基準、食品生産、農作物生産マーケティングなどについて学びました。大学院では職歴のある人が多く、インターンシップの経験しかなかった私にとっては非常にハードな環境でしたが、多くのことを学びました。大学院留学から帰国後、食品セクターに大きな課題意識を持ち、誰かの下で働くのではなく、自分の信念に従って取り組みたいという思いから起業を決意しました。現在、加工場や販売スタッフを含め、11人の従業員を抱えています。

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

【Cnaiのワークショップに参加するソッキムさん(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

 Cnaiのことは、Linkedinの告知で知りました。その後、第一期生のBoran careの創業者と知り合いになり、Cnaiについて知りました。この時、ほぼ締切日間近でした。応募に際して、全ての教材を読み、提出しました。Cnaiは私にとって初めてのアクセラレータープログラムでした。大学院では需要と供給に関する価格設定等に関して学んだことはありましたが、ビジネスの全体像についての知識は不足していました。Cnaiのカリキュラムは非常によく設計されており、多くの課題を通じて学びました。特に、サプライチェーンの課題は非常に複雑で、何に焦点を当てて行けばいいのかよく分かっていなかったのですが、Cnaiが使う、OKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)アプローチは非常に有効で、会社の目標とその達成方法が明確になりました。また、デジタルマーケティング、エクセル上級、顧客関係管理(CRM)、人事管理などの講座も非常に有益でした。授業以外でも、他の参加起業家から多くのことを学びました。Cnaiのファンディングにより乾燥機を購入し、乾燥能力が昨年に比べて3倍になりました。また、マーケティング活動を通じてブランドの認知度が向上し市場も拡大しました。その結果、月の売上が5000ドルに達しました。Cnaiに参加したことで、プロフェッショナルとして成長し、アイデアの検証や実現ができるようになりました。

- 女性起業家として困難を感じたことはありますか?また、Cnaiへの参加を通じて、ジェンダーについて学んだことはありますか?

【零細農家の女性。自宅の裏庭でモリンガや生姜、レモングラスを栽培している。】

 正直なところ、女性起業家としてこれまで大きなチャレンジを感じたことはあまりありません。むしろ、Cnaiのようなプログラムで優遇されていると感じることが多いです。しかし、大学入学前は、女性が科学やエンジニアリングの分野に進むことはあまり推奨されていませんでした。そのため、大学時代は男性が多い環境で学んできました。正直、私はジェンダー視点に関する知識もほとんどありませんでした。女性への差別を無くすこと、というぐらいの認識でした。しかし、Cnaiに参加することで、経営者としてハラスメント防止の徹底や、脆弱な立場にいる人たちを守るために、経営者として方針を打ち出すことが必要だということが分かりました。また、創造性を最大限に引き出すためには、男女のバランスが取れた多様性のあるチームが重要だと学びました。もともと、支援する零細農家の約70%が女性でしたが、Cnaiに参加してビジネスを拡大できたことで、その数も150に増加し、女性農家の割合も85%に増えました。カンボジアの田舎では雇用機会が少ないため、農家の女性たちは、臨時の支出がある時にCamAgro-Foodに原材料を売ることで、臨時収入を得ているという人もいます。
 

- CamAgro-Food次のステップを教えて下さい。

【ソッキムさんと零細農家の女性、Cnaiチーム(写真:Cnai Accelerator Program提供)】

 私はアグリビジネスに大きなポテンシャルを感じています。現在、輸出の可能性を模索しており、パイロット事業を実施したいと考えています。弊社は原材料の供給に集中し、輸出は輸出業者に任せることで、資本集約的なリスクを抑えながら、需要と供給のバランスをうまく取ることができると思います。また、国内市場の拡大も視野に入れています。
これまで、まずは供給を確保し、その後で需要(顧客)を探そうと考えていましたが、Cnaiを通じて、市場を最初に特定することが重要だと学びました。今後は、市場ニーズをしっかりと見極めた上で事業を進めていきたいと思っています。
 
 カンボジアの小規模農家は一生懸命働いているにもかかわらず、依然として脆弱な立場にいます。私たちは小規模農家に寄り添い、能力強化の機会を提供することで、農家の収入向上やコミュニティの社会経済開発に貢献したいと考えています。また、食の安全と基準に沿った質の高い食品を提供することを目指しています。

- 編集後記

 ソッキムさんは、プノンペン工科大学で化学工学を学び、9割が男性という理系の環境で奮闘してきた。アカデミックな実績のある彼女を支えるのは、経営や農業の実務経験が豊富な2人の男性共同創設者である。この強力なチームが、CamAgro-Foodの成長を支えている。大学卒業後、一旦企業に勤めず、直接起業という手段を選んだソッキムさん。強い信念と専門性を持ち突き進む彼女の挑戦をこれからも応援していきたい。

第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)
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