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第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)

【女性起業家の挑戦】起業を通じた社会課題解決 第二回 - カンボジア産コーヒーにかける思い

~ 女性零細起業家支援と地産地消のコーヒービジネス AGRO AGAPE(アグロアガペ)~

笹川平和財団


2023.11.24
16分

【AGRO AGAPE(アグロアガペ)の創業者 女性起業家のスレイポブ・ タン(Sureipouv Tan)さんとカフェの従業員】

【カンボジア Cnai アクセラレータープログラム】
 
笹川平和財団が、2022年度よりカンボジアにおいて実施しているCnai(チェナイ:革新)アクセラレータープログラム。2021年度にミャンマーのベンチャーキャピタル(VC)であるEmerging Market Entrepreneurs (EME)と共同開発した「SanThit(サンティット:革新)」アクセラレータープログラムをモデルとし、世界的に有名なアーリーステージの起業家への投資を行うVCであるVillage CAPITALのカリキュラムを採用している。カンボジアでは、パイロット事業として第一期を現地パートナーのCambodia Investors Corporation(CIC)、アジア開発銀行(ADB) Frontier、EMEと計4組織で協働実施した。Cnaiはクメール語で「革新・イノベーション」という意味で、ジェンダー視点[1]を持ち、女性起業家でも男性起業家と対等な立場で参加できるよう、公平な起業家育成の場を提供している。カンボジアの起業家支援エコシステムの中では、投資家が実施機関となり、ジェンダー視点を有しているという点で革新的な取り組みだ。参加起業家はステージごとに選抜され、ファンドを受け取り、伴走支援を受けながら事業を拡大させていく。今回、最終選考に残った4社は、図らずとも全て女性起業家が率いている。彼女たちに、それぞれのストーリーや課題、ビジネスにかける思い、また彼女たちがビジネスを通じて、いかにカンボジアの女性のエンパワメントに貢献しているかについて話を伺った。
 
[1] Cnaiアクセラレータープログラムの対象は女性だけでなく男性起業家も含むが、プログラムの設計段階から、ジェンダー視点を有している。例えば、本アクセラレーターのホームページのイメージキャラクターは女性起業家だ。またCnaiのホームページでは、ジェンダーに配慮した言語表現や書きぶりを徹底している。また、多くの起業家支援プログラムは大人数の前でのピッチイベントを実施するが、社会的に人前で話す機会が限られてきた女性には不利となりうる。本プログラムでは、起業家の参加態度とプログラムへのコミットメントを最も重視している。またピッチも大人数に対してではなく、数人の審査員の前で、プレゼンテーションを15分、質疑応答の時間を30分とするなど、実際に投資家と話す際に起こりうる状況を再現している。また、参加起業家は、ジェンダー指標を設定し、事業の実施を通じ、いかにジェンダーへのインパクトを出せるかが審査の際に考慮される。

【スレイポブさん スレイボブさんのカフェで】

 カンボジアの首都プノンペンに降り立つと、いたるところにカフェがあるのが目に留まる。米国のスターバックスや、タイのアマゾン(AMAZON)カフェなどの海外のチェーン店から、カンボジアの最大手チェーンである、ブラウンコーヒー(Brown Coffee)をはじめ、ローカルのカフェから、コーヒースタンドまでコーヒーが市民の生活の中に溶け込んでいる。カンボジアでは、モンドルキリ州を中心にごく少量のコーヒーが栽培されているだけで、カンボジアで消費されている90%のコーヒーを輸入に頼っているという。第2弾となる今回は、プノンペンの観光客にも人気のスポットであるロシアン・マーケットの近くにカフェを構えている「AGRO AGAPE(アグロアガペ)」の創業者、女性起業家のスレイポブ・タン(Sureipouv Tan)さんだ。

 コーヒー豆の栽培から、農家からの買い取り、研修、焙煎、そしてコーヒー豆のカスを使い、肥料を作り農家に販売している。「Farm to Table, Table to Farm(農場から食卓へ、食卓から農場へ)」をモットーに掲げ、地産地消のコーヒー生産のサプライチェーンの一連の流れを担っている。また、彼女はこれまで女性起業家として、様々な障壁にぶつかってきたことで、他の女性、特に女性零細企業家への支援に情熱を燃やしている。

- AGRO AGAPE(アグロアガペ)を創設した経緯について教えて下さい。

【観光客に人気のロシアン・マーケットのそばにあるスレイポブさんのカフェ(写真提供:Agro Agape)】

 私の叔父がカンボジア西部のココン州でコーヒー農園を経営していますが、市場がないために、コーヒーが収穫されず、全て地面に落ち破棄されていました。コーヒー豆は育つのに3年もかかるのに、売れないため、収穫されず、木が伐採されてしまうのです。カンボジアではこのような話はコーヒーだけではなく、マンゴーなどの他の農産物でも見られ、農家は苦境にたたされています。皮肉なことにカンボジアは、多くの農産物を輸入に頼っており、コーヒー豆に至っては9割が輸入品です。多くのコーヒー農家は、収穫できたコーヒー豆をベトナム企業に販売します。豆を買い取ったベトナム企業がベトナム産コーヒーとしてコーヒー粉末を作り、カンボジアにまた売るということが起きています。また仲介人がいて、農家は搾取されています。このような状況を何とかしたいと思いましたが、当時の私にはコーヒーの知識が全くありませんでした。そんな時、友人に、叔父のコーヒー農園の話をしたところ、コーヒーの焙煎ができる人を紹介してもらい、その方から学ぶことになりました。併せて、インターネットやYouTubeを見ながら勉強を重ね、小さなコーヒーマシーンを購入し、最初のコーヒーショップを2018年に子供の学校の近くにオープンしました。その後、観光客に人気スポットのロシアン・マーケット横の店舗を2020年にオープンしました。

 カンボジアでは、一般的に女性が子供の世話をすることが期待されていますから、子供を育てながらビジネスをするために学校の近くに出店しました。人を雇い、お店を回していくビジネススキルを身に着けるために、女性零細起業家を支援する団体である、She Investments(シーインベストメンツ)のインキュベーションプログラムに奨学金を得て参加しました。私はビジネスの経験が何もないところから始めましたが、のちにビジネスパートナーとなる経験豊富なパーク(Park Juonkwons)さんに出会えたことは幸運でした。

- AGRO AGAPE(アグロアガペ)のビジネスモデルを教えて下さい。

 AGRO AGAPE(アグロアガペ)はカンボジア産コーヒー生産のサプライチェーンの一連の流れを担っています。私は自分のコーヒー農園を所有していますが、地元のコーヒー農家に対し、コーヒーの質を上げるための研修と太陽光乾燥機を提供し、質の高いコーヒー豆を買い取っています。その豆を卸売りで販売したり、カフェで提供しています。また、コーヒー豆のカスからバイオ炭の肥料を作り、これをコーヒー農家に販売しています。バイオ炭は土壌施用することによって二酸化炭素(CO2)の削減や、農地の土壌改良にも効果があると言われていて、環境保全にも貢献することができます。このように、豆の生産からカスの再利用までにかかわることで、カンボジア産コーヒーのサプライチェーン全体に利益を生み出すことを目指しています。

【スレイポブさんの農園(写真提供:Agro Agape)】

(写真提供:Agro Agape)

- Cnaiアクセラレータープログラムへ参加することになった経緯と、これまでの学びで印象的だったことを教えて下さい。

 Cnaiアクセラレータープログラムについては、Linkedinで募集を見て、やってみようと思いました。過去にShe Investments(シーインベストメンツ)のプログラムに参加しましたが、Cnaiでは、オンライン上で、マーケティングやファイナンスの知識だけでなく、投資家が投資をする際の必須要件など、投資家の視点を学べたことはとても新しいことでした。とても実践的で、質問とそれに対する答えも用意されていて、これらが全てオンライン上で学べたことは、子育て中の忙しい起業家としてありがたかったです。

 Cnaiで選抜された企業に提供されるイノベーションファンドを使って、農家からコーヒー豆を購入し、移動式のコーヒーブースを設置しました。そして、二人のコーヒーショップを営む零細女性起業家に、コーヒーショップ経営とビジネスマネジメントに関する研修をしました。このことで、この女性たちは家事育児などをしながら、好きな場所でコーヒーショップを営むことで、生活費を稼ぐことができます。AGRO AGAPEはこの女性たちにコーヒー豆を販売します。この2件が成功したら、今後、このコーヒーブースモデルを全国展開していきたいです。このモデルで、カンボジアの人々に安全でおいしいコーヒーをお手頃価格で提供し、コーヒーショップを経営する女性たちの経済的なエンパワメントに繋げたいです。

【Cnaiの資金提供を受けコーヒーブースを設置した。ブースで働く女性起業家の一人(写真提供:Agro Agape)】

 Cnaiでは、プログラムの参加起業家同士でピアディスカッションを多くしますが、他の参加起業家に感化されました。特に、ACT(カンボジアで新しい教育に取り組む女性起業家、前記事こちらで紹介)の女性起業家たちにとても感銘を受けました。バックグラウンドの異なる3名の女性が一緒に働いていて、とても強いチームだと感じました。女性はチームとして一緒に働いたときに、強くなります。私は女性の可能性を信じており、女性同士で助け合い、チャレンジをともにくぐり抜け、成長していくことができると思っています。

- カンボジアの女性起業家抱える課題は何でしょう。

【豆の選定には女性を雇用している。(写真提供:Agro Agape)】

 女性起業家は宗教・文化規範などに基づく多くのチャレンジを抱えています。特に、家族からの支援のあるなしは鍵になります。カンボジアでは、未だに伝統的価値観により、男性が仕事をし、女性が家事・育児を担うことが求められています。一方、現在の経済状況で、男性一人で家計を担うことは容易ではなく、女性は仕事をしながら、無償の家事労働をすることを求められています。私は、地方の貧しい家庭出身ですが、両親は、私の男兄弟を学校に行かせたがり、私が学校に行くことを推奨しませんでした。未だに農村部の家庭では男の子を優遇し、女の子は家事に従事することが求められており、女性は社会において多くのチャンスを逃しています。また、多くの女性が自分自身に対して男性より劣っていると劣等感を抱いていたり、現状を自分の運命として受け入れ、変えようとしないというメンタリティの問題もあると思っています。女性として男性中心の農業セクターでビジネスを行うことにも大きなチャレンジがあります。女性でこの分野で起業している人はあまり多くありません。カンボジアでは、多くの農家が仲介人に対し信頼を失っており、私は農家から信頼を勝ち得るためにも、自分で生産をして、モデル農家となることを目指しました。そのため、生産から販売まで全てを自分で行っているのです。
 

- AGRO AGAPE(アグロアガペ)の次のステップは何ですか?

【Agro Agapeの焙煎所で】

 子供の世話をしながらできることから進めていきたいと思っています。女性が7割を占めるコーヒー豆の仕分けや、障がいを持つ人を雇用する商品のパッケージングなど、今後もコミュニティの多くの人に職を提供していきたいです。そして、コーヒーブースを全国展開していくことで、雇用を創出したいです。また、バイオ炭の肥料を販売・促進することで、気候変動の課題にも微力ながら取り組んで行きたいと思っています。他の女性の成長を支援しながら、AGRO AGAPEも成長していきたいと思っています。
 

- 編集後記

 カンボジアにはスレイポブさんのように、社会課題に熱い思いを持って、ビジネスを行う女性の社会起業家は多い。ジェンダーイノベーション事業グループは、このような女性起業家を投資に繋げ事業を拡大させることで、女性起業家のエンパワーメントのみならず、社会の課題を解決していくことを目指している。現在も投資家とのパートナーシップを模索中のスレイポブさん、一方、このような起業家に対し、最適な投資に繋げることは必ずしも容易ではない。特に、エクイティ投資の場合、同じ価値観を共有する投資家との出会いは不可欠、とスレイポブさんは言う。彼女も過去に同じ価値をシェアできない、という理由で投資を断念したこともあったという。単なるリターンを求める投資家ではなく、一緒に社会にインパクトをもたらしたいと願う投資家の存在が必要とされている。

第3グループ(社会イノベーション推進担当) 女性起業家支援(お知らせ)
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