ジェンダーイノベーション事業グループ
ジェンダーイノベーション事業グループ
社会課題解決に向けた資金の流れ最前線
アジア最大規模のベンチャーフィランソロピーネットワークの国際会議参加報告
2022.08.04
8分
2022年6月21日~24日にインドネシア・バリで開かれたAVPN(アジアン・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク)の国際会議に笹川平和財団ジェンダーイノベーション事業グループが参加しました。
AVPN(アジアン・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク)は2011年に東南アジアにおけるベンチャーフィランソロピーやインパクト投資の促進を目的として設立されました。現在、600以上の加盟組織を有し、東南アジア最大級のネットワーク組織となりました。 AVPN国際会議(AVPN Global Conference)は、毎年東南アジアで開催されるアジア最大規模のベンチャーフィランソロピーやインパクト投資関連の国際会議です。ジェンダーイノベーション事業グループは2019年からAVPN関連の会議に出席してきました。

【AVPN国際会議の様子】
今年はインドネシアG20のサイドイベントとして2年ぶりに対面で開催されました。The Asian Decadeと題し、Climate Action、Gender、Health & Nutrition、Economic Opportunitiesというアジアで緊急性の高い4つの横断的テーマを通して、6つのプレナリー、42のブレイクアウトセッション、ワークショップ、ネットワーキングとスモールグループセッションが実施され、1,096名が現地バリでの会議に参加しました。
当事業グループからは、安達一常務、松野文香グループ長をはじめとする4名が参加し、笹川平和財団主催にて6月22日に「New models of Innovative Finance for the Missing Middle」と題しセッションを実施しました。また、松野文香グループ長が「Innovations in ESG: How to integrate a Gender Lens 」にパネリストとして登壇した他、AVPNのCEOのNaina Subberwal Batra氏やIVPN(International Venture Philanthropy Center)のCEOのDouglas Miller氏、GSG(The Global Steering Group for Impact Investment)との個別ミーティングを実施し、今後の戦略的方向性と協働の可能性について議論を重ねました。
当事業グループからは、安達一常務、松野文香グループ長をはじめとする4名が参加し、笹川平和財団主催にて6月22日に「New models of Innovative Finance for the Missing Middle」と題しセッションを実施しました。また、松野文香グループ長が「Innovations in ESG: How to integrate a Gender Lens 」にパネリストとして登壇した他、AVPNのCEOのNaina Subberwal Batra氏やIVPN(International Venture Philanthropy Center)のCEOのDouglas Miller氏、GSG(The Global Steering Group for Impact Investment)との個別ミーティングを実施し、今後の戦略的方向性と協働の可能性について議論を重ねました。

【セッション:Innovations in ESG: How to integrate a Gender Lens 】
松野グループ長がパネリストとして登壇した「Innovations in ESG: How to integrate a Gender Lens 」では、ジェンダーの視点をESGに取り込む為のディスカッションが行われました。松野グループ長は、2022年6月16日に全世界同時公開した当財団とオランダのジェンダー関連のデータ機関のEquileapが共同で発表した報告書の内容に振れ、Genderに関連するデータが企業価値の指標として活用されていることや、ESGのS(社会)とG(ガバナンス)の中にジェンダーに関する指標も含まれており、投資家の関心も高まっていることを強調しました。
4日間の多くのセッションの通して、資金調達が難しい初期段階をサポートすることを可能にする触媒的資金(catalytic capital)(注)や無拘束資金(unrestricted fund)、当事業グループがSanThitアクセレータープログラムにて提供しているイノベーション資金など革新的資金提供メカニズムの実践についての知見共有や議論が活発に行われていました。また、利益追求型のユニコーン企業へのアンチテーゼとして生まれた社会的インパクトと利益の両方を追求するゼブラ企業という新しいコンセプトの台頭と、そのような既存のVCの投資対象からは外れてしまう成長速度や市場規模でビジネスを展開しているゼブラ企業の資金調達に関する議論も見られました。これまで投資家を含む資金提供側の要望に起業家や社会課題を解決することを目的とする団体が合わせなければいけなかった時代から、資金提供側が資金の性質や出し方を工夫し起業家たちの資金ニーズに合わせていくという潮流とその勢いを感じました。幾つかのセッションでも議論されていましたが、資金提供者と起業家や非営利組織などの資金受領者との社会課題の解決に向けた協働が、より信頼に基づき柔軟な方法、かつ対等な立場で行われることで、変化の激しい流動的な状況の中においても社会的インパクトの創出を可能にできます。
注:インパクトを生み出すために企業に譲歩的な条件で資金を提供し、他の方法では不可能な第三者からの追加投資を可能にする資本
注:インパクトを生み出すために企業に譲歩的な条件で資金を提供し、他の方法では不可能な第三者からの追加投資を可能にする資本

【AVPN国際会議場エントランスにて】
インパクト投資の文脈では、東南アジアにおけるブレンディッド・ファイナンスや触媒的資金などの革新的ファイナンスの実践者たちによる議論がありました。日本ではまだ事例の少ない触媒的資金ですが、金銭的価値以上の役割を持った資金が多様なステークホルダー間の協働を促し、社会的インパクトの最大化に貢献していくことに、当事業グループとしても貢献できる道を模索していきます。
当事業グループは今後もAVPNなどのリージョナルプラットフォームと連携しながら、財団だからこそできる貢献の仕方で様々な協働パートナーと共に東南アジアのジェンダー平等達成に向けて積極的に活動していきます。
当事業グループは今後もAVPNなどのリージョナルプラットフォームと連携しながら、財団だからこそできる貢献の仕方で様々な協働パートナーと共に東南アジアのジェンダー平等達成に向けて積極的に活動していきます。