・オーストラリアは、アジア太平洋地域の中で最もジェンダー平等が進んでいるだけでなく、働き方の柔軟性についてもトップとなりました。80%の企業が勤務時間の選択制、69%の企業が勤務地の選択制を導入しています。
・人員構成の階層(取締役、執行役員、管理職、一般従業員)の全てで男女間賃金格差の解消を達成した企業は、地域でも世界でも、香港の企業1社のみでした。
・日本の企業は、セクシャルハラスメントへの対策を進めています。セクシャルハラスメント防止方針を公表している日本企業の割合は、地域内最高の52%でした。
・ニュージーランドは、企業の人員構成の階層のすべてで、女性の占める割合が地域内で最高水準となりました。取締役の32%、執行役員の28%、上級管理職の34%、一般従業員の43%を女性が占めています。
・このような好結果もあったものの、職場のジェンダー平等を総合的に見るとアジア太平洋地域の状況は芳しくなく、ジェンダー平等の平均スコアは33%に留まりました。とりわけ日本と香港は、ニュージーランド、シンガポール、オーストラリアに後れを取っています。日本は調査に参加した企業数が最多(分析対象企業1,181社のうち、617社が日本企業)だったにもかかわらず、高スコアを獲得した企業はごくわずかでした。
・アジア太平洋地域の上場企業で女性がトップ層に占める割合は、CEOが4%、CFOが10%、取締役会長が5%に過ぎません。一般従業員全体での割合も低く35%です。人員構成の階層のすべてでジェンダーバランスを達成した企業はわずか2社のみでした。
・アジア太平洋地域で賃金のジェンダー格差を公表している企業はわずか9%、格差解消を達成した(すなわち、ジェンダー間の未調整賃金格差の平均が会社全体または各賃金バンドで3%以下になったと発表した)企業は1%未満でした。
・セクシャルハラスメント防止方針の公開については、国ごとに著しい格差が存在しています。アジア太平洋地域全体では43%の企業が方針を公開していますが、国別では、ニュージーランドが22%、香港が19%にまで下がっています。
・また、代表的な業種に注目すると、エネルギーセクターは金融や自動車よりもスコアが高くなっています。経営層と一般従業員の間に存在するいわゆる「ガラスの天井」については、一般従業員の50%を女性が占める金融セクターは、女性従業員比率が22%しかないエネルギーセクターの状況よりも、はるかに深刻であることが分かりました。