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ジェンダーイノベーション事業グループ エコシステム強化(お知らせ)

各国の起業家支援コミュニティの中で進化し続けるGLIAツールキット

トレーナー向けトレーニングの実施について

一般社団法人Earth Company共同代表/濱川 知宏


2022.05.17
17分

東南アジアの持続可能な発展に重要な役割を果たす、女性の社会進出。なかでも起業は、特に農村部において女性が経済力を得るためのほぼ唯一の手段となる。起業を支援する組織の数々が、出資者など多様なステークホルダーと協働し女性の可能性を広げている。
 
起業エコシステムに影響力を持つ起業家支援組織がジェンダー視点を実装していることが、東南アジア諸国の働く女性たちを取り巻く、さまざまな課題を解決するには必要不可欠なのではないか。そんな想いから、笹川平和財団はオーストラリア外務省やNGOと協力し、起業家支援組織向けにジェンダー視点導入の指南書「ジェンダー・レンズ・インキュベーション&アクセラレーション(GLIA)ツールキット」を開発し、2020年に発表した。

【インタビューの様子】

これまでの記事では、東南アジア諸国で試験的にツールキットを導入し実践した起業家支援組織にインタビューを行ってきた。GLIAツールキットの各国での更なる普及を目的とした取り組みとして、地域に根差した起業家支援組織に対しGLIAトレーニングを提供する「トレイン・ザ・トレーナー・プログラム(トレーナー向けトレーニング)」がある。今回は、当プログラムを企画運営する笹川平和財団、トレーナーを育成するygap(オーストラリア)、ygapの研修を受けフィリピンの起業家支援組織にGLIA研修を行うVillgro(フィリピン)に、フィリピンでのGLIAツールキットの普及活動に取り組んでみてどうだったか、一般社団法人Earth Company共同代表/濱川 知宏が話を聞いてみた。
 

- それぞれの組織の活動について教えてください。

笹川平和財団 ジェンダーイノベーション事業グループ グループ長
松野 文香さん(松野)


笹川平和財団は全ての人の可能性が発揮できる、持続可能で包摂的な社会をつくるために活動しています。2021年に新しくなったスローガン「Think, Do, and Innovate-Tank」には、研究だけでなく現場に根差した行動とイノベーションを起こす財団であり続けたい、という思いが込められています。ジェンダーイノベーション事業グループでは、「アジア女性インパクト基金(AWIF)」の運用を通じジェンダー投資を実践することで、女性起業家がジェンダーによる障壁を感じることなく社会に変革を起こせるよう支援しています。 
ygap 戦略ディレクターのAudrey Jean-Baptisteさん(Audrey)

ygapはアフリカ、アジア、太平洋諸島、オーストラリアを拠点に起業家支援を行い、すべての人が社会起業となれる環境を整えることで、より公平で持続可能な世界の創出を目指しています。女性起業家が関わるエコシステム全体が包摂的となれるよう、女性向け起業家支援プログラム「yher」、女性起業家の市場・金融アクセスの向上など様々な活動を行っています。
Villgro Phillipines CEOのPriya Thachadiさん(Priya)

Villgro Phillipinesは、インスピレーション、インキュベーション、インベストメントの3本柱でフィリピンの起業エコシステム作りを行っています。フィリピンの起業文化はまだ若いので、より多くの人に起業について興味を持ってもらえるようイベントの企画運営もしています。また、インキュベーションの対象には、起業家だけでなく、起業家支援組織も含まれることが特徴的だと思います。シードステージの女性起業家にとって資本への障壁が消えていないことから、近年では女性起業家に特化した投資支援を強化しています。

- 笹川平和財団とygapへ:女性起業家支援の重要性と、トレイン・ザ・トレーナー・プログラムに期待することを教えてください。

【Community of Practice 研修の様子】

松野:女性が経済力を持つことは、安全、保健、教育、決定権限などジェンダー格差解消のために必要とされる他の課題への解決と密接に関係しています。特に就職の機会が限られている東南アジアでは、女性が起業し経済力を得ることが、女性のエンパワーメントにとって大きな意味をなすのです。起業による女性の社会進出を図るには、起業エコシステム全体をジェンダースマートにし、投資を受けられる女性起業家を戦略的に増やすことが必要です。起業エコシステムの多様なステークホルダーに最も大きな影響力を持つのが起業家支援機関となるため、起業家支援組織向けのジェンダー視点導入指南書であるGLIAツールキットの開発に至りました。

【トレイン・ザ・トレーナー・プログラム 全体ミーティングの様子】

松野:GLIAツールキットを発表した際、東南アジアだけでなくラテンアメリカからも反響があり、多くの起業家支援組織がジェンダー視点強化を求めていることが分かりました。そこで、ツールを公開するだけでなく、起業家支援組織がツールキットを導入した経験を共有し合える「GLIA Community of Practice(COP)」を結成し、学び合いのコミュニティを作りました。GLIAを導入しジェンダー視点の実装を実現したCOPのメンバーであれば、他の起業家支援組織のジェンダー視点強化の支援もできるのではと思い、「トレイン・ザ・トレーナー・プログラム(TTT)」が始動しました。まずはGLIAの共同開発者であるygapから、フィリピンで活動する起業家支援組織であるVillgroがGLIAツールキットの研修を行うためのノウハウを譲り受け、Villgroが今度は実際にフィリピンの起業家支援組織6団体に対し研修を提供しています。

Audrey:ツールキット開発当初から、東南アジア諸国それぞれの社会・文化的環境に適したものにしたいと思っていました。ジェンダーの課題は社会的に構築されるものなので、ジェンダー視点の取り入れ方も文化によって違って当然ですよね。ygapはフィリピンに拠点がありませんし、Villgroのようにフィリピンの現場に根差した組織がGLIAツールキットの導入を働きかけることが効果的です。ジェンダー視点強化に取り組む、地域の起業家支援組織のパートナーシップ強化とエコシステム構築が、TTTには期待できると思います。

- Villgroへ:トレイン・ザ・トレーナー・プログラムを実施してみて、どのような効果が得られていますか?

【インパクト指標が加わった「GLIAツールキット2.0」】

Priya:テクノロジー関連の起業家を支援する6組織に対し研修を提供しています。政府からの助成金を得ながら、テクノロジーを通して社会課題解決に取り組む起業家を支援している組織が多いです。参加組織の意欲は高く、チームの多様性も高いのですが、ジェンダー視点を取り入れる実践的なツールやポリシーを持っていない、という共通の課題を持っています。これまでの研修内容としては、まずはGLIAツールキットの自己評価ツールを使い、現状把握や無意識バイアスの発見から始めています。研修終了後には、参加組織の支援プログラムだけでなく組織運営にもジェンダー視点が取り入れられ、ジェンダー平等の達成に取り組む起業家支援コミュニティが作られていることを期待しています。

 

【VillgroによるGLIAツールキットの研修を受ける フィリピンの起業家支援組織UPGRADE】

Priya:興味深いのは、起業家支援組織に対し助成金など支援を提供している、フィリピン政府の科学技術省も研修に参加しGLIAの研修を受けていることです。科学技術省に研修参加組織募集協力を依頼したところ、「自分達もジェンダー視点やジェンダースマート起業家支援について学びたい」との要望があり、参加に至りました。フィリピンの起業家支援組織のほとんどが政府から資金援助を得ているので、フィリピン全体の起業エコシステムに大変大きな影響力を持つ行政機関です。科学技術省は新しく女性起業家支援プログラムを始めたばかりで、ポリシーや支援ガイドラインがありませんでした。特に、プログラムへのジェンダー視点の取り入れ方、起業家支援組織の重荷にならずにジェンダー視点強化を要請するポリシーの策定方法、科学技術省の起業支援担当チームの能力構築にサポートを必要としており、研修に参加しています。
 

【VillgroによるGLIAツールキットの研修を受ける フィリピン政府科学技術省】

Priya:科学技術省が抱える課題はフィリピンの起業家エコシステムの現状を体現していると思います。起業家支援に対する制約が多くシードステージの起業家への支援が限られているため、支援プログラムにはいつも同じ起業家たちが参加しています。もっと多くの起業家たちが支援を受けられるようになる必要があります。また、起業家を支援する環境がより包摂的にならないといけません。支援起業家を選定する場で、選定を行うパネリストの一人から「事業を通して解決したい社会課題を話すときに泣かなかった女性起業家は支援しない」というコメントがあり驚きました。研修に参加したことで、科学技術省をはじめとした参加組織の中にある、このような無意識バイアスについての意識変容は既に始まっています。
 

- GLIAツールキットを各国の現場に普及するにあたってどんな課題があるのでしょうか?

Audrey:文化の違いへの適応は必要ですね。ジェンダーの課題はそれぞれの社会の中で生まれるので、GLIAツールキットの中で触れている用語に適応する現地の言葉がないこともあります。単語が存在しなくても、女性が同じ障壁を経験している場合が多いので、丁寧に伝えていく必要があります。また、ジェンダー視点を取り入れるには専門家にならないといけないのでは、と自信が持てずに取り組みが始められない組織も多いです。誰にでも分かりやすい指南書となるよう翻訳し、ツールキットの中にある一つの施策を導入するだけでも大きく前進できる、と伝えていきたいと思っています。
 
Audrey:多くの起業家支援組織にとって、組織のジェンダー視点強化に多くの資金や時間をかけることは困難である場合が多いです。そこで、包摂的な組織運営やプログラム提供を行うことによって得られるインパクトをレポートにまとめ、ジェンダー視点実装に資金を充てる意義を証明していけるよう動いています。
 
松野:「意欲は高くてもツールがない」という状況は、それぞれの環境に合った施策や事例を提供することで変えることができます。COPやTTTを通しより多くの成功事例を集めていきたいと考えています。 
 

- 今後どのようにGLIAツールキットを広めていく予定か教えてください。

松野:まずはフィリピンからTTTの取り組みを始めたのですが、今後はカンボジア、そしてタイでもTTTを実施していきます。そして、Villgroとミャンマーの起業家支援アクセラレータープログラムであるSanThit が主導する「WE Rise Community Asia」という東南アジアの女性起業家が直面する資金調達ギャップの解消に取り組むデジタルプラットフォームへの支援も開始しています。

【VillgroとミャンマーのアクセラレータープログラムSanThit が主導する 「WE Rise Community Asia」】

Audrey:これからカンボジアでも普及活動を行うにあたり、GLIAツールキットのクメール語版の導入が始まります。先ほど話した文化や言語の違いに対応し、全ての人に開かれたツールとなれるよう改善していきたいと思っています。また、インパクトレポートを発表予定なので、GLIAツールキットによるインパクトを可視化するだけでなく、起業エコシステムに関わる様々な組織がジェンダー視点強化についてどんな展望を持っているのかを伝えていく予定です。
 
Priya:先ほどお話しした6組織に対する研修を継続し、フィリピンでの成功事例を作っていきたいです。科学技術省からは「他の起業家支援組織に対してもGLIAツールキットを活用した研修を実施してもらいたい」との要望を頂いているので、まずはフィリピンの起業家支援組織に対する研修に注力しニーズに応えていく予定です。長期的な目標としては、GLIAツールキットに基づいたトレーニングを海外の起業家支援組織に対しても実施していきたいと考えています。また、女性起業家を取り巻く課題の多くは、COPのようなコミュニティの力を持ってこそ解決できると思っています。より多くのステークホルダーをジェンダー視点強化に向けた取り組みに巻き込み、パートナーシップを大切に活動していきたいです。

編集後記

東南アジア諸国の起業家支援組織に対するジェンダー視点強化に向けた取り組みを普及させるためには、Villgroのように地域に根差した活動を行い、その国の文化・社会的背景を理解した上でGLIAツールキットに基づいた研修を提供できる組織の協力が欠かせない。今回はygapから「トレイン・ザ・トレーナー・プログラム(TTT)」を受けたVillgroが、政府機関も含めたフィリピンの起業家支援組織に研修を提供し、包摂的な組織運営や起業家支援プログラムの実施について学んでいる様子が伺えた。まずはフィリピンから開始したTTTだが、今後はカンボジアやタイでもTTTの取り組みが実施されることで、GLIAコミュニティは更なる広がりを見せるのではないだろうか。笹川平和財団の松野グループ長が期待する通り、Community of Practice(COP)やTTTを通し各国での成功事例が作られることで、GLIAツールキットはより多くの組織から活用される、生きたツールに進化している。
 
*GLIAツールキットは下記オンラインサイトにて英語、ミャンマー語、タガログ語(フィリピン)、クメール語(カンボジア)に対応し公開されている。https://gliatoolkit.com/
 
(一般社団法人Earth Company共同代表/濱川 知宏)
一般社団法人Earth Companyは「次の世代に残せる未来」を創出すべく、インドネシアのバリ島を拠点に、社会変革を起こす「人」と「団体」を支援・育成しています。社会と自然が共鳴しながら発展する「リジェネラティブなあり方*」を追求するために、事業を展開しています。

*社会の発展が相乗効果をもって地球上全ての命のウェルビーイングを向上するあり方
・詳しくはウェブサイト: https://www.earthcompany.info/ja/

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