2023年6月20日-22日。マレーシア、クアラルンプールで開催されたAVPN(アジアン・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク)の年次総会に笹川平和財団ジェンダーイノベーション事業グループが参加。フィランソロピーのあり方、社会課題解決の資金の流れの動向についてレポート。

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第3グループ(社会イノベーション推進担当)

【イベント参加報告】社会課題解決に向けた資金の流れ最前線 - AVPN 国際会議2023

~ ポストコロナの社会課題解決の前進にむけて ~

笹川平和財団


2023.08.29
11分
 2023年6月20―22日、東南アジア最大級のベンチャー・フィランソロピーとインパクト投資のネットワーク組織であるアジアン・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク(以下、AVPN)の年に一度の国際会議(AVPN Global Conference)に、ジェンダーイノベーション事業グループの研究員が参加した。600以上の加盟組織を有するAVPNの2023年次総会は、マレーシアの首都クアラルンプールのKL Convention Centerで開催され、世界から1,300人もの参加者が一堂に会し、セッション会場だけでなく、個別面談をするスペースも連日多くの人で賑わい、熱気ある会議となった。
 今年のAVPN国際会議の包括的なテーマとして、「変革をもたらすコラボレーション」、「アジアのリーダーシップ」、「コミュニティ・エンパワーメント」、「早急なアクション」の4つを切り口として、フィランソロピーと社会的投資を加速させていくことが掲げられている。2019年から毎年この会議に参加している当財団のジェンダーイノベーション事業グループは、今年は特にフィランソロピー分野に焦点をあて、個別面談を行い次の新規案件に繋げるためのネットワークと知見を得る目的で参加した。社会課題の解決に向けた資金の流れの最前線と印象に残った点を中心にご紹介したい。

―― Doing Good Index 2022 ~ポストコロナの社会課題解決のために~

【Doing Good Index 2022発表の様子】

 会議初日のオープニングプレナリーの直後に、この会議の共催者でもあるハサナ財団が同時並行で実施したハサナフォーラムのブースでCentre for Asian Philanthropy and SocietyがDoing Good Index 2022の発表を行った。Doing Good Index2022 は、ポストコロナの課題に対処するフィランソロピー活動や政策対応を最大化する方法を示したもので、アジアの17ヵ国・地域(バングラデシュ、カンボジア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、タイ、ベトナム)のNPO 2,239団体と専門家126名の協力を得て、各国法的規制、税制優遇措置、資金調達方法、社会・文化的条件などを検証している。調査対象国全体で、コロナの負の影響で、社会課題を解決する組織の活動意義がますます高まっているという現状が共有された。一方で、海外からの資金の流入は減少傾向にあり、従って国内で資金調達をする傾向にある国が多いと報告された。その国内で調達される資金源はほとんどの国で「個人や財団の資金」である。改めて社会課題解決における財団の役割を感じると共に、特にコロナによって社会課題が悪化した国々への海外からの資金の流入が減少しないよう日本の財団として何ができるかを考えさせられた。

―― Asian Youth Mental Wellbeing Fund立ち上げの発表

 世界最大の政府系ファンドの一つであるマレーシアの政府系ファンドの財団であるYayasan Hasanah(ハサナ財団)が支援し、AVPNが運営を担当する形でAsian Youth Mental Wellbeing Fundの立ち上げが発表された。このファンドは、今後3年間で300万ドルの資金調達を目指しており、アジアの若者のメンタルヘルス支援をする非営利組織や社会企業に資金提供(募集は2023年9月予定)される予定である。メンタルヘルスは若者が命を落とす深刻な課題であるものの、アジアにおいては根強いスティグマ(差別や偏見)や評価測定の難しさから、メンタルヘルスの分野の活動には資金がつきにくい領域であった。今回、マレーシアの財団が触媒的な役割を果たし、このようなイニシアティブが発足したことは感慨深い。このファンドは、非営利組織だけではなく社会企業も助成対象としており、インパクトの拡大を支援するベンチャーフィランソロピーといえる。東南アジアの社会企業の多くは、その成長性(規模や速度)や事業ステージなど様々な理由から経済的リターンと共にインパクトを求めるインパクト投資の投資対象から外れる社会企業が多い。同時に、助成金は社会企業(営利組織)ではなく非営利組織に出すべきだという伝統的な考えが、資金提供者の中に根強く残るために、社会企業はスケール(事業拡大)できるような段階にあっても、資金調達が困難である。そのような中で、このファンドがベンチャーフィランソロピーとして、特に使途を限定しない形の資金提供を社会企業と非営利組織を対象に行うことは、画期的な取り組みであるといえる。

 さらに、Asian Youth Mental Wellbeing Fundは、複数の組織(財団や企業など)がフィランソロピー資金を提供するファンドを指す、フィランソロピック・プールド・ファンド(Philanthropic Pooled Fund)である。AVPNは資金提供団体の協働(コレクティブ・インパクト)を促進する役割を果たしており、同時に、資金提供団体に資金以外の知的貢献を促したり、グッドプラクティス事例の共有なども行ったりと、域内のメンタルヘルス社会課題の解決に向け包括的に活動していく。AVPNはこれまで、ヘルス、ジェンダー、STEM教育の分野でプールド・ファンドを立ち上げており、4つ目のテーマとしてこの若者のメンタルヘルスが選ばれ、新たな資金の流れが創られたことは非常に興味深い。今後、この分野の社会課題解決が促進されることを願う一方で、これまで東南アジアの女性起業家支援を行ってきた当事業グループとしては、若者のメンタルヘルスだけではなく、女性社会起業家や社会課題解決に従事する社会企業で働く人々のメンタルヘルスにも資金が流れることが議論されることを期待する。

―― 日本の事例の発信 ~コミュニティナースの育成を通じた地方の活性化~

【Community Nurse Companyの発表】

 先に述べたようなテーマを含め様々な切り口でセッションが行われた国際会議であったが、その中で一つ、その他のどのセッションとも違う輝きを発していた、日本からの登壇者について特筆したい。島根県雲南市よりIntegrated Community Care in Aging Societies to Achieve Healthy Longevityの登壇者として本会議に参画されたCommunity Nurse Company株式会社 代表取締役の矢田明子氏は、いつも地域の中にいて〝健康的なまちづくり〟を推進するコミュニティナース の育成、普及を行う事業を紹介した。このような取り組みがAVPNのような国際的な場で発表されたことは新鮮で、聴衆からの大きな称賛をもって受け入れられていた。矢田氏の発表を通して、日本にも素晴らしい起業家が存在し、革新的な取り組みと、その取り組みを応援するエコシステムがあることを国際的に発信していくことの意義を強く感じた。

―― まとめ

 当事業グループはこれまで、資金の需要と供給の橋渡しをするために、女性起業家の企業に対し投資受入れが可能になるよう企業活動とその成長を支援してきた。一方で、インパクト投資の対象となる可能性がある企業の支援だけではなく、事業が成長拡大する可能性はあるが拡大に時間がかかる事業や、緩やかな成長だが地域の持続可能な発展に寄与する企業(モデル化により拡大の可能性を秘めている)など、通常のインパクト投資の対象にならない領域や事業も検討し、社会企業に資金が提供できるような枠組みやあり方も模索していきたい。例えば、メンタルヘルスなどインパクトの可視化が難しいがゆえに投資が行われにくい領域、さらには紛争を内包する国だが比較的事業は継続できるような状態の地域にあり、現地の人々の生活維持や収入源の確保という意義の高いビジネスにも関わらずリスクの高い国とみなされ、投資が滞るような状況にある国などが、視野に入ってくるだろう。アジアにおける社会課題解決と資金提供に関して議論が繰り広げられる3日間を通して、改めて先に述べたAsian Youth Mental Wellbeing Fundの事例のように、東南アジアの社会課題解決の領域で財団が果たせる役割を考えさせられ、勇気づけられた。

第3グループ(社会イノベーション推進担当)
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