笹川平和財団(SPF)は、英文書籍『The Battles of Imphal and Kohima: Japanese Operations in Northeast India』(戦史叢書)を発刊しました。
SPFの第1グループ(戦略対話・交流促進担当)による
「インパール平和資料館支援」事業の一環で制作された本書は、1968年に防衛庁防衛研修所戦史研究室(当時)から出版された、インパール作戦に関する日本側の公式記録である『戦史叢書:インパール作戦』の抜粋版を英訳したものです。第二次世界大戦のインパール作戦に関する既存の英語資料の大半はイギリスと連合国の視点や経験が中心となっており、世界のインパール作戦にかかる資料において、日本の視点が十分に反映されていないのが現状です。こうした背景から、SPFは防衛大学校国際関係学科の等松春夫教授をはじめとする日本の学者や専門家と協力し、インパール及びコヒマの戦いにおけるインド北東部の日本の軍事行動に焦点を当てた本書を制作しました。
「インパール平和資料館」は、第二次世界大戦の激戦地だったインド北東部マニプール州インパールで2019年6月に設立されました。同資料館は、日本財団が建物などのハード面を、笹川平和財団が展示コンセプトの技術指導や現地関係者の人材育成を中心とするソフト面を支援し、「平和と和解」を主要テーマに、歴史を後世に伝えるものとして現地の民間団体「マニプール観光協会」が運営しています。同資料館では、インパールの戦いにおける地元コミュニティの経験を記録するとともに、1940年代から現代までのマニプール州の豊かな文化の多様性を称えるために、丁寧にキュレーションされた展示物を備えています。今回の戦史叢書英訳プロジェクトは、このインパール平和資料館事業から展開されたものです。