震災復興へ想いをつなぐ日中交流
中国の無形文化財保護団体が輪島漆芸技術研修所に漆を寄贈
笹川平和財団(東京都港区、理事長・角南篤)は、3月3日(月)、昨年1月に能登半島地震により甚大な被害をうけた現地の伝統工芸関係者を支援するため、石川県立輪島漆芸技術研修所で寄贈品贈呈式を実施しました。
第二次世界大戦の激戦地だったインド北東部マニプール州インパールに、「インパール平和資料館」がオープンしてから1周年を迎えた6月22日、現地と日本などをオンラインで結んでの記念式典が開かれ、「平和」や「和解」を象徴する資料館のいっそうの充実を願いました。
新型コロナウイルスの世界的な感染が続く中、ソーシャルディスタンスに配慮された平和資料館の中央ホールには、資料館を運営する民間団体「マニプール観光協会」のダバリ初代会長とクリシュナン現会長、マニプール州政府観光庁長官ら関係者が出席。助成事業として資料館を支援する日本財団の笹川陽平会長(笹川平和財団名誉会長)、笹川平和財団の大野修一理事長(当時)、駐インド鈴木哲特命全権大使らがオンラインでメッセージを寄せました。この中で笹川会長は「平和資料館が充実することにより、日本から近い将来、多くの観顧客がマニプール州に行くことになることを期待しております」と伝え、大野理事長は友情、善意、連帯という価値観こそが「よりよいアジアと世界に寄与します」と述べました。
また、平和資料館の「地域と住民の視点」「戦争から現在、そして未来へ」というコンセプトづくりなどを通じ資料館の立ち上げに尽力した、沖縄県の「南風原(はえばる)文化センター」の元館長・大城和喜氏、ミュージシャンの城間和広、村松志門両氏、さらには竹富島の住民有志の皆さんが、マニプールの著名な伝統音楽家マヤンラムバム・マンガンサナ氏らと共演し、沖縄民謡などを歌い三味線とマニプールの伝統楽器ペナを奏でました。
マニプールと沖縄をオンラインで結んで実現した共演
インパール平和資料館には昨年6月のオープン以来、延べ1万4千人以上が来館し(2020年3月26日現在)、日本からは143人、その他の外国からも152人が訪れています。新型コロナ禍の影響で、3月下旬からは一時閉館となっていました。
インパール平和資料館支援事業を推進する笹川平和財団アジア事業グループの中村唯主任研究員は、この1年を振り返り次のように話しています。
「来場者数からもわかるように、平和資料館はとても大きな反響、効果があったと思います。マニプール州の観光名所のひとつとして、確固たる地位を築くようになりました。日印両政府にとっても、平和の象徴となったと思っています。実は、マニプールは、インド北東部の中でも、近年まで最も紛争が頻発し、軍・警察による人権侵害や殺害・暴行事件が絶えなかった地域のひとつです。その地にこのような平和資料館ができ、国際的な注目を集めたことは、住民の皆さんにとっても、マニプールの歴史を知る人々にとっても大きなインパクトがあったと思います。今後は『インパール作戦』というものが何だったのか、十分で正確な情報を提供しなければいけないと思っています。平和資料館とはいえ、戦争というテーマに向き合っている以上、きちんとした学術的な検証を専門家の力を借りて行ったうえで、情報を提供しなければならないと考えるからです。昨年から今年にかけて、第2次大戦中、戦場となったマニプール州とお隣のナガランド州で、戦争体験者からの証言を記録・保存する取り組みを、現地の映像作家と協力し、実施しています。昨年までで114名もの方のインタビューを収集し、戦争当時の歌も含め貴重な映像記録を得ることが出来ました。2020年度の終わりには、平和資料館でも公開できるように支援をしたいと思っています」