講演会議事録と資料の再掲のお知らせ

2020.04.27

 2020年4月、世界は再び未知のウイルスによるパンデミックに見舞われている。2019年冬に中国の武漢市から始まった新型コロナウィルスは瞬く間に猛威を振るい、すでに日本も緊急事態宣言下にある。この局面にあたり、笹川平和財団が2009年に開催し当時、世界的に大流行していた新型インフルエンザに関する2つの講演会の議事録を再掲する。

 実は笹川平和財団は2008年10月、新型インフルエンザの脅威に着目し、感染症対策を非伝統的安全保障の観点から考える事業を開始した。2005年に東南アジアで猛威を振るった鳥インフルエンザが新型インフルエンザに変異する可能性を想定し、アジア各国での地方レベルの対応策と地域連携の在り方を提案することを目的としていた。ところが、事業が佳境に入りかけた2009年春、アメリカ大陸を中心に豚インフルエンザの感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は6月にパンデミックを宣言する。笹川平和財団も急遽、予定を変更し、当初から事業に携わっていただいた東北大学押谷仁教授をジュネーブに派遣、情報収集に努めるとともに、日本での対策について検討を開始した。押谷教授といえば現在、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議とクラスター対策班のキーマンである。

 「今回のウイルスは通常のインフルエンザよりも若干潜伏期間が長い可能性があり(中略)、このウイルスは軽症で終わる例が多く、熱も出ないという例がかなり報告されていて、そういう人たちも、おそらく感染性があるということです。こういう人たちは、最初の段階では引っかかってこずに他の人にうつして感染拡大が起きてしまう・・」
 この言葉は2009年5月20日、「新型インフルエンザに関する緊急報告」と題する笹川平和財団主催の報告会での押谷教授の発言である。押谷教授はさらに続ける。
 「被害をいかに最小限に抑え、軽減するかという基本戦略を今作らないといけないところにきています。(中略)『日本には戦術があって戦略がない』といつもおっしゃいますが、今回の対応や日本の議論を見ていると、(中略)個々の対策の議論だけが別々になされていて、(中略)そういう全体を見る視点がまだまだ日本には欠けていると思います」

 改めて10年前の活動を振り返ると、危機管理体制、医療崩壊、学校封鎖など、今日我々が直面している課題を当時すでに押谷教授が指摘されていたことに気づく。これらの問題点を解決する努力を怠ってきたこの10余年に忸怩たる思いである。他方で、押谷教授ら感染症対策の専門家が明確に語ってくれた、パンデミックをどう理解し、どのように対処すべきかについて、私たちがこれほど切実に受け止められる時は今をおいてないであろう。2つの講演会議事録の再掲を決断した所以である。これらの資料が感染症対策に関わる私たちの理解を深め、正しくパンデミックに立ち向かうための一助となれば幸いである。
 

2020年4月24日
公益財団法人笹川平和財団
常務理事 茶野 順子

講演会録議事録(再掲)

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