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総括・交流グループ

日米同盟は不公平か?
アジアと欧州の同盟を比較する
パネル講演会で討論

シニアアドバイザー 青木伸行


2019.11.08
 笹川平和財団の安全保障研究グループは10月24日、パネル講演会「日米同盟は不公平か? アジアと欧州の同盟を比較する」を開きました。笹川平和財団の安全保障研究グループは2018年度に、研究報告書「Balance Sheet of US Allies : Comparative Study between  Asia and Europe/同盟国のバランスシート アジアとヨーロッパの対米同盟研究」を刊行しましたが、その国内外の主な執筆者を招き、同盟関係の現状と在り方などをめぐり議論したものです。
 研究報告書のとりまとめを主導した前笹川平和財団研究員で、現在は青山学院大学非常勤講師の今田奈帆美氏は、その狙いと背景について①日米同盟は日本の安全保障の根幹で、最も合理的な手段②米国における日米同盟の片務性、非対称性に対する批判は根強く、「アメリカファースト」(米国第一)を掲げるトランプ米政権に限ったことではない③日本が「専守防衛」を転換していくには政治的な制約が強く、防衛予算の大幅な拡充も財政状況から容易ではない―と指摘。こうした状況下で「日本は軍事的役割の増大や防衛費の拡充を最低限に抑えつつ、同盟関係を維持するための方法を検討しておく必要がある」との見解を示しました。
 これらの考えに基づき、研究報告書とパネル講演会では米国との同盟における日本の戦略的価値、対米協力と貢献の強みを「資産」、弱点や不足を「負債」としたバランスシートを作成。同様にオーストラリア、ドイツ、ポーランド、リトアニア、台湾についても「資産」と「負債」を分析し、それらを比較することで日米同盟の特徴を明らかにしています。

今田奈帆美氏

渡部恒雄氏

トーマス・ウィルキンズ氏

資産 〉負債

 日米同盟について、笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は「負債よりも多くの資産をもっている」とし、資産の中でも在日米軍駐留経費負担(ホスト・ネーション・サポート)は「東アジアの地政学的状況が変化しない限り、他の国には代替できないものだ」と評価。米国への軍事的な直接支援ではないものの、科学技術の研究開発における協力や、東南・南アジア諸国への能力構築支援も「米国にとって大変魅力的だ。中国が世界的に各国の開発援助をし、自身の科学技術開発にも巨額の資金を投入している中で、米国はアメリカファーストなので対外支援費用に余裕がないからです」と述べました。
 一方、負債としては、日本と北朝鮮との軍事紛争、日本と中国の偶発的な軍事衝突に巻き込まれることに対する米国の懸念、日本の憲法などによる軍事力行使の制約、沖縄の反米軍基地感情などを挙げ「こうした負債は、すべて日本政府の同盟運営上の政策によって左右されるもので、日本の政治的意思が重要だ」と強調しました。
 トランプ大統領が同盟に与えている影響に関しては「トランプ政権の要素を加味しても、あまり大きく変わらないのではないか」との見方を示し、その理由の1つとして、安倍晋三首相がトランプ大統領と良好な関係を保っていることを指摘しました。
 渡部氏はまた、研究報告書の中で台湾について執筆した防衛省防衛研究所の門間理良中国研究室長に代わり、同氏の分析を説明。1979年に制定された米国の国内法で、台湾に対する基本政策を規定した台湾関係法に基づく事実上の同盟関係を維持することは、米国にとり「利益が大きく、資産が負債を上回る」と指摘。台湾は、中国の戦力展開の目標ラインであり対米防衛線である第一列島線の重要な一角を占めるなど、地政学的な重要性に加え、「米国は台湾海峡有事を望んでおらず、現状維持が利益だと考えている」と語りました。また「トランプ政権は対中対抗姿勢と台湾擁護を明確にしており、米国は恐らく台湾防衛のために対抗措置をとるだろうと考えられている。台湾は安全保障上、中国に対して脆弱だが(負債)、米国が中国に対抗しようとしているときには、負債が資産を下回る。資産と負債は表裏のところがある」と付言しました。
 負債としては、米国からの武器購入に制限があることなどを指摘しました。
 米国とオーストラリアの同盟関係については、シドニー大学のトーマス・ウィルキンズ上級講師が、同盟の歴史を踏まえ「オーストラリア軍は第二次大戦以降、米国が関わったすべての戦争と紛争に、米軍とまさに肩を並べて戦ってきた。『血の洗礼』を受け、米国との強い絆ができた」と強調。米軍との相互運用性や、北部ダーウィンの米海兵隊駐留など軍事的貢献や協力といった資産に加え、「自由で開かれたインド太平洋』戦略も大いにサポートしている」と、地域のハブとしての役割を果たしていることも指摘しました。
 全体としては「負債より資産を多くもつ」と評価しましたが、深刻な「数多くの負債」にも言及し、3点を指摘しました。
 1つは「権力の非対称性で、オーストラリアはミドルパワーであるため、常に米国の注意を引く必要がある。ANZUS(太平洋安全保障)条約が法的な枠組みとして弱いこともあり、オーストラリアは常に、守護神である米国に見捨てられるという恐れを抱いている。そうすると、どうしても従属的な立場になるわけで、特にトランプ大統領のアメリカファーストによって悪化している」と語りました。
 2つ目に「経路依存性」(埋没コスト)の問題を挙げ「オーストラリアは安全保障、国防、軍の努力を米国との同盟につぎ込んできた結果、その他の安全保障の自由度が大幅に狭められてしまっている。より高い独立性、他の同盟国との協力という選択肢を追求できず、米国に対し『ノー』と言えないという問題を抱えている」と述べました。
 3点目としては中国との経済的な相互依存関係の強さに触れ、「米中貿易戦争の巻き添えになることを非常に恐れている」と指摘。モリソン首相が「米国との安全保障協力を継続しつつ、中国との貿易・経済関係も維持し、二者択一はしないという戦略」をとっているとし、それによって「どうしても矛盾が内在し、オーストラリアを戦略的ジレンマに落とし込んでしまっている」ことも、問題だとの認識を示しました。

カミル・マズレク氏

トーマス・スムラ氏

カロリーナ・リブロント氏

トランプファクター

 欧州に目を転じると、研究報告書の作成に協力したカシミール・プラスキー財団(ポーランド)のカミル・マズレク研究員が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありバルト3カ国のリトアニアについて、①国防予算は2018年に対国内総生産(GDP)比で2%を超え、NATOの共通目標を達成。2030年代には2.5%への引き上げを目指している②2017~22年まで、国防予算全体の25%以上、総額28億ドルを兵器と装備の購入に充当するなど、軍の近代化が進んでいる③軍の即応性が高く、迅速な動員体制を整えている―などを資産として列挙しました。
 しかし、親ロシアのベラルーシがリトアニアに隣接しており「危機発生時にロシアが、リトアニア侵攻にベラルーシを使用することは明らかで、リトアニアは270万人の国民、2万人の軍だけでは、ロシア軍の東西からの攻撃に耐えることはできない。NATO、とりわけ米国に安全保障を依存している」とし、この点を負債の1つに数えました。
 そのうえで「リトアニアの資産は負債を圧倒している。負債はロシア、その衛星国であるベラルーシと、リトアニアの地理的近接性であり続ける」と総括しました。
 トランプ大統領に関しては「米国はNATOの同盟国に対し非常に厳しい批判をしている。トランプ大統領がNATOからの離脱をほのめかしたことは、リトアニアにとり大きな危険だ。NATOの解体につながり、力の空白が生じた場合、ロシアはバルト諸国、ポーランドに対して行動に出るかもしれない。ドイツはもっと国防費を支出し、経済力に比した形での取り組みが必要になる」との見方を示しました。
 ポーランドについて、カシミール・プラスキー財団のトーマス・スムラ研究部長は、バルト諸国の防衛に不可欠な戦略的要衝であり、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備を受け入れるなど、「米軍の海外作戦を支援する模範的な同盟国であり、欧州における米国のプレゼンスの新たな背骨になっている」と、資産を高く評価しました。
 負債としてはポーランド軍の近代化が大幅に遅れ、時間がかかっていることや、米国との貿易額が100億ドルに過ぎず、貿易相手国としての重要性が低いために、米国がポーランドを本当に防衛するか疑念があることなどを指摘。全体としては、資産が負債を上回っていると結論付けました。
 トランプ政権については「欧州諸国の国防費増大に関し、実はポーランドはトランプ大統領と同じ意見をもっている。欧州の防衛には自立が必要だという意見もある。ポーランドはNATOに代わる何らかの選択肢に関心があるわけではなく、米国との2国間同盟を目指すわけでもないが、必要があれば他のNATO加盟国と連携する可能性はあると考えている」と語りました。
 ドイツだけは負債が資産を上回りました。ドイツの安全保障専門家で、国際イニシアティブセンターのカロリーナ・リブロント氏は「米国とドイツの関係は史上最悪の状態にあり、国際安全保障と様々な脅威認識、アプローチにおける乖離がある。この数カ月だけでも亀裂が明らかになってきている。85%のドイツ国民は米国との関係をマイナスに見ており、13%しか関係緊密化を望んでいない。42%が中国の方が良いパートナーだと見なしている。この結果はショックだ」と語りました。
 その根本的な要因として、リブロント氏は「トランプ大統領が就任したときが、伝統的友好関係の試金石だった。利己的ともいえるアメリカファーストが、ドイツの多国間主義と衝突した。ドイツの安全保障戦略は軍事紛争を回避し、外交や経済手段のソフトパワーによって国際紛争を解決することを試みるということです。このアプローチと認識の違いというものが、米国の同盟国としてのドイツにとり、最大の負債だ」と述べました。
 

パーセプションギャップを埋める

鶴岡路人氏

 こうした論議を総括的に評価する形で、慶応大学総合政策学部の鶴岡路人准教授は「米国が『日米同盟は特別だ』と言ってくれると、非常に嬉しいわけだが、日本にとって米国は唯一のかけがえのない同盟国であっても、残念ながら米国にとっては『特別だ』と言わなければならない相手が沢山おり、これを私は一夫多妻制だと理解している。同盟関係は横で理解することが大切だ」との見解を示しました。
 また「パーセプションの問題というのが重要で、米国の同盟国の側が主張する資産と、それを米国、今のトランプ政権が資産として評価、認識することとの間にはギャップがある。資産は、米国に分かってもらえて初めて資産になる」と語り、認識のギャップを埋めることの重要性を指摘しました。
 さらに、トランプ政権下で紛争などへの米軍の関与が低下した場合、「共に戦う同盟国の価値が低下してく可能性があると考えるのか、あるいは米国が外で戦いたくないからこそ、代わりに戦ってくれる同盟国の価値が上がると考えるのか―。考えなければいけない問いだ」と提起しました。

※研究報告書全文(英語)はこちら
※研究報告書概要(日本語)はこちら
※パネル講演会の動画はこちら
 

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