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SPF NOW

中国経済セミナー登壇者インタビュー Vol.1
許思涛氏(デロイト中国チーフエコノミスト)<前編>

笹川日中友好基金


2022.05.16
15分
笹川日中友好基金は、中国の米中新視角基金会(周志興主席)の協力を得て中国経済セミナーシリーズ(全3回、2021年12月~2022年2月)を開催しました。今回のインタビューでは、本セミナーの第1回目に講師としてご登壇頂いたデロイト中国チーフエコノミストの許思涛氏に中国経済の展望についてお話を伺いました。(2022年4月12日収録)
聞き手:宋看看(上海東方テレビ東京支局長)
― 経済学との出会い
 私が学生時代に学んだ経済学は今日のものとは別のものです。当時の中国は「改革開放」が始まったばかりで、大学ではソ連を中心としたコメコン(Council for Mutual Economic Assistance)の教科書を中国語に翻訳したものを使っていました。今日では経済的に成功しているとは言い難いルーマニアやユーゴスラビアなどの国も含めて市場経済の在り方を学ぼうと模索していました。当時、私たちが学んでいたものは「計画経済」による理想モデルのようなものだったと考えます。何かをインプットすれば、きちんと結果を得られるような相対関係を表すマトリックスのようなモデルを考えていたのでしょう。しかし、私は学びを通して計画経済には矛盾があるのではないかと自問するようになりました。この問いは経済を学んでいくなかで繰り返し考え続けることになるテーマになりました。
 
― 中国は計画経済の時代から今日に至るまでに大きな変化を遂げました
 あの時代から今日に至るまでの中国の発展には大変感慨深いものがあります。しかし、私は経済を学ぶ一方で中国経済の強靭性と潜在力を過小評価してきました。
 
― マクロ経済とミクロ経済の両方の視点を得意とされていますが、経済学はプライベートの生活でも役立つのでは
 もちろん、役に立ちます。しかし、私は決してうまく利用できているとは言えません。先ほど述べたように、私は中国経済がこれほどまでに成長するとは考えていませんでした。例えばこの20年の間に中国の不動産市場がここまで成長するとは思いもしませんでした。ですから、私は経済の専門家として中国の成長を予測できなかったのです。しかし、これが中国の面白いところでもあります。中国の発展には我々のような専門家の予測を超えるさまざまな気づきがありました。
 
― 中国がWTO世界貿易機関に加盟して20年が経ちました。中国のWTO加盟時にはどのような問題があると考えていましたか?
 2001年に中国がWTO加盟を果たした時、私たちは不安とも言える感覚を持っていました。中国の政府関係者や経済の専門家たちは中国企業の多くは海外企業との競争によって倒産してしまうのではないかと考えていたからです。しかし、20年が経ちましたが、そのようなことは起こりませんでした。
 ところが、20年後の私たちは別の問題に直面することになりました。WTOのような国際機関は、往々にして大国と小国に対して異なる要求を態度が見られます。中国のWTO加盟は世界経済の発展に寄与したと考えています。しかし、この20年で中国と西側諸国の間では多くの見解に相違がみられるようになりました。これは何故でしょうか。現在の米中間の貿易摩擦もどうして起こったのでしょうか?
 WTOに目を移してみると、当時の様子とは全く変わってしまっています。今日では多くの国際機関がもともとの地位を失っているのではないでしょうか。
 
― 中国の発展は目覚ましくサプライチェーンも大きな進歩を遂げました。しかし、依然として中国は理解されていないという声があります。どうすれば中国を正しく認識してもらうことができるでしょうか。
 私は中国を理解できない人々には、ぜひ機会があれば実際に中国に来て見てもらいたいと思います。先入観を外して、自分の眼で中国を見て判断してもらいたい。例えば広州から高速鉄道に乗って北を目指してみてください。北京を越えてその先にあるこれらの地域の変化をぜひ見てもらいたい。中国にはまだたくさんの改善の余地があると感じています。
 
― 海外の企業関係者を中国にご案内したことはありますか
 たくさんあります。多くは中国のスピードと中国の規模に驚いた方が多かったと思います。もうひとつは、日本の方々にはあまり理解できないかもしれませんが、中国は経済学でいうところのアニマルスピリットに溢れている点です。成熟した日本ではこうしたアニマルスピリットが存在することは難しいと思われます。しかし、中国はアメリカの西部開拓時代のようでもあり、人々はこぞって起業することを目指し、多くの人々が、一つの大きな会社で働くような人生を望んでいません。この点は中国に来る日本の友人にとっては印象深く感じられると思います。
 
― コロナ禍は生活にどのような影響を与えましたか
 私はこの2年と3か月の間、中国を離れていません。最後の出国は2020年の1月中旬でした。これがひとつ目の影響。二つ目は、中国の対コロナ政策は他の国とは異なり、様々な場所でPCR検査を受けることになりました。しかし、このインタビューを受ける前にも友人たちと一緒に家の傍で食事をしてきました。北京では食事や運動、人との交際などに影響はありません。
 
― サプライチェーンリスクについて伺いたいと思います。背景には米中貿易摩擦、単独行動主義、保護貿易主義などの影響があると考えられます。こうした状況の中で中国やWTOはどのように対応していくことができるでしょうか。
 サプライチェーンリスクには以下の原因が考えられます。第一にコロナ禍以降、多くの国家が医療に関しては自国の供給に頼らなければならないと考え始めました。この点に関しては私も理解できます。特にワクチンに関しては多くの国々で強いナショナリズム的な感情が高まっています。
 第二に、各国のコロナ禍からの回復状況と規制緩和の程度は異なり、そのスピードにも隔たりがあります。ですから、企業は効率を犠牲にしてでも在庫を増やすべきではないか?信用のおけるサプライヤーを新たに見つけるべきではないか?と考えるようになりました。もちろんこうした事は、効率に影響しますし、コストも増えます。そして、ヨーロッパで起きている戦争は、サプライチェーンに新たな影を落としています。
 この後、あなたが私に質問すると思われる質問に先に答えておきます。上海の都市封鎖による長江デルタ地帯への影響についても多くの方がサプライチェーンをより強靭なものにしなければならないのではないか、と言っています。実際には、サプライチェーンをより強靭なものにするということは効率を犠牲にしてでも安定性を確保することに他なりません。
 WTOには何ができるでしょうか?今日の世界ではWTOのような国際的組織は、その役割がますます小さくなり重要視されなくなっています。私はWTOには何もできないのではないかと考えます。それでは中国には何ができるでしょうか?私は中国にできることはたくさんあると思います。一つ目は、中国はコロナ禍の影響によって原材料の高騰を受けた企業に対する補助を増やすことによって、その損害を緩和することができると考えます。これはできるはずです。二つ目ですが、コロナ禍は日常的な話題になりましたが、各国の対応はそれぞれ異なっています。我々はこれから徐々に我々のコロナ防疫対策を調整していくことができるのではないでしょうか?簡単な例を挙げると、我々は老人へのワクチン接種を増やす、こんなことができるのではないでしょうか?これまでの老人のワクチン接種状況はなんとか満足できるレベルでしたが、より満足できる状況にできるはずです。
 三つ目ですが、中国は今のこの時期を利用して、特に日本と韓国との貿易協調に注力すべきだと考えます。中国と日本は隣国であると同時に世界第二位、第三位の経済大国ですが、今日に至るまで両国間に自由貿易協定が結ばれていません。中国と韓国間、日本と韓国間にもありません。もちろん、これは経済の問題だけではありません。ですからこの問題に関して中国はさまざまなことができると私は思います。
 
― 昨年、日本ではサプライチェーンリスクに関する議論が巻き起こりました。そのなかには調達先を中国から東南アジアの国々に移転させるべきではないかという主張もありました。
 ここ数十年、日本は東南アジア諸国への投資を計画的に増やしています。私は歴史的経緯もあり、今日に至るまでの東南アジア諸国における最大の投資者は日本になっています。日本の企業は特に自動車部品などの領域において、しっかりとした基礎を築いていると私は考えています。しかし、中国と東南アジアにはいくつか異なった点があります。第一に、中国に投資している日本企業や欧米企業が関心を持っているのは実際にはサプライチェーンではなく、より重視しているのは中国という市場そのもの、つまり中国の消費者だということです。私はこれが最大の違いだと考えます。
 第二に中国と東南アジアの経済には巨大な相補性が存在しています。東南アジア全体を一つの経済体として捉えると、短い期間ではありますが、過去に東南アジア全体と中国の貿易額は中国とEU間の貿易額を越えたことがあります。つまり日本と中国は東南アジアにおいて多くの協力関係があると同時に競争関係にもあると言えます。
 そして、第三に私たちが避けなければならない地政学上の問題があります。地政学上の問題が現実に各国間の不信感、猜疑心、ひいては憂慮として現れています。
 東南アジアは比較的緩い集まりでもあります。はっきり言ってしまえば誰も東南アジアを恐れることはありません。こうした背景のもと東南アジアは日本から多額の投資を受けたばかりでなく、同時に中国からも多くの投資を受け入れています。
 以上の点から、あなたのご質問に対する私の回答は、中国は何も心配することはない、です。しかし中国は更に踏み込んだ開放を進めるべきです。
 
― 中国はCPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)に加盟できるとお考えでしょうか?
 CPTPPへの加盟は中国にとって努力に値する重要な目標であると考えます。既に私たちはこのような加盟交渉に非常に時間がかかることを知っています。何故なら加盟するためには加盟国すべての合意が必要だからです。各国の合意を得るには長い時間かけて意思疎通を図り、共に考えていかなくてはなりません。
 現時点では、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどのスタンダードと比較した場合、我々とは大きな隔たりがあります。とりわけサービス業、政府調達、そしてデータの越境移転なども含めてです。
 しかし、私はCPTPP加盟への交渉は中国にとっても良いことだと考えています。90年代末、中国はWTOに加盟するために自ら高いスタンダードに合わせない限り、国内の経済改革を推し進めることはできませんでした。これは現在も同じです。我々のサービス業、とりわけ政府調達の面において、CPTPPのメンバーとの間には協調、調和の余地があります。更に付け加えておくと、これらを永久に変わらないものと見なしてはいけません。
 現在のCPTPPの新しいメンバーのベトナムは、実際には最初から加盟していたので新しいメンバーではありません。ベトナムの経済発展は中国よりはるかに遅れています。ベトナム政府はサービス業の開放、政府調達などの分野で大きな努力をすることになります。(後編に続く)
許思涛氏 略歴
デロイト中国チーフエコノミスト
 
北京大学経済学部卒。コネチカット大学経済学修士。 専門はマクロ経済学。ザ・エコノミスト・グループ(The Economist Group)中国首席代表、ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(The Economist Intelligence Unit:Global Insight)の中国担当責任者、香港スタンダードチャータード銀行北東アジア地域経済アナリスト、フランスのソシエテジェネラルのアジア担当チーフエコノミスト、中国工商銀行アジア経済スーパーバイザーを歴任。 ウォール・ストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズなどの特別コピーライターも務める。清華大学経済管理学院客員教授。

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