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SPF NOW

山本忠通氏へのインタビュー

前アフガニスタン担当国連事務総長特別代表兼前国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)代表

聞き手 編集長 ジャッキ―・エンズマン


2021.12.14
2021年8月、笹川平和財団(SPF)アジア事業グループは「2021年アフガニスタン政変と国際社会」緊急セミナーを共催し、専門家を迎えてアフガニスタンで起きた政変の歴史的背景や現状分析について考察しました。前アフガニスタン担当国連事務総長特別代表兼前UNAMA代表の山本忠通氏は、このセミナーのパネリストの一人として登壇してくださいました。その後、タリバンの復権から数週間が過ぎた頃、山本氏は、あらためてアフガニスタンでの国連活動の展望、タリバンとの国際協調に対する期待、日本が果たす役割について詳しく語ってくださいました。
――8月半ば、タリバンが短期間で政権に復帰し国を席巻できたことに世界中が驚きを隠せませんでした。米軍のアフガン撤退から1カ月以上が経過していますが、アフガニスタンの現況をどのように評価されますか

 山本氏 ガニ政権の短期間での崩壊が予想外だったため、タリバンやアフガニスタン国民を含む誰もが混乱状態に陥りました。タリバンでさえこのような短期政変を予想していませんでしたし、準備もできていませんでした。現在、この混乱状態に対処する取り組みが行われています。順調とはいえませんが、注目すべき取り組みです。
 問題は、この混乱状態が真の課題の予兆に過ぎないということです。目前の課題は二つあると思います。一つはアフガニスタンの人道支援、もう一つは社会の安定化をめざすアフガニスタンのマクロ経済的管理です。国が安定しなければ、テロリストが国を利用するリスクが現実になりかねません。
 人道支援が急務です。アフガニスタン国民3,400万人のうち50%を超える1800万人以上が極貧生活を送っており、1日当たり1ドル未満で、あるいは1日1食で露命をつないでいる状況です。冬になればアフガニスタンの気温は零度以下となるでしょう。アフガニスタンは長年にわたり最悪の干ばつに見舞われているほか、紛争で多くの人々が移動を余儀なくされてきました。ですから医療用品を含む人道支援が、早急に対処しなければならないことの一つなのです。
 もう一つはマクロ経済的管理です。タリバンがカブールを占拠した際、省庁機能が停止し、官僚・職員らはカブールを去り、ガバナンス体制全体が弱体化しました。今やタリバンは国全体を管理しなければならず、国の安全だけではなく経済も管理しなければならない状況にあります。
 現在、一部の主要なタリバンメンバーが国連の制裁対象となっているほか、タリバン内の「ハッカーニネットワーク」と呼ばれるグループも制裁対象となっています。そのため、米国政府は米国にあるアフガニスタン政府の銀行資産を凍結しています。IMFと世界銀行は、受益国政府が存在しないため支援を打ち切りました。したがって、キャッシュ・イン・フローはありません。アフガニスタン政府は必要な支払いを行うことも、給与を支払うこともできません。
 こうした状況が続けばアフガニスタン経済が崩壊しかねません。経済の崩壊、特に凍結環境となる冬季の経済崩壊により、悲惨な状況に陥るのは明らかであり、市民は不安に駆り立てられるでしょう。今後は極めて困難な状況へと発展していくでしょうから、早急に対処しなければなりません。
 最悪の事態は、国家の不安定化でしょう。アフガニスタンは広大な国で面積は日本の1.7倍、英国の2倍以上ですから、全土を管理するのは容易ではありません。この地域には20を越えるテロリスト組織が存在しています。治安情勢が悪化すれば、テロリスト組織がこの混乱を利用するかもしれません。国家の安定が極めて重要になりつつあります。
 
 ――アフガニスタンの国連職員や国連活動の状況、見通しはどのようなものでしょうか
 
 山本氏 アフガニスタンで働く国連職員は約5000人ですが、そのうちの70~80%はアフガニスタン人です。アフガニスタン人職員は、国連のアフガニスタン人救援活動の中核となっています。タリバン政権復活の問題は、こうしたアフガニスタン人職員による救援活動が認められるのかどうか定かではないことでした。最近になって、ムッタキ外相は、アフガニスタンの国連機関に対し、だれでも支援活動を行うことができ、人道的危機状況に対処することができると述べました。この発言により一歩前進しましたが、タリバンはこれを実行する必要があります。
 もう一つの朗報は、人道的危機状況が緊急に解決すべき差し迫った課題であることをグテーレス国連事務総長が速やかに認め、9月13日にアフガニスタンへの人道支援に関する国際会議を組織したことです。10億ドルを超える巨額の支援が約束されています。
 また、タリバンは国連人道問題調整事務所(OCHA)、世界保健機関(WHO)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を含む、主な国連機関代表の来訪を受けました。国連活動に対する全面協力と十分な安全確保が、同機関代表全員に保証されています。
 これはすばらしいことですが、問題はタリバンが約束を果たせるかどうかです。混乱状況と不透明な治安情勢の中、実際に現地の人々に接触できる重要なアフガニスタン人職員を含む国連職員の活動を、タリバンが支援できれば良いのですが。そうあることを切に願っています。
 
――8月31日、笹川平和財団共催の緊急セミナーにパネリストとして参加されましたが、タリバンの声明は心強いものだが、国民の信頼を得られるよう言行を一致させる必要があるとおっしゃいました。その後、暫定政府が樹立されましたが、包括性と多様性の約束は果たされておらず、タリバンのアフガニスタン支配という構図が見えているように思われます。国連と国際社会がタリバン政府と協力していくうえで、期待されることとは何でしょうか
山本忠通氏
 山本氏 成果が出ているものもあればそうでないものもあります。好ましい兆しはいくつかありますが、期待外れの兆しもあり、また場合によっては不安な兆しもあります。われわれにとって重要なことは、女性を含むさまざまな人の集団を排除せずに手を差し伸べるとの声明を出したタリバンのリーダーが、実際に約束を果たせるのかどうか確認することだと思います。
 タリバンは大規模組織であり、考え方が異なる人々の集団です。非常に伝統的な考え方をする人がいるかもしれませんし、自分たちの行為が及ぼす国際的影響や社会への長期的影響を理解していないかもしれません。
 国際社会に生きるわれわれは、二つの方法で彼らを援助する必要があります。一つは、タリバンは包括的でなければならず、女性を含む全てのグループに手を差し伸べなければならない、という私たちのメッセージを常に想起させるべく、タリバンに明確なメッセージを送り続けることです。
 もう一つは、タリバンの勝利に対しタリバンを罰してはならないということです。アフガニスタンを、尊敬に値する国、人々に受け入れられる国に変えたいと願っているリーダーを援助する必要があります。正しい方向を目指しているタリバンのメンバーの背中を押す方法の一つは、罰するのではなく援助することです。
 最も重要なことは、両者で真剣かつ冷静に対話することです。国連はこの取り組みを開始したと思います。OCHAのトップを務めるマーティン・グリフィス緊急援助調整官は、アフガニスタン国内での人道支援者の活動許可についてタリバンと腰を据えて話し合いました。UNCHRの長であるフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官も、同様に論じ合ったと理解しています。
しかし、米国、英国、ドイツ、EU、日本を含む援助資金供与国の多くが、未だタリバンとこうした対話を行っていないと聞いています。これらの国々はタリバンと連絡を取り、海外にいるアフガニスタン人職員をアフガニスタンに帰国させる手筈をととのえましたが、タリバンや国際社会の主要国との真剣な対話は行われていません。いずれにしても、タリバンとのこうした接触が事実上の承認と解釈されないよう、政府の承認という複雑な問題を慎重に検討しなければなりません。

――笹川平和財団のイベントで、「私たちは平和構築や国造りについて真剣かつ真摯に再考する必要がある」ともおっしゃいました。学ぶべき教訓にはどのようなものがありますか。また、前進するうえでこうした教訓をどのように生かすことができますか
 
 山本氏  私は、1年は国連事務総長特別代表として、4年は国連アフガニスタン支援ミッション代表として、5年半アフガニスタンに関わってきました。アフガニスタン政府の国造りへの取り組みを援助する中、さまざまなことを考えました。私たちが単なる言葉ではなく真に記憶すべき最も重要なことは、国は国民によって建設されなければならないということ、国造りへの取り組みのオーナーシップこそが、おそらく私たちが尊重しなければならない最も基本的なことだと思いました。
 アフガニスタンでのわれわれの努力が不十分だった、あるいはアフガニスタンのオーナーシップについて考慮しなかったと言っているのではありません。われわれは最優先事項として、アフガンのオーナーシップについて常に熟考しました。しかし、後になって冷静な目でわれわれの取り組みを見た場合、また中央集権的な統治機構や管理構造の創造を援助する取り組みを見た場合、地域の独立グループあるいは地域の民族グループが、独自の方法で政治・社会的状況を管理するアフガニスタンのような国で、われわれが創造しようとしていたシステムが実際に機能したかどうかを問わなければなりません。出自がこの地域ではない知事・統治者を、最も有能な人物として現地に送り、そこでの彼の存在が現在の政治・社会的権力構造を混乱させたとしたら、どうなるでしょうか。
 こうした状況は、検討の必要がある課題だと思います。われわれは世界規模で、特に紛争が社会の基本構造に影響を及ぼしてきた国、あるいは伝統的なシステムを新しいシステムに変えようとしている国でわれわれが行っている活動を、再評価する必要があるかもしれません。
 検討する必要があるもう一つの課題は、アフガニスタンの吸収能力です。国際社会がアフガニスタン支援に向けて入国した2002年、われわれは政府開発援助(ODA)を介してだけでなく、多数の軍隊によるコミュニティ・リレーションシップ充当資金を介して、多額の資金、現金を社会に注ぎ込みました。
 私が初めてカブールを訪れたとき、対照的な景色に呆然としました。寒さを凌ぎきれない建物が並ぶ極貧地区がある一方で、豪奢な大邸宅が建ち並ぶ都市。一体だれがこうした大邸宅を所有しているのだろうと思いました。大邸宅の所有者は国際社会と協力したことで幸運を手にした人達でした。
 多額の資金が投資された後も、人口の半数以上が極貧生活を送っているという事実を知れば、最も弱い立場にある人々の援助に向けた国際支援の影響を改善するにはどうしたらよいか、知りたいと思うでしょう。

――アフガニスタンや、より広い地域での日本の役割に対する期待と願望についてお聞かせいただけますか

 山本氏 日本は独自性や比較優位性をもっていますから、非常に重要な役割を担っていると思います。日本はアフガニスタンに関し、イラン、パキスタン、中央アジア諸国、トルコ、サウジアラビア、カタール、インド、中国を含む地域のあらゆる国と良好な関係を維持しています。日本は全当事者と公平に協力できる立場にあり、非常にユニークな存在です。
 アフガニスタンに多大な影響を及ぼしている国の多くは、過去からの精神的負担を抱え、あるいは隣国との複雑な関係を維持しています。日本はその公平性から、唯一無二の存在となっています。日本の活動に政治的意図はありません。そのためタリバンを含むアフガニスタンの人々に安心感を与えています。日本の活動は純粋にアフガニスタンとアフガニスタンの人々のためであるという彼らの確信を、強めることになるのです。
 また、日本には長期にわたるアフガニスタン支援の実績もあります。2002年以降の最初の数年間について、日本は第二の援助資金供与国でしたし、現在でも第三または第四の援助資金供与国となっています。
 日本は、アフガニスタン支援を目的として閣僚会議を主催した2002年と2012年の場合と同様に、経済・開発援助に向けた支援獲得施策も講じることができます。日本がこうした施策に取り組む決断を下すことが望ましいと、私は思います。
 まず実行しなければならないのは、国連と協調した人道支援です。二つ目は、日本独自のものだと思うのですが、日本がその地域諸国と対話し、また、アフガニスタンで苦い経験をしてきた米国や英国のような主要な援助資金供与国とも対話して、こうした国々をまとめるというものです。日本は国連やEUと連携してこれを実行することができます。国連やEUも同様の活動に大きく貢献できる立場にいます。
 
――笹川平和財団には、東南アジア全体に及ぶ広範なプロジェクトネットワークがあるほか、タイ南部での取り組みを含む和平調停努力への取り組み経験もあります。アフガニスタンや地域全体の平和と安定化を支援するうえでの笹川平和財団のような民間組織の役割とは、何でしょうか
山本忠通氏
 山本氏 笹川平和財団やNGOのような組織の比較優位に注目しなければならないと思います。第一に、こうした組織は非公式組織である場合があり、現地で活動し、アフガニスタンの人々に近づくことができ、迅速な行動をとることができます。
 国民を支援するには、国連のような組織が大規模な行動をとらなければなりませんが、NGOはこうした活動を補足するにあたり、国連のような組織と協力して局地紛争の解決に向けた支援を行うことができます。タリバンを社会に参加させること、また、タリバンに前アフガニスタン職員・兵士を受け入れさせ、彼らと協力させることは容易ではなく、場合によっては紛争を招くことになりかねないと思います。この問題は慎重に取り扱う必要がありますが、公平な調停者またはファシリテーターが問題解決の役割を果たせると考えています。
 もう一つ、民間組織が実行できることは社会的弱者の援助です。国連であっても、全てのコミュニティに手を差し伸べられるとは限りません。ですから、特定のニーズがあれば、NGOは自身の活動を明確にする独自のコンセプトを実際に推し進めることができ、こうしたコミュニティや人々の集団に手を差し伸べることができるのです。
 私はよく女性の教育の例を引用しています。女性の教育は多大な努力を要しますし、社会において極めて重要です。政府は援助しようとしていますが、コミュニティ内では希望通りに物事を進めることができないかもしれません。非政府組織は柔軟性が高いうえ、機敏に行動でき、援助の手を差し伸べることができますから、女性の教育こそ非政府組織が援助できる分野といえましょう。

第2グループ(平和構築支援担当) 北東アジア地域 南アジア地域
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