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SPF NOW

ブルーファイナンスで持続可能な海洋の発展を支える/黄俊揚研究員
(笹川平和財団海洋政策研究所)インタビュー

聞き手=特任調査役 湯通堂綾子


2019.12.17
9分
黄俊揚(こう・しゅんよう)研究員
 海洋政策研究所が2019年から新たに事業として取り組んでいるテーマに「ブルーファイナンス」があります。海洋環境と資源を保全しながら、海の持続可能な発展を実現するために必要な資金を調達することを意味します。経済学者として、海洋政策研究所(OPRI)でこの新分野を研究する黄俊揚(こう・しゅんよう)研究員に話を聞きました。
――ブルーファイナンスとは何でしょう

黄:環境を守りながら海をサステナブルに利用する※1ために必要な資金を、ブルーファイナンスと呼んでいます。海(ブルー)に特化した使い道のために、どのような仕組みでお金を集めて海洋環境を保全するのか、またその効果の分析が研究内容になります。

※1 「ブルーエコノミー」とも呼ばれる。ブルーエコノミーについては、 SPF NOW No. 67「ブルーエコノミーで環境・経済・社会のサステナブルな発展を/渡邉敦主任研究員(笹川平和財団海洋政策研究所)インタビュー」を参照ください。
(キャプション)ブルーファイナンス研究のメンバー。左から黄研究員、田中研究員、吉岡研究員

ブルーファイナンス研究のメンバー。左から黄研究員、田中研究員、吉岡研究員

――ブルーファイナンスは、どういったときに必要になるのでしょう

黄:
例えば、魚の獲り過ぎや、プラスチックごみなどによる海の汚染によって、漁獲量が減ったとします。将来も漁業を続けていくためには、魚(海洋資源)の保全と、汚染されてしまった環境の改善が必要です。

 保全には、禁漁区域や漁ができる時期を制限する方法があります。環境の改善には、例えば定期的な海岸清掃や下水処理設備が必要になるかもしれません。そういった対策をとるには、禁漁区域の警備をする船の購入費用や警備員の給与、処理施設の建設資金など、多額の費用がかかります。

 問題はそのための資金をどうやって確保するか、です。先進国であっても、公的な資金だけで賄いきるのは厳しいかもしれませんが、発展途上国ならなおさらです。また、民間からの投資もあまり期待できませんでした。環境の保全や再生は利益が見込みやすい事業ではなく、投資の仕組みや規制も整っていなかったためです。しかし、時代の流れと共に、環境保全をすることが経済にもプラスの影響をもたらすと考える人が増え、投資家も関心を見せ始めています。
(キャプション)2050年には、海中に存在する魚とプラスチックごみが同じ重量になるという説も

2050年には、海中に存在する魚とプラスチックごみが同じ重量になるという説も

――そこでブルーファイナンスの研究が役立つのですね

黄:
はい。もっとも私たちのブルーファイナンスの研究対象には、環境の保全だけでなく、防災・減災の取り組みも含まれています。気候変動による大型台風や海面上昇、津波など、海に関わる自然災害に対する防災・減災です。自然災害の発生を止めることはできませんが、防災・減災はできます。

 2012年の世界銀行の報告によれば、防災に1ドル投資すると、災害時には7ドル分の経済損失を回避しうるそうです。そう考えると、防災は7倍の利益を生むと言えます。このような投資効果を各地でシミュレーションしながら、その結果をグラフやデータでわかりやすく示していく研究も進んでいます。


――高い投資効果ですね。ところで実際に、ブルーファイナンスに資金は集まっているのでしょうか?

黄:
2018年には海洋に特化した債権「ブルーボンド」が発行されて話題を呼びました。債権は、市場に資金を呼び込む手段の1つです。
(キャプション)ブルーボンドの概略図 一例

ブルーボンドの概略図 一例

――債権ということは、投資家に対して利子を払わなければなりません。そこまで利益が出るのでしょうか?

黄:
ブルーボンドのうち、セーシェルが発行したものを例に説明しましょう。セーシェル政府が発行した債券は、利回り6.5%で総額は1,500万ドル。このうち500万ドルまでは世界銀行が元本保証し、さらに手数料や利子としてGlobal Environment Facilityという国際ファンドが500万ドル融資しています。リスクが抑えられたことで、一般の投資家にも投資しやすくなりました。

――1,500万ドルはどのように使われるのでしょうか?

黄:
海洋保護区域の拡大やIUU(違法・無通報・無規制)漁業※2の取り締まり、ブルーエコノミーの推進に使われる予定で、観光業の振興などの成果を見込んでいます。

※2 密漁などの違法な漁業や、漁獲量の報告を偽るなどの無報告漁業、また、国家や創業海域の規制に従わないような無規制漁業を指す。

 島しょ国や沿岸域では、産業が海洋資源に依存しているケースが多く、気候変動や自然災害リスクに対してぜい弱です。海洋資源の保全だけでなく防災・減災も進めていかねばなりませんが、特に開発途上国では政府が十分に予算を出せないことがあります。その点、セーシェルはさまざまな組織や人が協力し合うことで、効率的に資金を呼び込んでいます。そういった、連携によるブルーボンドの試みを世界に普及させていけるように、OPRIでも取り組んでいます。

――どのような取り組みをしているのでしょう

黄:
投資したくなるようなブルーボンドを発行するには、発行を目指す国や地域と国際機関、そして開発銀行も連携していく必要があります。OPRIは世界銀行やアジア開発銀行研究所など、さまざまな機関と連携できるようにネットワークを築いています。世界的に見ても、海洋のことをグローバルに研究している専門機関は珍しく、OPRIに協力を求められることも増えてきました。
(キャプション)共同研究を行うスティムソン・センター関係者と

共同研究を行うスティムソン・センター関係者と

――OPRIはどのような役割を期待されているのでしょうか

黄:
データに基づいた海洋に関わる情報の提供です。ブルーボンドの投資対象となる事業は本当にサステナブルなのか、どのようなリスクがあるか等を見極めるには、海洋の研究が欠かせません。そんな時に、OPRIが羅針盤のような存在になれればいいなと思っています。

 2019年からは米国のシンクタンク、スティムソン・センターと共同で、気候と海洋リスク脆弱性インデックスを作成しています。これは環境・政治・財政という3つのリスク分野を考える指標で、ある国や地域がどういったリスクを持つのか測定できます。
(キャプション)黄研究員は台湾の台東出身。海に親しんで育った

黄研究員は台湾の台東出身。海に親しんで育った

――今後の予定について、教えてください

黄:
ブルーファイナンスがもっと普及するように、国際会議での発表や学術誌への寄稿をしていきます。政策決定に寄与できるように、研究成果を基にした政策提言も行っていきます。私の専門は経済ですが、海や島国・沿岸域のためになることをしたいと10代の頃から思っていました。この研究ができてうれしいです。 
黄俊揚(こう・しゅんよう)研究員 略歴
2015年に政策研究大学院大学(GRIPS)で公共経済学博士号取得。アジア開発銀行研究所、GRIPS科学技術イノベーション政策研究センターでの研究職を経て、2018年より笹川平和財団海洋政策研究所に在籍し、ブルーエコノミーの経済分析や、ブルーボンドと水に関わる自然災害リスクの分析を担当。東洋大学経済学部特別講義客員教員も務める。日本海洋政策学会、日本経済学会、応用地域学会、日本城郭協会等に所属。

海洋政策研究所
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