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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

太平洋の連帯を回復、フィジー首相が宣言

(2023年2月24日、ナンディ、PACNEWS)


16分

抄訳

PACNEWSピタ・リンガイウラ記者
 
太平洋諸島フォーラム(PIF)議長を退くフィジーのシチベニ・ランブカ首相は、キリバスのターネス・マーマウ大統領(※元記事ではPrime Minister)が金曜日(2/24)にスバ協定に署名し、太平洋の連帯が回復されたと述べた。
 
ランブカ首相は、今週ナンディで仲間である太平洋地域首脳をもてなしたことは、個人的に名誉なことだったとし、「多くの地域的な関係を繋ぎ、再認識する機会となった。また、フィジーの人々が世界に誇る温かいもてなしの心をあらためて示す機会でもあった。」「ここデナラウでのフォーラムリーダーとしての集まりは、再考、刷新、祝賀(Reflection, Renewal, Celebration)というテーマで行われた。」と述べた。
 
また、ランブカ首相は「我々は、フォーラム・ファミリーであることの意味と、我々自身の連帯を守ることの重要性について考え、青い太平洋大陸のための2050年戦略へのコミットメントを新たにした。」「私は、フォーラム・ファミリーの連帯が完全に回復したことを大変うれしく思う(I’m very very pleased)」「そのために、ターネス・マーマウ・キリバス大統領が確かにスバ協定に署名したことをお伝えしたい。」とデナラウに滞在中のジャーナリストたちに語った。
 
スバ協定の下での首脳のコミットメントに沿って、彼らは次のことを確認した。
 
「我々は、本日、バロン・ディバべシ・ワンガ(元大統領)を2024年以降の太平洋諸島フォーラム次期事務局長に任命した。」
「我々は、本日、マーシャル諸島共和国のフィリモン・マノニ博士(※現PIF次長)を太平洋コミッショナー(Pacific Ocean Commissioner)に任命した。」
「我々は、キリバス共和国に太平洋諸島フォーラム・サブリージョナル事務所を設置することに合意した。」
「我々は、パラオ共和国に独立した太平洋コミッショナー事務局を設置することに合意した。」
 
ランブカ首相は、ニュージーランドとオーストラリアが、スバ協定の運用のために300万NZドルを提供したと述べた。
 
また、ランブカ首相は、日本政府が計画しているALPS処理水の放出に関する問題について、フォーラム首脳は、提案されている放出に関する政治的決定を導くための科学とデータの重要性を再確認した(On the matter of the planned release by the Government of Japan on the ALPS-treated water, Forum Leaders reaffirmed the importance of science and data to guide the political decisions on the proposed discharge)と述べた。
 
さらにランブカ首相は、会合では、地域季節労働者スキーム、太平洋地域と連携したオーストラリアのCOP31開催立候補、国連総会への決議案に関する最新情報、気候変動に関する国家の義務に関する国際司法裁判所の勧告的意見(Advisory Opinion)の要請、キリバス・ツバル・ソロモン諸島の後発開発途上国(LDC)ステータスからの卒業が間近であることなど、国々がイニシアティブを持つ広範な課題についても議論したと述べた。
 
最後に、ランブカ首相は、「リトリート終了後、フィジーが太平洋諸島フォーラムの議長国をブラウン首相とクック諸島政府に確かに譲り渡すことができ、嬉しく思う。」「わずか2カ月間とはいえ、この役割を担わせていただいたことに感謝するとともに、本日の会議の重要な成果に微力ながら貢献できたことを嬉しく思う。」「バトンを渡すとき、私たちが共通の目標を達成するためにドルア(※Drua:フィジーの伝統的カヌー)を漕ぎ出すとき、私たちは良い仲間に恵まれていると確信している。」と述べた。

コメント

2/24(金)、フィジーのビチレブ島西部ナンディにある観光地デナラウで、PIF特別首脳会議(リトリート)が開催されました。
 
全体的に見て、PIFの枠組みにおける2019年以来の相互不信感を含む加盟国間の不和の状況が修復され、さらに言えば、2006年のフィジーにおける無血クーデター以降続いていたざわめきが収まった、PIFの歴史において重要な転換点となった会議となりました。
 
あらためてPIFの枠組みとしての地域と国の関係ですが、PIFの最上級の決定は首脳の合意によるものであり、PIF事務局はその決定事項に沿って活動することがPIF協定(2000、2005)で取り決められています。 同協定にもあるとおり、本来、PIF事務局長やPIF事務局には、首脳の意思を超越したり、首脳に指示を出すような権限は付与されていません。
 
首脳の合意事項が公式化されるのがPIF首脳会議コミュニケであり、今回のリトリート・コミュニケも首脳の意思を示したものになります。過去の例からいえば、リトリートは地域で緊急対応が必要な場合(例えば、ソロモンにおける部族紛争への対応やフィジーにおけるクーデターへの対応など)に開催され、リトリートの結果に基づき事務局が緊急対応などを実施したり、リトリートの決定事項が年次総会(PIF首脳会議)で改めて確認されるということになります。
 
さて、今回のリトリートの結果で、3つの点が注目されます。
1. ALPS処理水
2. スバ合意(ミクロネシア諸国をPIFの枠組みに戻すための取り決め)
3. 2019年以来の不和の修復
 
1. ALPS処理水
ALPS処理水については、次のように合意されました。

「提案されている放出に関する政治的決定を導くための科学とデータの重要性を再確認した(On the matter of the planned release by the Government of Japan on the ALPS-treated water, Forum Leaders reaffirmed the importance of science and data to guide the political decisions on the proposed discharge)」
 
太平洋島嶼国では、相手に恥をかかせないことが重要であり、相手が間違っていたとしても、指をさして「お前は間違っている」と発言したり、声を荒げたり、正しい答えを押し付けることは忌避される行為であり、タブーといえます。相手が恥をかかないように振り上げた拳を下ろさせるというプロセスが大切な場合が少なくありません。
 
PIF専門家パネルおよびPIF事務局は国際基準を否定している姿勢をとっていることから、政治的決定を導くための「科学とデータ」が何を意味するのかが立場により異なっている可能性があります。しかし、間違っているかもしれませんが、筆者としては、この一文から、首脳間で意見が分かれていること、言葉遣いが正確になっていることから理解が進んでいること、PIF事務局による昨年10月以降の過剰な反応と理解している首脳の間に認識のギャップが生じていることが読み取れます。
 
今後、IAEAレポートの発表が重要なポイントとなるとともに、特に南半球の太平洋島嶼国で反対の声が強いことから、日本による現地メディアを通じた正確な情報の発信が重要になると考えられます。

2月中旬に筆者がパラオに出張した際、現地政府高官は「処理して安全なんだろう?何が問題なんだ?」と発言していました。2月上旬に反対する国の政府高官が伝えてきた「日本は核廃棄物の海洋投棄を止めるべき」というものと比較すると、国により共有されている情報あるいは情報に対する理解に大きな違いがあることが推察されます。
 
2. スバ合意
昨年7月のスバ合意に基づいて、今回次の4点が決定されました。

①ナウルのワンガ元大統領を2024年以降の太平洋諸島フォーラム次期事務局長に任命
台湾承認国からPIF事務局長は30年ぶりであり、現在の地政学的状況においては大きなインパクトがあると考えられます。ナウルは2011年頃から国家財政が安定化し、これまでも静かにリーダーシップを示してきました。米豪NZとの関係も良好です。一方、米国自由連合国(北部ミクロネシア諸国)からの事務局長就任はなくなりました。

②マーシャル諸島共和国のフィリモン・マノニ博士(※現PIF次長)を太平洋コミッショナーに任命
2019年当時から問題となっていたのが、事務局長がミクロネシア地域から任命された場合の次長の処遇です。事務局長と次長が同じ地域出身という状況を変える必要があるためです。太平洋コミッショナー(Pacific Ocean Commissioner)の明確な役割は不明ですが、太平洋島嶼国が海洋の管理者として海洋に関する多様な問題に対し(特に環境や持続的健全性など)、国際社会で戦う立場になることが想定されます。マノニ博士は、ソロモン諸島のトランスフォーム博士のように法律家であり、タフなコミッショナーとして活躍されることが期待されます。
 
③キリバス共和国に太平洋諸島フォーラム・サブリージョナル事務所を設置することに合意
キリバスももともと骨のある国であり、地域課題に対して受け身ではなく主体的に対応する姿勢をしばしば見せてきました。この合意によりキリバスを通じてミクロネシア諸国の声、さらにはより小さな島嶼国(Smaller Islands States)の声がPIFの場に反映されやすくなることが期待されます(PIFの枠組みでは地域の大きな国であるフィジー、パプアニューギニア、サモアなどが支配的である一方で、より小さな島嶼国の声が反映されにくいという見方がある)。
 
④パラオ共和国に独立した太平洋コミッショナー事務局を設置することに合意
パラオは現在国連を舞台にした太平洋小島嶼開発途上国(PSIDS)議長国であり、2025年からは小島嶼国連合(AOSIS)の議長国を務める予定です。パラオは賢明で戦略的な対応をしたように思われます。
 
3. 2019年以来の不和の修復
今回の合意を加速させた一つの要因に、1月に報じられた2期目を求めるプナPIF事務局長の発言があります。この発言は、昨年7月のスバ合意を反故にするものであり、首脳の意思を越えたものとなり、ミクロネシア諸国首脳の静かな怒りを招きました。改めてPIFの枠組みに亀裂が生じた過程を確認します。
 
・2019年2月上旬、テイラーPIF事務局長がPIFとして中国との関係強化を求めるような発言を行う。
⇒加盟国である台湾承認国の立場を超越した発言であり、パラオなどの反発を招く。
・2019年2月中旬、ミクロネシア大統領サミット(当時は5か国中4か国が台湾承認国)共同声明で、PIFにおける台湾の処遇を他の域外対話国と同等にすること、次期事務局長をミクロネシア地域から選ぶこと(もともと首脳間の紳士協定で次期事務局長はミクロネシア地域からとされていた)をPIF事務局に要求。
・2020年6月、クック諸島のプナ首相が、10月に首相を辞任しPIF事務局長選に立候補を表明。その後、さらに3名がミクロネシア地域以外から立候補した。
・2021年2月、PIF特別首脳会議(オンライン)における投票で、9対8でプナ氏がマーシャル諸島出身のザキオス候補を破り次期事務局長に選出される。通常、加盟国間で合意形成が行われるため、明確に投票により事務局長を決めたのは異例であった。
⇒ミクロネシア諸国がそれぞれPIF脱退手続き開始(※この頃まで、PIF事務局が加盟国を超えるような強い組織であると認識されていた可能性がある)。
・2021年5月、プナ氏がPIF事務局長就任。
・2022年2月、米国などの働きかけにより、一定の条件(ミクロネシア地域からのPIF事務局長就任など)を満たすことを条件に、ミクロネシア諸国が脱退手続きを停止(ただし、この過程にキリバスは含まれていなかった)。
・2022年3月、マーシャル諸島カブア大統領が、PIF協定に反して、無理にプナ事務局長を退任させることは望まないと発言。
・2022年7月、スバ合意。キリバスを除くミクロネシア諸国が脱退撤回(マーシャル諸島は技術的に脱退となったが国内の法的手続きを経てのちに復帰)。キリバスは脱退。
・2022年12月、フィジーで政権交代、ランブカ首相就任。
・2023年1月、ランブカ首相・マーマウ大統領会談、キリバスPIF復帰へ。
・2023年1月、プナ事務局長が2期目を期待する考え表明。
・2023年2月、ミクロネシア大統領サミットで次期事務局長候補合意。
・2023年3月、PIF特別首脳会議(リトリート)、PIF加盟国の連帯の回復。
 
ミクロネシア諸国首脳にとってプナ氏は地域の不和を招いた張本人であると認識されており、一方でプナ氏の名誉を守る意味でも1期は全うするよう妥協した(スバ合意)経緯があります。これに対し、今年1月にプナ氏が事務局長2期目を期待する発言をしたため(PIF協定では連続2期6年まで認められている)、ミクロネシア諸国は不快感を持ったと考えられます。
 
2022年2月には、プナ氏を勇退させ、代わりに太平洋コミッショナーに就任させてニュージーランドがオフィスを用意する案がありましたが、今回、ミクロネシア諸国は同コミッショナーポストも同コミッショナー事務所も確保しました。
 
 
最後に、フィジーの協力者も同意していましたが、ランブカ首相はフィジーと地域の傷を癒し、問題を修復するために現れたかのようであり、首相就任後2か月あまりで地域の連帯回復を実現させました。一方、この過程でPIF事務局のあり方が暗に問われており、本来の首脳の意思が事務局の上に立つ構造が再確認されたように思われます。

今回のリトリートはPIFの枠組み(PIF事務局ではない)が新たな段階に入る転換点であり、地域におけるPIFの中心性を確かなものにする出発点になったと評価できます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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