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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

兵員1万3千人、航空機200機、空母2隻:マリアナ諸島とパラオで大規模な演習が展開される

(2022年6月10日、ハガッニャ、THE GUAM DAILY POST/PACNEWS)


抄訳

マリアナ諸島とパラオ共和国の住民は、この地域で実施されている米軍の大規模演習で、ミクロネシア海域で実弾射撃が行われる場合、環境緩和措置が含まれていることを保証されている。
 
2年に一度、アメリカ軍のあらゆる部門が参加する訓練「Valiant Shield 2022」の主催者は、木曜日の会見で、今年の演習について地元メディアに質問するよう呼びかけた。
 
Valiant Shieldは、米空軍、陸軍、沿岸警備隊、海兵隊、海軍、宇宙軍のメンバーが集まり、「海上、空中、宇宙、陸上、サイバースペース」で想定される脅威に対する共同作戦をテストすると、記者団に提供されたメディアキットに記載されている。
 
USS ロナルド・レーガンとUSS エイブラハム・リンカーンの2隻の空母が、護衛艦を伴い参加する。米太平洋艦隊によると、第94陸軍航空・ミサイル防衛司令部、海兵隊遠征軍、空軍第36航空団、水上艦15隻、航空機200機以上、推定兵力1万3000人が参加する。
 
Valiant Shieldは6月6日から始まり、6月17日まで行われる。
 
2008年に初めて実施されて以来、パラオの参加は最小限にとどまってきた。今年、軍の指導者たちは、パラオ共和国で初めてパトリオットミサイル防衛システムの試験を行うなど、Valiant Shieldの一部を同共和国で実施する承認を得ることができた。
 
Valiant Shield 2022の合同演習統制グループ長であるRobb Chadwick II少将は、その実戦演習を行う部隊はよく訓練されており、その点はパラオ政府のメンバーとも共有されているとし、「同部隊は、非常に定期的にこの訓練を行っている。実際、この2年間で5回行い、いずれも安全上の問題や環境に悪影響を及ぼすようなことはなかった。」と述べた。
 
Chadwick氏によると、パラオの参加とパトリオットのテストは、米軍の人員と資産が「どこでも」効果的に運用できることを示すのに役立つという。
 
グアムのミクロネシア地域の隣国であるパラオは、領海(※ママ:実際には排他的経済水域)の約80%で商業漁業を禁止し、観光客に生態学的・文化的に責任ある行動をとるよう誓約書に署名させるなど、環境政策を率先して行うことで世界的に知られている。
 
その環境政策が、パラオの土地や水の利用を交渉する際に、米軍関係者が意識していたことである。
 
Chadwick氏は「彼らと協力し、保証するということについて、我々はこの種の活動を実施してきた歴史があり、また、悪影響を与えずに安全に実施することができる」と述べ、パラオが提案に同意したことに「たいへん感謝している」と付け加えた。
 
さらに、Joint Region Marianasの地域環境コーディネーターMark Cruz氏は、パラオ政府との交渉が同国大統領まで及んだことを紹介し、その過程を説明した。
 
「彼がこの選択肢を受け入れる気になったところで、我々は彼らのスタッフと協力して、環境プロセスがどのように進むのか説明した。」「その多くは、これが実際に何を意味するのか、これに伴う影響は何なのかを教育することである。我々は、そのような要件を明確に説明することができた。そして、彼らはとてそれを受け入れる姿勢があり、環境配慮手段が整っていることが認識された。また安全が彼らが懸念している大きな要素であることが明らかであった。そして、そのすべてを考慮し、この訓練の戦略的な重要性を認識した上で、我々が進めることを許可してくれたのだ。」とCruz氏は述べた。
 
緩和策は、実弾射撃訓練を行うための陸上または海上の適切な場所を特定し封鎖するための、環境保護庁(EPA)や米国海洋大気庁(NOAA)を含む連邦規制当局との事前承認プロセスを含む。
 
当局によると、演習で残った残骸は回収されることになっている。しかし、Cruz氏は、多く物質は、それを見つけたり、陸上に持ち帰ることが実行不可能だからであるため、取り残されると明言した。
 
例えば、「Valiant Shield」での典型的な訓練である退役船の沈没の前には、すべての危険物質が船から取り除かれるという。しかし、船の大きさと、それをきれいにするための初期段階の作業であることから、軍は承認された "SINK-EXs" を通して、魚雷や爆撃を受けた船を復旧する必要はなく、またそのつもりもないということだ。
 
ミサイルや、外洋で撃たれた弾丸などの兵器などから飛び散った放射性物質(fallout material)も、同様に回収されない。
 
しかし、これらの活動は、どのような残骸を残すことが許されるかを含めて、すべて合法であるとCruz氏は強調し、「 これらはすべて、5年から7年ごとに取得する許可のもとに行われる。その許可には、海洋哺乳類への影響や、演習地点などが記載されており、我々はこれらの演習を継続することができる。」と述べた。
 
マリアナ諸島周辺海域は事前承認された演習地点を含むとし、「浮遊標的など、実際に回収できるものは回収している」「明らかに、沈んだら回収できない。回収できる残骸は無数にあるが、残念ながら海底に沈んでしまうものは回収できない。」とCruz氏は述べた。
 
パラオ、グアム、北マリアナ諸島は、参加部隊が荷物をまとめて出発する前に、自由時間、つまり上陸休暇が与えられることを期待すべきだ。Chadwick氏は、休息、リラックス、レクリエーションの時間を与えられる軍人に伴う経済波及効果を、地元企業が期待できることを認めた。
 
Valiant Shieldの主催者がGuam Daily Post紙に語ったところによると、ほとんどの部隊は参加する2隻の空母のうちの1隻の艦上にとどまるが、数千人が自由を満喫する見込みであるとのこと。
 
Chadwick氏は「米軍が駐留する地域には、常に経済的な好影響がある」「(我々の部隊は)演習期間、大変忙しくなるだろう。しかし、上陸して自由を満喫する時間はある。私はパラオに行ったことがないが、素晴らしい場所だと理解している」と述べた。

コメント

本記事では、グアム、北マリアナ、パラオ周辺を対象とする米軍の合同軍事演習Valiant Shieldに関するもので、初めてパラオで実弾演習が行われること、環境への影響に対する懸念と措置、経済効果が述べられています。
 
パラオでは2017年頃から米軍の関与姿勢が変化し始め、特に2年ほど前からさらに米軍のプレゼンスが高まっています。パラオでの関連する流れを簡単に振り返ります。(参考:ブレーキングニュース「パラオ大統領台湾訪問、トラベルバブル始動へ(2021年3月29日、AFP/PACNEWS)」など)
 
1.2013年~2022年2月まで
2013年 経済成長を目指し中国観光客市場開拓、議会で中国との貿易協定締結の動き
2014年~2016年 中国からの観光客急増、現地観光客シェアの過半数を占める、2015年がピーク
2016年頃 中国民間によるアンガウル島観光開発案(滑走路、港湾の再開発含む)
2017年 米トランプ政権(共和党)誕生
      パラオ議会で中国との投資協定締結の動き(2/3条項で否決)
      中国、パラオに台湾との断交迫るが拒否。中国、パラオへの直行便停止措置
      米海軍が北朝鮮の大陸弾道弾対策としてレーダー設置を提案(パラオ側の意向を汲みEEZ管理 
            のための海域レーダーを含む5~6基)、パラオ側は土地確保へ
2019年2月、ミクロネシア大統領サミット、PIFの中国関係強化姿勢非難、台湾の対等な扱い求める
         PIF事務局長ポストがミクロネシアの番と主張
    5月、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル大統領が史上初ホワイトハウスで米大統領と会談
      8月、ポンペオ米国務長官、ミクロネシア連邦訪問、米国自由連合国首脳と会談
    9月、ソロモン諸島、キリバスが相次いで中国と国交樹立、台湾と断交
        ミクロネシア大統領サミット:次期PIF事務局長候補擁立、紳士協定強調
    10月、ポンペオ国務長官、ツバルなど台湾承認国での先進国および台湾の開発協力連携を期待

2020年(※コロナパンデミックの時代に入る)
※パラオ南西諸島、アンガウル島、バベルダオブ島ガラード州、カヤンゲル島などがレーダー候補地に
    9月、エスパー国防長官、パラオ訪問、「中国は安全保障上の脅威」と会見で明言
        パラオ大統領予備選
          ミクロネシア大統領サミット、PIFに紳士協定順守と脱退可能性を通告
     11月、ウィップス次期大統領当選
2021年1月、ウィップス政権誕生
    2月、PIF臨時サミット、プナPIF次期事務局長選出、
       パラオPIF脱退表明、他のミクロネシア諸国も同調
    3月、パラオ ウィップス大統領 台湾訪問、米国大使も
    5月、パラオ ウィップス大統領 グアム訪問、米国と協議
    8月、パラオ ウィップス大統領 ハワイ 米インド太平洋軍司令官と協議
      パラオ ウィップス大統領 DC訪問、国務長官、国防長官らと協議
    11月、ソロモン諸島で暴動、中国が警察部門への関与拡大へ
2022年2月、米 インド太平洋戦略発表
      ブリンケン国務長官フィジー訪問
      ミクロネシア大統領サミット、PIF脱退手続きの6月までの凍結決定
      ロシア、ウクライナ侵攻
 
2.2022年2月以降(日付は※なしの場合、PACNEWS記事掲載日)
3月24日 ソロモン諸島・中国安全保障協定草案リーク
     NZ国防相、フィジー訪問
     英国、フィジーと海洋安保協定締結
3月28日 NZ外相、フィジー訪問
     NZ・フィジー、ドゥアバタ・パートナーシップ締結
3月30日 カブア・マーシャル大統領、法的正当性を欠くとし、プナPIF事務局長の退任に反対
4月19日 カート・キャンベル 米国国家安全保障会議インド太平洋調整官フィジー、ソロモン、PNGへ
4月19日 中国政府、ソロモン諸島との安保協定締結発表
4月21日 カート・キャンベル調整官、フィジー訪問、地域安全保障を議論
     米国・フィジー防衛・安全保障協力協議
     パニュエロ・ミクロネシア連邦大統領、米国とのコンパクト改定パッケージ案発表
4月25日 豪州、フィジーの新海軍基地支援発表
     オーストラリア総督、フィジー訪問
     ミクロネシア連邦、米国とコンパクト改定協議
4月27日 ウィップス・パラオ大統領、米国とコンパクト改定協議へ
5月6日~8日(※)日本 林外相、フィジー、パラオ訪問
5月18日 パラオ、米国とのコンパクト部分改定交渉迅速化
5月22日(※) バイデン米大統領訪日(3日間)
5月24日(※) クアッド首脳会議(日本)
5月26日(※) 王毅中国外相、太平洋島嶼国歴訪開始(10日間)
        フィジー、インド太平洋経済枠組み(IPEF)参加
5月30日 中国・太平洋島嶼国10カ国外相会談、地域協定締結ならず
6月7日(※)ミクロネシア5カ国のPIF脱退回避
 
このように見ていくと、大きくはいくつかの流れがあることが分かります。
 
1つ目は、台湾有事を想定した北太平洋地域、とりわけパラオを含む安全保障を取り巻く動き。これにはコンパクト改定交渉も関わります。

2つ目は昨年11月のソロモン諸島の暴動を端緒とした中国の地域安全保障枠組み変更への挑戦とそれに対する旧宗主国を中心とした先進国側の対応。こちらもコンパクトが関わります。

3つ目はこれらの中国の動きやロシアのウクライナ侵攻など世界情勢の不安定化を背景とした地域結束への回帰機運の醸成。

さらに、本記事ではあえて取り上げていない太平洋島嶼国および旧宗主国の気候変動をめぐる動きがあります。

2つ目および3つ目の内容については、現時点で状況は落ち着いています。1つ目については、つい数日前にパラオのアンガウル島でパトリオットミサイルの実射訓練が行われるなど、今後もその動向が注目されます。
 
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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