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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

ランブカ・フィジー首相、国連総会で力強く演説

(2023年9月25日、ニューヨーク、フィジー政府/PACNEWS)


14分

抄訳

シティベニ・ランブカ・フィジー首相は、先週金曜日(※9/22)にニューヨークでの国連総会で行った演説の中で、太平洋を「Zone of Peace(平和地帯)」とする概念を紹介した。
 
太平洋フォーラム首脳が発表した「地域の安全保障に関するボイ宣言」に呼応するように、ランブカ首相は、このコンセプトが世界秩序に対するブルー・パシフィック(Blue Pacific)の貢献になると強調した。
 
ランブカ首相は、世界最大の海洋であり、重要な炭素吸収源であるブルー・パシフィックの重要性を認識し、その保護と持続可能な管理の必要性を強調した。
 
ランブカ首相は、「青い太平洋大陸のための2050年戦略(2050 Strategy for the Blue Pacific Continen)」と、「先住民族の権利に関する国連宣言(United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples, UNDRIP)」、「部族および先住民族の権利に関するILO条約第169号(ILO Convention 169 on the Rights of Tribal and Indigenous People)」を含む人権協定および条約の実施に向けた取り組みについて言及した。
 
そして、国際平和を脅かす複雑な問題や地政学的対立の激化の原因が、いかに利己的な目標によるものであるのかを強調し「これらの多発する危機に対処するために多国間決定を活用するのではなく、私たちは生存のために集団行動を必要とする予測不可能な時代に生きていることを強調し、各国が団結するよう要請する」と述べた。
 
首相は、地政学的緊張と気候変動に対する太平洋地域の脆弱性を指摘し、気候変動が太平洋の平和と安全に対する脅威として認識されていることを強調した。
 
首相は、また、どの国も孤立してこの問題に取り組むことはできないと強調し、誰一人取り残されることのないよう、「共通の富(Common Wealth)」を共有するアプローチを呼びかけた。
 
ランブカ首相はさらに、Covid-19パンデミックがフィジー経済、特に経済回復に不可欠な観光セクターに与えた影響についても言及した。
 
同首相は、世界的な課題の相互関連性と、効果的な多国間主義による統合的対応の必要性を強調した。
 
持続可能な開発に関し、ランブカ首相は、事務総長の「我々の共通のアジェンダ(Our Common Agenda)」と持続可能な開発目標(SDGs)の加速を支持するフィジーのコミットメントを表明した。
 
また、同首相は、「未来サミット」開催に向けた事務総長のイニシアチブを称賛し、世界的な協力を強化する極めて重要な機会であるとした。
 
ランブカ首相は、2030アジェンダが中間地点に差し掛かる中、「行動への呼びかけ(Call to Action)」に応えるため、より強力なパートナーシップを求めた。
 
また、フィジーの平和維持要員が6つの国連ミッションに参加していることや、国際法に基づく事務総長の「平和のための新たなアジェンダ(New Agenda for Peace)」との整合性など、世界の平和と安全保障に対するフィジーのコミットメントを強調した。
 
ランブカ首相は最後に、気候行動(climate action)、気候変動への強靭性(climate resilience)、COP28の重要性、特にロス・アンド・ダメージ基金の運用方法の最終的な決定へのフィジーのコミットメントを確認した。 そして、小島嶼開発途上国による気候変動資金へのアクセスを可能にするため、世界金融構造を早急に改革するよう呼びかけた。
 
国連総会での首相の演説は、世界平和、持続可能性、そして現代の差し迫った課題への取り組みに対するフィジーの献身的な姿勢を強調するものであった。
 
一方、ランブカ首相は、太平洋諸国、特に小島嶼開発途上国(SIDS)の安全保障と強靭性にとって、経済的繁栄が極めて重要であることを強調した。
 
同首相は、これらの国々が世界経済との関わりにおいて直面する特有の課題を強調し、脆弱性に対処し、経済発展を支援するための緊急の改革を求めた。
 
「はじめに、我々は、太平洋諸国の安全保障および将来のショックに対する経済的強靭性を構築する上で、経済的繁栄が重要であることを強調する。」「経済回復、持続可能な開発、そして主権独立(sovereign independence)を目指す上で、経済的な道筋(economic pathways)の強化は極めて重要である」と首相は述べた。
 
 
さらに首相は「世界的な金融機関が持つ力の不均衡がある。国際的な基準や規範に関する世界的な議論において、(太平洋を含む)開発途上国の意見が反映されていない。」「既存のグローバル金融アーキテクチャーは、資源と機会への不平等なアクセスにつながるグローバルな経済的不平等を永続させている」と述べ、世界的な財政管理とマネーロンダリング防止基準によって、小規模な行政当局に不釣り合いな負担がかかっていることを強調した。。
 
また首相は「SIDS(小島嶼開発途上国)にとって、アクセスに関する多国間協議に参加し、提唱するための継続的な闘争は、非常にコストがかかるものであり、経済的進歩、統合、強靭性への変革的行動の道筋を阻害する可能性がある。」と述べた。

コメント

昨年12月、フィジーで55議席を争う全国比例代表制による総選挙が実施され、バイニマラマ氏率いる当時の与党フィジーファースト党26議席、野党のランブカ氏率いるPeople's Alliance党21議席、ティコンドゥアンドゥア氏(元バイニマラマ氏の部下)およびビーマン・プラサド博士率いるNFP党5議席、故ガラセ元首相の旧SDLから発展したSODELPA党3議席という結果となりました。そして、その後の国会招集後に行われた議員による首相選出投票で、フィジーファースト26+SODELPA1の計27票に対し、People's Alliance 21+NFP5+SODELPA2が計28票を集め、ランブカ連立政権が誕生しました。
 
以下、フィジーにおける情報収集や分析に基づく、筆者の主観的な見立てとなります。

まず、各政党には次のような特徴があります。なお、フィジーの人口構成はおおむね先住民系5割強、インド系4割弱、他にロトゥマ、アジア・欧州系等からなり、インド系住民はイギリス統治時代に農業従事者として移住した人々の子孫を中心に、グジャラート州などから移住した人々の子孫で主にビジネスに従事する方々からなります。

・People's Alliance:支持者は主に先住民系で強めの支持者を含む。多文化多民族国家を維持するも先住民系の権利確保の傾向。
・NFP:支持者は主にインド系、先住民系それぞれのインテリ層。
・SODELPA:支持者は主に温和な先住民系。先住民系エリート層優遇・伝統的権威保持の傾向あり。
・フィジーファースト:先住民系の伝統的権威に影響されず、皆平等。多民族多文化国家を標ぼう。先住民系保守派にはインド系優遇とみる人たちもいる。
 
ランブカ連立政権が誕生した際、先住民系の権利、特に伝統的権威を保守する国に戻ることが予想されており、先住民系を中心とする支持者に期待されていました。キャスティングボードを握るSODELPAもその点からランブカ連立政権に加わったと考えられます。
 
フィジーファーストは多民族多文化国家への改革をすすめ、経済発展を優先させ順調に国の経済発展が進んでいましたが、コロナ禍により経済が失速したことに加え、長期政権を変える必要性を認識した従来の支持者が離れた結果、敗れたとみることができます。政権交代後はさまざまな問題によりNo.1のバイニマラマ前首相もNo.2のサイエド=カイユム前司法長官も議員を辞職し、現在は元JICA研修員でもあるセルイラトゥ元大臣が党首となっています。
 
また、ランブカ首相とバイニマラマ前首相には深い因縁があります。
 
かつてランブカ首相は軍司令官時代の1987年にクーデターを2度起こし、いずれもインド系政権を倒しました。1992年から1999年には伝統的首長のカミセセ・マラ首相の後を継いで首相を務めました。
 
2000年にはインド系チョードリー政権を倒すため先住民系の民間人スペイトがクーデターを起こし、これを当時のバイニマラマ軍司令官が制圧しました。当時、スバ市内での陽動作戦もあり、その戦略的手法や多くの武器が用意されていたことなどから、破産した民間人による暴動などではなく、軍関係者が関わっていたのではないかといったさまざまな疑問が残されています。その後、同年にはフィジー軍のバラックにおいてバイニマラマ軍司令官が銃撃される暗殺未遂事件も発生しました。当時を知るインド系住民からは感情に火が付いた先住民系住民により、インド系住民が安心できない状態に至り、豪州やNZに移住する人々が増えたと聞きます(詳細省く)。
 
その後、先住民系ガラセ政権が誕生しましたが、2006年12月、約1年間の交渉の末、先住民系エリート層優遇から多民族国家へ国家改革などを目的としたバイニマラマ軍司令官による無血クーデターが発生しました。先住民系政権に対する初のクーデターでした。この結果、2007年から2014年までのバイニマラマ暫定政権、2014年の総選挙による民政復帰を経て、2022年までバイニマラマ政権が継続しました。この期間、2000年クーデターに関与したとみられる軍関係者やランブカ元軍司令官支持者は冷遇される傾向がありました。
 
こういった背景から、昨年末のランブカ政権誕生の際には、2000年クーデター周辺の人々やバイニマラマ政権下で冷遇されていた(と考えられている)先住民系の人々の復権、バイニマラマ政権下で廃止された伝統的権威によるGreat Council of Chiefs(GCC)の再建などが注目されていました。
 
しかし、そういった先住民系住民の期待はありつつも、連立政権成立後のランブカ政権は極端な先住民系優遇の姿勢をとることはなく、温厚なランブカ首相が国内や太平洋島嶼地域内で前政権がもたらしたさまざまな傷の修復に努めてきたように見えます。そこには、バイニマラマ政権下の独断的な手法が一因となり昨年7月にPIF(太平洋諸島フォーラム)から脱退したキリバスのマーマウ大統領に対する伝統的手法による謝罪(これにより今年2月キリバスが誇りを維持したままPIFに復帰)、バイニマラマ政権下で緊張が高まった豪・NZとの関係の改善(バイニマラマ政権下でも豪・NZとの関係は回復していたが、以前のようにより親しくなった)、中国との間で深まった関係性のリセット、民間部門における不可思議な関係性のリセットなどが含まれます。
 
この温和な姿勢の一方で、現地メディアでは、先住民系の伝統的権威を有する人々のポストを期待して連立政権に合流したSODELPA党には不満があるとの報道があり、のちに同党がこれを否定するという動きもありました。別の記事では、今年に入り、フィジーから豪、NZ、米、カナダへの移民が増えており、その数は1万人を超えていると報じられています。
 
そのような中、四半世紀ぶりに国連の場に復帰したランブカ首相を与党・野党双方の支持者が注目しており、これに対しフィジー政府からランブカ首相の活躍を伝える本記事が発出されました。
 
ランブカ首相は今回の演説で、先住民の権利、太平洋を平和地帯にという概念、フィジーの国際平和維持への貢献、国際社会の協働行動、経済の重要性、国際的金融構造の改善(フィジーは多くの債務を抱えている)などについて述べています。これは、地政学的競争や島嶼国が考える安全保障(気候変動や経済など)といった考えが概ね理解されていることを前提とし、一つ深く掘り下げた具体的な議論に繋げていく考えがあるように思われます。

今週、第2回米国・太平洋島嶼国サミットが首都ワシントンDCで開催されます(※ニューヨーク開催計画があったため同地開催と記載しましたが誤りでした。修正させていただきます)。より具体的な行動を求める太平洋島嶼国に対して、どのような成果がもたらされるのか注目されます。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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