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クック諸島野党、マーク・ブラウン首相に対する不信任案を提出

(2025年2月13日、ラロトンガ、COOK ISLANDS NEWS/PACNEWS)


13分

抄訳

クック諸島パスポート案の頓挫と、今週中国と締結予定の包括的戦略的パートナーシップをめぐる最近の騒動を受け、首相と内閣に対する不信任動議が提出された。
 
クック諸島統一党の党首であるテアリキ・ヘザー氏は、マーク・ブラウン首相は国民に謝罪し、「潔く」辞任すべきであり、さもなければ議会で不信任案を議決すると述べた。
 
水曜日の朝(ニュージーランド時間では木曜日)、国会事務総長のTangata Vainerere氏が不信任動議が提出されたことを確認し、その通知を国会議員に提出した。
 
議会は今年初めて、2月17日(月)に召集され、補正予算の提出を含む、さまざまな法案や文書を審議する予定です。
 
野党議員のヘザー氏は、ブラウン首相が「検討対象外」と後に認めたパスポートの問題と中国との協定に関するニュージーランドとの協議の欠如を懸念している。
 
ニュージーランドは、特別な憲法上の取り決めにより義務付けられている適切な協議が行なわれなかったとして懸念を表明している。しかし、ブラウン首相は、クック諸島がニュージーランドの要求するレベルの詳細な内容を提供する必要はないと助言したと述べた。
 
「ブラウン首相は状況をうまく処理できていない。彼は潔く退陣すべきだが、そうしなければ、私は議会で不信任票を投じる。それが結論だ」と、ヘザー氏は水曜日にクック諸島ニュースに語った。
 
「私はその動議を推進するつもりだ。少なくとも支持が得られなかったとしても、私はそれを実行し、やり遂げたことになる」
 
また、ヘザー氏は、首相はクック諸島の人々に対して謝罪すべきだと考えていると述べた。
 
「単純に謝罪すればいい。彼は間違いを犯した、それだけだ。」
 
クック諸島ニュースは、ティナ・ブラウン野党党首にヘザー氏の不信任動議に関するコメントを求めた。
 
ティナ・ブラウン野党党首は日曜日、パシフィック・メディア・ネットワークに対し、住民は怒っており、ブラウン首相に「退陣すべきだ」という圧力と強い感情が高まっていると語った。
 
ティンギカ・エリカナ外相によると、首相は閣僚の信頼を得ており、閣僚は首相と中国との合意を支持している。
 
ブラウン首相は、代表団を率いて中国を公式訪問中である。水曜日は公式訪問の3日目にあたり、この間、ブラウン首相は中国との包括的戦略的パートナーシップ(CSP)に関する共同行動計画の調印を監督する予定である。また、中国の李克強首相および習近平国家主席との会談も予定されている。
 
協定の内容と署名日は依然として不明である。
 
「現段階では、協定に関する話し合いはまだ継続中であり、現時点で署名日を確定するのは時期尚早だ。しかし、正式な進展があれば、外務・移民省の公式メディアリリースを通じて最新情報を共有する」と、水曜日にクック諸島ニュースにクック諸島外務・移民省の広報担当者が語った。
 
 
クック諸島の人々に対する政府の方針に異議を唱えるため、月曜日に国会議事堂前で抗議デモ行進が実施される予定だ。
 
ヘザー氏は、ブラウン首相が提案した物議を醸したクック諸島パスポートの導入に反対する市民を結集し、「平和的」な抗議デモの先頭に立っている。
 
月曜日の夜、アロア・ヌイ・ホールで開催されたヘザー氏の公開ミーティングには100人以上が参加し、政府が国民の声を無視した行動を取っていることへの懸念を表明した。
 
「ただ座っているだけでいいのか。」
 
「私たちは、この国のためにこれをしなければならない。これは政治的な抗議ではなく、クック諸島の人々が団結して抗議しているのだ。もしその結果を理解しているなら、その理由も理解できるだろう。」
 
ブラウン首相は、ニュージーランドが(ニュージーランドパスポート)保有者にニュージーランドパスポートの放棄を求めると警告した後、この提案を断念したが、「もう手遅れだ」。
 
この問題は、国家のアイデンティティ、主権、そしてクック諸島とニュージーランドとの関係への影響についての激しい議論を呼び起こした。
 
ヘザー氏は市民の懸念を受け止め、このような動きはクック諸島とニュージーランドの関係を長年定義してきた歴史的な絆と市民権の共有を損なう恐れがあると主張した。
 
彼は、クック諸島のアイデンティティ・パスポート案は "白紙 "だとするブラウン首相の声明に不信を抱いている。
 
「現時点ではそれは白紙だが、しかし、いつまで白紙なのか」とヘザーは疑問を提起した。
 
「彼が行ったことは我々のニュージーランドとの関係に影響を及ぼした、ゆえに我々は非常に深く懸念しているのだ。」
 
「私たちは声明を出しているのだ。この行進は、ニュージーランド政府に対して、私たちクック諸島の国民は首相に同意していないことを示すためのものなのだ。」
 
「我々はニュージーランド政府にクック諸島の国民がニュージーランドのパスポートを維持し、ニュージーランドとの関係を大切にしていることを見せたい。」
 
ヘザー氏は、クック諸島が提案した中国との協定に対するニュージーランドの反応も懸念していると述べた。
 
彼は住民に平和的な抗議に参加するよう呼びかけた。
 
月曜の朝、ドラムをたたく人たちが国会議事堂の両側の大通りに配置される。午前10時45分、人々が国会に向かって移動し始めることで、抗議活動が進む。ヘザーは、抗議者全員がニュージーランドのパスポートを持参することを望んでいる。
 
ヘザー氏は、参加者に対し、抗議活動において汚い言葉を使わないよう要請した。
 

コメント

クック諸島とニュージーランドの関係性、クック諸島の主権、経済、安全保障などが関係する記事です。

現在中国訪問中のブラウン首相による中国との包括的パートナーシップ協定(comprehensive partnership agreement)締結に向けた動きが、ニュージーランドおよび太平洋島嶼地域において議論を巻き起こしています。

上記記事は、ブラウン首相に対する不信任案提出に関するものであり、理由として1つは昨年後半からニュースになっていたクック諸島パスポート(現在はNZパスポートを使用している)導入の動きと、NZ政府との情報共有なしの中国との包括的パートナーシップ協定締結の動きがあげられていますが、記事では前者のパスポート問題に重点を置いた内容となっています。

以下、私見となります。

最近のクック諸島とニュージーランド政府との間で摩擦要因となっているものには、海底鉱物資源の採掘(ブラウン政権は推進派)、クック諸島のパスポート問題、国連加盟などがあります。特に海底鉱物資源の採掘については、太平洋島嶼地域ではナウル、クック諸島、トンガが推進派であり、自国のEEZのみならずクラリオン・クリッパートン海域を含む公海における採掘も視野に入れています。

これらの国々では海底鉱物資源の採掘が国家経済を劇的に改善することが期待されている一方で、深海底の環境への影響が不明であることから、多くの太平洋島嶼国はまだ時期尚早であり、科学調査を推進すべきという立場をとっているため、太平洋島嶼国間の分断要因となっています。

例えば、クック諸島はSeabed Miningではなく、海底に転がるマンガンノジュールを収穫するSeabed Harvestingという言い方をし、環境への影響は大きくはないという立場です。一方で、昨年、マンガンノジュールが酸素を生成しているとの論文が出されたことで、このクック諸島の考え方に待ったをかける形となっています。2月17日にはフィジーの太平洋諸島フォーラムでTalanoa on Deep Sea Minerals(深海鉱物に関する対話)が開催され、太平洋島嶼国の首脳クラスが集まります。

さて、ここで、クック諸島とニュージーランドの関係について改めて確認したいと思います。

ニュージーランド政府(ウィンストン外相)は、クック諸島の事前協議なし、情報共有なしの中国との包括的パートナーシップ協定締結は、ニュージーランドとクック諸島による「JOINT CENTENARY DECLARATION」(2001年6月11日署名)に反するものとして強く反発しています。

この宣言は、クック諸島がニュージーランドの属領となった1901年6月11日から100年後に締結されたものです。クック諸島はニュージーランドの自由連合国となっていますが、内容は米国自由連合国とは異なっています。内容を確認していきます。

1901年6月11日、クック諸島とニュージーランドの正式な関係開始(原文ではthe formal association between the Cook Islands and New Zealand bagan on 11 June 1901)。

1964年、クック諸島憲法において、自国の立法と政策承認について、クック諸島が完全な権限を有するとした。

1965年12月16日、国連総会において、クック諸島の自決権確保が承認され、クック諸島が自発的にニュージーランドの自由連合国となる。

クック諸島は、ニュージーランド王国(the Realm of New Zealand)に属しているが、クック諸島とニュージーランドは国として対等な立場にある。同王国は、ニュージーランド、クック諸島、ニウエ、トケラウ、南極のロス海属領からなり、英国王が国王であるため、クック諸島の国家元首は英国王である。

クック諸島国民はニュージーランド市民権を有しており、ニュージーランド・パスポートを保持できる。

外交関係については、クック諸島が主権独立国家として権限を有する。また、クック諸島の要請がある場合には、ニュージーランドが外交の場で代理権限を持ち、クック諸島を支援する。

両国にとって重要な外交課題は定期協議の対象。共通の外交関係の目的の追求について協力する。それぞれの権限、義務、関心に影響を与えうる外交政策イニシアティブが提案された場合には相互に助言を行う。

条約の締結は、クック諸島政府が権限を有する。

クック諸島の防衛と安全保障については、
・クック諸島政府が完全な法的・実施能力を有する。
・クック諸島の防衛についてはクック諸島政府の要請により、ニュージーランドが支援する。
・防衛と国家安全保障について相互協力、相互支援に取り組む。
・防衛・安全保障上相互に影響がありうるリスクについては定期協議と相互に助言を行う。

これまで米国自由連合国に比べてクック諸島は独立国家としての地位が弱いと考えられる傾向がありますが、この宣言を読むとクック諸島はニュージーランドと独立国家として対等の立場であることを強調しており、米国が安全保障の責務と権限を有する米国自由連合国とは関係性が異なることが分かります。

クック諸島政府は国連加盟も視野に入れているものと考えられますが、仮にニュージーランド政府が消極的な立場である場合、かつてトンガが国連加盟(1999年)の際に中国の支援を得たように、クック諸島も中国の支持を期待している可能性があるのではないでしょうか。

来週には明らかになるであろうクック諸島と中国の包括的パートナーシップ協定の内容が注目されます。

 
(塩澤英之 海洋政策研究所 島嶼国・地域部部長)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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