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ナウル、深海底採掘問題で太平洋諸国と歩調乱れる
(2021年9月29日、RNZ PACIFIC/PACNEWS)
9分
抄訳
深海底採掘の推進を狙うある太平洋島嶼国の政府が、国連の場を利用し、多くの海洋民族に不人気な産業のアピールを狙った。
海底鉱物資源採掘という未成熟産業の支持者は、太平洋の深海底に堆積するポリメタリックノジュール(多金属団塊)に大きな関心を寄せているが、同地域の多くの国々は乗り気でない。
深海底で見つかるポリメタリックノジュールとは、マンガン、ニッケル、銅、コバルトなどの金属を含有することで知られる団塊で、リチウムイオン電池や記憶装置などに不可欠な素材として、熱視線が注がれている。
ナウルは先日、国際海底機構(ISA)の規則を発動し、自国海域における2年以内の海底資源採掘開始を許可した。
海洋科学者や環境保護団体、太平洋地域の市民団体はこの動きを批判し、いかなる形での採掘開始も一時的に停止するよう繰り返し求めている。
それでもナウルのライノル・ローウェン・エニミア大統領は、国連総会の場で、この成長中の産業は、気候変動との闘いにおいて重要な構成要素になると述べた。
「これらポリメタリックノジュールへのアクセスは、私たちが必要とするクリーンエネルギーへの移行や、循環型経済の構築に不可欠です」
「ポリメタリックノジュールは、大小の国のエネルギーシステムを変革し、気候危機との闘いを支えるために必要なのです」
ナウル、キリバス、トンガ、クック諸島の太平洋島嶼4か国は、自国海域での海底資源探査を承認している。
4か国の姿勢は、海洋の健全性を求める太平洋地域の動きに逆らったものだ。その主唱者であるフィジーのジョサイア・ボレンゲ・バイニマラマ(フランク・バイニマラマ)首相は、国連総会にあわせて開催された自然保護関連のサイドイベントで、同国が深海底開発を禁止してきたと語った。
「人類は自然の上にいるわけではありません。私たちは自然の一部なのです。そうでないと考える傲慢さが、私たちを苦しめているのです」
「フィジーは、海洋の100%持続可能な管理を約束し、30%を海洋保護区として宣言しています。私たちは、フィジー海域での深海底採掘を禁止しています」
エニミア大統領は、ナウルには深海底開発の可能性を探る権利があると主張する。
「開発途上国が恩恵を受けられないことがあまりにも多すぎたという歴史的背景に鑑み、貴重な資源へのアクセスにより、ナウルや他の開発途上国が新しい産業に参加できるようになるプロセスです」
「私たちは、ISAのメンバーやオブザーバーと協力して、海底探査における掘削作業が安全かつ責任を持って行われるような環境規制を策定したいと考えています」
しかし、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で「ベニオフ海洋イニシアチブ」の責任者を務めるダグラス・マコーリー氏ら海洋科学者たちは、地球上で最も研究が進んでいないとされる海洋最深部について、より多くの研究が行われるまで採掘活動を休止すべきだと話す。
まだ解明されていないことも多いが、マコーリー氏は、海底のような進化速度が遅い生態系にはダメージを与えるリスクが高いという。
採掘支持者たちは、海底のノジュールは電気自動車のバッテリーに不可欠だとしているが、マコーリー氏は、再生可能エネルギーの金属需要を満たすためには、廃棄物として処理されている古いバッテリーのリサイクルの方が、より大きな可能性を持つと述べた。
海底資源の採掘に関する環境規制の整備については、ニュージーランド政府も力を入れている。
しかし、先日のIUCN(国際自然保護連合)世界自然保護会議で行われた海底採鉱のモラトリアム(一時停止)の是非を問う投票では、ニュージーランド政府が棄権し、議会で多くの批判を受けた。
しかしナナイア・マフタ外相は、ニュージーランドが多数派に投票しなかったことについて、悪びれる様子はない。
「英国、米国、オーストラリア、カナダ、フランスと並んで、私たちの立場は、ISAを通じて規制の枠組みを構築し、各国が主権的に深海採掘を決定する際の指針となるよう、非常に強力な方法での働きかけを継続することでした」
マオリ党のデビー・ンガレワ・パッカー議員は、海底資源の採掘について、議会で厳しく追及した議員の一人だ。
「この破壊的な海底採掘に一貫して反対してきたアオテアロア(ニュージーランド)のタンガタ・フェヌア(先住民族)やタンガタ・モアナ(太平洋の人々)に対して、大臣は何とおっしゃるのでしょうか?」と、ンガレワ・パッカー議員は問いかけた。
これに対してマフタ外相は、ニュージーランドがISAに参加するのは、産業の道標となる強力な規制の枠組みを確保するためだという立場を繰り返し強調した。
太平洋地域環境計画事務局(SPREP)が最近、深海底採掘の10年間のモラトリアムを勧告したことからも、多くの太平洋島嶼国政府の立場がうかがえる。
世界的に深海保護の動きが加速する中、太平洋の深海底開発を狙う主要企業の一つである「The Metals Company」からは、投資家が逃げ出し始めたようだ。同社は、太平洋で複数の探査ライセンスを持ち、ナウルとの関係も深い「DeepGreen Metals」が絡む合併で誕生したが、9月に入って株価が急落している。
(訳:立入瞳)
コメント
太平洋諸島フォーラム(PIF)の枠組みではミクロネシア諸国脱退の動きが注目されていますが、海底鉱物採掘については地域モラトリアム支持国と採掘推進国(ナウル、キリバス、トンガ、クック諸島)の間で立場が異なっています。
今回の記事は、環境保護意識が強いと考えられるRadio New Zealandの視点によるものとなります。
筆者も以前マーシャルで、太平洋のどこかの海底で採集されたマンガン団塊を見たことがありますが、太平洋島嶼地域の海底にはそのような黒い塊が転がっていると専門家から話を聞いたことがあります。記事では、ポリメタリックノジュールが取り上げられているため、ここでの海底鉱物の採掘というのは陸上における鉱山開発のようなものではなく、海底に転がる鉱物の塊を採集することが想定されていると考えられます。
※海底鉱物資源については、トンガのマンギシ駐日大使が海洋政策研究所(OPRI)のOcean Newsletterに寄稿されています。是非、ご一読ください。
「大海洋諸国の台頭(
https://www.spf.org/opri/newsletter/485_1.html?latest=1
)」
記事中、気候危機と絡めた発言も取り上げられていますが、実際のところ、産業も限られ独自の財源も乏しい太平洋島嶼国にとって、一時的な収入であろうとも海底鉱物資源は経済的に重要な可能性を秘めており、採掘推進国としては採算面で成り立つのであれば活用すべきとの立場です。例えば、リン鉱石で一時的な経済発展と資源の枯渇による経済危機を経験したナウルでは、海底鉱物資源による収入を原資とする基金を設置することで持続的な財源にするとの考えがあります。一方、少なくとも海底鉱物採掘に伴う海洋環境への影響が明確になるまで採掘は実施すべきでないというのがモラトリアム支持国の立場になります。
経済と海洋環境保護。産業国と太平洋島嶼国の間だけではなく、太平洋島嶼国の間にも対立があるという点が注目されます。
(塩澤英之主任研究員)
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