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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

マーシャル諸島大統領、太平洋地域における地政学的緊張の注視を国連に要請

(2021年9月24日、RNZ PACIFIC/PACNEWS)


抄訳

マーシャル諸島のデイビッド・カブア大統領は、国連総会で、太平洋地域における地政学的緊張を注視するよう世界の指導者たちに求めた。
 
ニューヨークで開催された国連総会で、ビデオ録画形式での演説を行ったカブア大統領は、太平洋地域の国々は「世界の大国」間の綱引きに翻弄されていると述べた。
 
「私の住む太平洋島嶼地域は、地政学的競争という新たな安全保障上の脅威に直面しています」
 
カブア大統領は、直接的な批判を避けつつ、マーシャル諸島が独立した民主主義を維持し、市民の基本的人権を守るよう常に努力してきたと話した。
 
「島嶼国の指導者として、私たちは自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントをしっかりとコントロールし、安易な誘導で私たちの中核的価値観を曲げようとする者とは、一線を引かなければなりません」
 
カブア大統領は、太平洋地域の伝統的な同盟国に対し、島嶼国に寄り添うよう呼びかけ、歴史を繰り返さないためにも、強力な国連機関を持つことの重要性を強調した。
 
「前世紀に世界規模の軍事戦争を引き起こした過ちを忘れてしまったとしたら…私が恐れているのは、それを繰り返す運命にあるということなのです」
 
マーシャル諸島大統領の発言は、米国、英国、オーストラリアが、最近発表した安全保障枠組み「AUKUS」への批判を正面から受け止めない姿勢に対するものとみられる。
(訳:立入瞳)

コメント

太平洋島嶼地域は、約100年前の第一次世界大戦後のベルサイユ体制、第二次世界大戦、米豪NZ英仏の統治領、脱植民地化を経て現在に至っています。第二次世界大戦では大国の戦争に巻き込まれ、戦後は米英仏による核実験に利用されたと考える国もあります。
 
マーシャル諸島を見てみると、第一次世界大戦が始まった1914年に日本が占領し、ベルサイユ条約に基づき、1920年から国際連盟下で日本が施政権を有する委任統治領となりました。第二次世界大戦では当時の主都ヤルート(ジャルート)の激戦など日米の戦場となり、戦後は国際連合の下で米国が施政権を有する戦略的信託統治領の一部となりました。その米国の施政権下にあった1946年から1958年の間、マーシャル諸島では米国による核実験が67回行われました。
 
国際連合における信託統治というのは、それらの対象地域の住民が高度な自治権・自決権を持つようにすることを目的としており、米国信託統治領下のマーシャル諸島も国連の非自治地域リストに掲載されていました。
 
その後、マーシャル諸島は1979年に自主憲法を制定し自治政府を樹立、米国政府との長い交渉の後、1986年に米国自由連合国として独立を果たしました。国連はマーシャル諸島が独立を果たしているかモニタリングを継続し、1990年に非自治地域リストから削除されたという経緯があります。ちなみに、マーシャル諸島では、米国との自由連合協定が発効し独立した1986年10月よりも、自主憲法を制定した1979年5月1日を重要な記念日としています。
 
米国信託統治領から米国自由連合国として独立したマーシャル諸島の国の基盤にあるのは、米国自由連合協定(コンパクト)です。このコンパクトは、統治、経済関係、安全保障・防衛、一般規定の4編からなり、外交は独自に行えるものの、安全保障・防衛については米国政府が権限と責任を有しており、米国は第三国の軍事的接触の排除や、軍事施設の設置が認められています。また米国自由連合国の国民は米国の準市民的権利を有しており、米軍に志願できます。今年、米国自由連合国であるマーシャル諸島、パラオ、ミクロネシア連邦は、それぞれ米国インド太平洋軍との防衛協議も行っています。
 
このような歴史的背景の下、今回の記事にあるとおり、先月開催された国連総会で、米国、中国、台湾関係を中心とする地政学的影響を当事者として実感しているマーシャル諸島のカブア大統領が、地域情勢をモニタリングするようにと国連に要請しました。
 
参考までに、今回の第76回国連総会演説で米国自由連合国の首脳は、それぞれ次のような点に言及しました。
 
マーシャル諸島、カブア大統領(ビデオメッセージ)
自由で開かれたインド太平洋支持、人権・民主主義の擁護、日本が開催した日本・太平洋島嶼国防衛対話を歓迎、戦争の歴史を繰り返さないよう地域の地政学的せめぎ合いに対して国連による監視を要請、PIFからの離脱、ミクロネシア大統領サミット(MPS)の枠組み、米国核実験(1946-1958)と核汚染問題、コロナ対策・ワクチン接種について米国の支援への感謝、気候変動の脅威、ナウル協定締約国グループ(PNA)の取り組み、来年2月パラオで開催されるアワーオーシャン会議、中国新疆ウイグル自治区・香港の人権問題、台湾の国連体系への参加支持など
 
パラオ、ウィップス大統領(国連に出席)
コロナ対策に関して米国・日本・台湾・豪州に感謝、台湾の国連体系への参加支持、気候変動への対応要請、小島嶼開発途上国として食料安全保障(先般開催された食料安保サミットに対応)、気候変動政府間パネル(IPCC)レポートから残された時間がないこと、気候変動ファイナンスへのアクセス、海水温上昇で海洋が酸素不足、来年2月のアワーオーシャン会議、マリンサンクチュアリ法によるパラオEEZを保護、世界各国のEEZの30%保護実現への期待、米国とのコンパクト改定交渉(戦略的信託統治から独立した経緯説明)、対立ではなく対話に基づいて結束し課題解決にあたるパシフィックウェイの国連への適用、パラオのバイに描かれたサメ・エイ・リーフフィッシュの意味=強さ・英知・結束など
 
ミクロネシア連邦、パニュエロ大統領(ビデオメッセージ)
コロナからの持続可能な回復、強靭性、ワクチンに対する米国への感謝、中国の支援に対する感謝、気候変動政府間パネル(IPCC)レポートと気候変動危機、ミクロネシア・チャレンジの取り組み、海洋プラスチック問題、化石燃料から太陽光発電への転換、中国は友人であり中国・日本・豪州がパートナーとして必要、法の支配、違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題と豪州・日本による監視活動支援への感謝、米国とのコンパクト改定、米国との防衛対話、PIFにおける気候変動による海面上昇に関連する海域保護宣言(Declaration on Preserving Maritime Zones in the Face of Climate Change-related Sea-Level Rise)、太平洋北半球のミクロネシア地域を対象とする国連マルチ事務所設置による国連のプレゼンス拡大、日本の安保理常任理事国入り支持など


今回の記事は、大国主導の大きな歴史の流れに翻弄されてきた太平洋島嶼国が現在の地域情勢を肌感覚でどのように感じているのか、その一端を示すものと言えるのではないでしょうか。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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