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太平洋島嶼地域ブレーキングニュース 研究員の解説付きPACNEWS厳選記事

バヌアツ、近隣諸国との往来再開に向け「トラベルバブル」開始か

(2021年2月26日、VANUATU DAILY POST/PACNEWS)


14分

抄訳

バヌアツ政府は、「タムタム・トラベルバブル(=相互往来の解禁と渡航者の隔離措置免除)」導入を開始した。同枠組みは、2020年のバヌアツ独立40周年記念式典で初めて発表され、バヌアツと近隣諸国との往来を安全に再開するため、段階的な道筋を提供するためのもの。
 
ボブ・ロウマン首相は、タムタム・トラベルバブルの最初のステップは、2月19日に、バヌアツとニューカレドニアの国境が開くことだとしており、ニューカレドニア政府との取り決めに関する最終合意を待って、4月のスタートを目指している。
 
ロウマン首相は、バヌアツの経済回復のためにも、政府がこのタイミングでタムタム・トラベルバブルの導入を開始する必要があると述べた。
 
「新型コロナウイルスの世界的なパンデミックは、我々の経済と、何千人もの生活に影響を与えた」
 
「世界的なパンデミックが宣言されて以来、政府は、感染対策の導入及び国境管理策を通じ、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることで、国を守り、国民を保護してきた」 
 
「パンデミックは生活面で影響を与えただけでなく、国境の閉鎖により、多くの人々が、家族を訪ねたり、医療を受けるために国外へ出たり、海外で学んだりすることができなくなった」
 
「政府は国境を永遠に閉鎖し続けることはできない。我々は、国民へのリスクと国の繁栄を最小限にしながらも、将来にわたって安全に前進するための道を作り始める必要がある」
 
市民の間で広がる不安について、ロウマン首相は、新型コロナウイルスに対処できていることを、バヌアツは既に示していると主張。政府はパンデミックが始まって以来、公衆衛生及び国境管理対策を講じ、新型コロナウイルスのコントロールに成功していることは明らかだと述べた。
 
バヌアツが初動から正しく対応できたのは、新型コロナウイルス感染が広がるのを防ぐため、昨年3月下旬に国境を閉鎖するという、政府の迅速な決定があったからだ。 
 
以来、政府は新型コロナウイルスの準備・対応計画を推進し、5,000人を超える市民と海外居住者の本国帰還を成功させた。
 
バヌアツでは、昨年11月に空港検疫で帰国者1人が新型コロナウイルスに感染していることが判明し、14日間の待機を経て帰宅したのが唯一の症例であった。
 
ロウマン首相は、バヌアツがタムタム・トラベルバブルを実行する能力を十分に有することは、これらの各措置を見ても明らかだとしている。また、バヌアツの人々が新型コロナウイルス感染対策を受け入れ、実践することで示した前向きな姿勢が、対応に成功した鍵であると指摘。バヌアツの人々の成果を祝福し、それが国の経済回復の確固たる基盤であると述べた。
 
ロウマン首相は、最初に国境を開放する国としてニューカレドニアを選択した理由について、「28日間以上、市中感染が確認されていない低リスクの国であり、彼らの新型コロナウイルス予防策が、バヌアツの保健及び安全対策に沿ったものであるからだ」と説明。「さらに、バヌアツとニューカレドニアには共有する歴史があり、人々と国の間には多くのつながりがある」と補足した。
 
バヌアツは、両国政府による綿密かつ注意深い監視を行うべく、ニューカレドニアとのタムタム・トラベルバブルを試験導入した。最初の対象地域は、ポートビラ及びエファテ島内に限られ、当局がすべての予防策と手順が十分に機能していることを確認できた場合のみ、他の地域まで拡張される予定。
 
バヌアツ・ニューカレドニア間のタムタム・トラベルバブルで渡航が優先されるのは、特定のグループであり、最初は、特別な理由がある人、医療、教育、雇用、技術支援の提供、又は友人や家族の訪問という目的がある人に限定される。
 
政府は、ニューカレドニアとの往来を再開するのに必要な政策及び手続きの立案を、タムタム・トラベルバブル・タスクフォースに託し、ポートビラ、エファテ島の地方、及び沖合の島々において、タムタム・トラベルバブルに関するコミュニティレベルのやり取りを開始した。ロウマン首相によると、これは、国を守るために実施されている保健及び国境管理手順について、すべてのコミュニティとそれぞれのリーダーに知らせることが目的で、民間企業、市民組織、地域コミュニティのすべてが参加対象となっている。
 
タムタム・トラベルバブルの下で、すべての業者は関係当局に登録し、安全な事業運営のためのトレーニングを受ける必要がある。ロウマン首相によれば、このトレーニングはすべての企業とその従業員に義務付けられており、詳細はまもなく一般に公開されるという。
 
バヌアツは、コロナフリーの状態を維持するため、さらなる衛生管理とソーシャルディスタンス(社会的距離)の重要性を引き続き訴えていく。新型コロナウイルスに関するバヌアツ政府の公式情報源は、バヌアツ保健省のウェブサイト(https://covid19.gov.vu)であり、政府は、すべての市民と居住者に、新型コロナウイルス及びタムタム・トラベルバブルに関する情報は、公式の情報源からのみ入手するよう呼び掛けている。
(訳:立入瞳)

コメント

本記事は、バヌアツおよび仏領のニューカレドニアとウォリスフツナが関係しています。この記事を活用し、これら3カ国・地域の関係と最近2カ月の新型コロナウイルスと観光に関する情勢変化を確認してみましょう。
 
まずバヌアツですが、下記地図の青いサークルの左寄りに位置します。Yの字を30度ほど左に傾けたように島々が並んでいます。コロナ前の数字ですが、人口約28万人、GDP約860百万米ドル(約900億円)、一人当たりのGDP約3,100米ドル、政府予算規模約220百万米ドル(約240億円)、政府支出のGDP割合約25%、年間訪問者数約12万人、主産業が観光、農業の国です。
(笹川平和財団太平洋マップより作成)

(笹川平和財団太平洋マップより作成)

コロナ前の状況で言えば、太平洋島嶼諸国の中では民間部門の強い国の1つで、同じく民間部門が強く観光業が盛んであったパラオと比較すると、人口約14倍、GDP約3倍、政府予算約2倍、訪問者数はほぼ同じ規模でした。GDPにおける観光部門の貢献は20~30%と考えられます。
 
コロナ前、バヌアツは、空港整備やクルーズ船寄港の拡大を図る港湾開発の取り組みにより、年間訪問者数は2015年の9万人弱から2019年には約12万人に伸びていました。港湾開発に関して中国の軍事建設のうわさが流れたルーガンビルは、バヌアツ第2の都市で、クルーズ船寄港地でもありました。首都ポートビラでは、日本も、自由で開かれたインド太平洋構想以前から、円借款によりラペタシ多目的港湾の開発支援を実施しています。
 
2019年の国別訪問者数で言えば、パラオが中国(4割強)、日本(2割強)、台湾(2割弱)、韓国(2割弱)、欧米諸国(1割)であったのに対し、バヌアツの場合は、総数約12万人に対し、豪州63,000人(5割強)、NZ15,000人(1割強)、ニューカレドニア14,000人(1割強)、欧米12,000人(1割)、中国4,600人、日本は1,100人でした。いずれもODAなど開発協力関係者の訪問も含みます。
 
太平洋島嶼国でGDPにおける民間部門の割合が高く、観光業が盛んな国であるパラオ、クック、フィジー、バヌアツでは、コロナ禍の中でいかに観光を再開するか、すなわち、いかに安全に海外から訪問者を受け入れられるかが優先度の高い課題となっています。
 
今月初めには、パラオが台湾との間でチャレンジングなパラオ台湾バブルを開始し、先週は豪州とNZの間でトランスタスマン・バブルが始まり、フィジーがトランスタスマン・バブルに加えられることを期待していました。5月にはニュージーランドがクックとの間で観光バブルを始めようとしています。
 
そのような中、2/25に仏領ニューカレドニアとウォリスフツナの間でタムタム・バブルが始まり、この記事にあるとおり、バヌアツも4月から参加すると発表されました。参考までに、ニューカレドニアとウォリスフツナの人口は、それぞれ約28万人(5割弱が先住民カナック)、約16,000人となります。
 
これら3つの国と地域の位置関係を次の図に表してみました。上記地図の青い円付近を拡大したもので、緑がバヌアツ、青がニューカレドニア、赤がウォリスフツナのEEZ境界を表しています。
(笹川平和財団 太平洋マップより作成)

(笹川平和財団 太平洋マップより作成)

バヌアツ政府が発表したタムタムバブルは、ニューカレドニアと首都ポートビラのあるエファテ島の間に限定するというものでしたが、パラオとは異なりワクチン接種が進まず、入国者の管理体制も甘い状況であるところに懸念があります。
 
2/25から今月中旬までのこれら3カ国・地域の動きを、Radio New Zealand(rnz.co.nz)の報道から時系列に並べてみましょう。
 
まず、ウォリス・フツナ(人口約16,000人)。
2/25  ニューカレドニアとタムタムバブル開始(※3/31までに600人が往来)
3/7   新規感染者判明
3/9   市中感染判明、ロックダウン実施
3/16  感染爆発発生、英国株確認、感染者数186名
3/23  初のコロナ死者、83才女性
3/31  累計感染者数392名、死亡4名、ワクチン接種率住民の41%
4/5   ワクチン接種率住民の約50%
4/19  ロックダウン1週間延長、累計感染者数423名、死亡5名
 
次に、ニューカレドニア(人口約28万人)
1/20  ワクチン接種開始
2/25  ウォリスフツナとのタムタムバブル開始(※3/31までに600人が往来)
3/7   新規感染者判明
3/9   市中感染判明、ロックダウン実施
3/19  ロックダウンを3/28まで延長
4/5   ロックダウン終了
 
そして、バヌアツ(人口約28万人)
2/25  タムタムバブル参加表明(4月から)
2/25  バヌアツ女性グループ、タムタムバブル参加反対
3/7   新規感染者判明、検疫で(※市中感染ではない)
3/10  エファテ島酋長評議会、タムタムバブル参加に断固反対
4/12  PNGからの入国者2名が陽性
4/13  政府、ワクチン接種計画発表
4/19  ポートビラ海岸で沖合停泊中のタンカー船員の死体、コロナ陽性判明
   エファテ島住民の島外への移動禁止(3日間)
 

太平洋島嶼地域の北半球では、4月にパラオが台湾との人の往来を再開させる台湾バブルを開始しましたが、パラオは数カ月から、国内検査体制強化、住民のワクチン接種、入国者の行動制限と管理体制整備、住民に対するガイドライン整備と指導など、周到な準備を行っていました。
 
一方、国の規模や社会構造の違いがあるクック、フィジー、バヌアツでは、準備が整う前から観光バブルを始めたいという意向が先走りしているように思われます。
 
この記事が出たのが2/26でしたが、この2カ月の間に、ウォリスフツナとパプアニューギニアで感染爆発が起こりました。フィジーでは4/19、ナンディ空港の検疫官の新型コロナウイルス感染が判明し、西部ナンディとラウトカがロックダウンされました。その検疫官はインドから帰国したフィジー人から感染したとみられ、感染後に隔離されることもなく、自由に生活し一般の葬儀集会にも参加したことでスーパースプレッダーとして現地保健省に認識されています。さらに4/25、同じくフィジーの首都スバ近郊で、この検疫官とは繋がらない新たな市中感染が判明し、4/26早朝からスバ、ラミ、ナウソリでロックダウンが実施されることとなりました。

上記の経緯を見てわかるとおり、ニューカレドニアとウォリスフツナでは、人の往来が始まった結果、1カ月も経たないうちに感染が広がり、ロックダウンにつながりました。果たして、バヌアツは市中感染が判明した場合の準備ができているのか。
 
仏領2地域はあくまでもフランスの一部です。一方、バヌアツは完全に独立している国であり、米豪NZ、日本などの支援を得つつも、国として自立して新型コロナウイルスに対応しなければなりません。
(塩澤英之主任研究員)

海洋政策研究所(島嶼国・地域部)
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