Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第96号(2004.08.05発行)

第96号(2004.08.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生新

◆関東地方は、異常としか言いようがない暑さが連日続く。40度以上というのは、亜熱帯を通り越して熱帯の気温。こんなときには栄養のある、冷たい美味でもしっかり摂取して、暑さに負けない元気を保ちたいもの。「岩牡蠣の殻こじあけて息つきぬ」(八戒)。5年から7年物のたっぷり肥えた身をもつ大きな岩牡蠣を、殻ごとよく冷やしておいて、がっちり閉まった殻を貝むきではずすのは難しく、冬の真牡蠣よりも数倍大変だが、苦労多ければ楽しみも多いもの。クリーミーでねっとりと舌にまつわりつく冷たい牡蠣の身を、海の味のする体液もろとも、数度だけ噛んでつるりごくりと飲み込む快感は、食味を超えてむしろエロチシズムの世界。冷えたシャブリなどあれば、暑さなんかにゃ負けやせぬ、と俄か強気のつかの間の陶酔を味わえる。もちろん冷たい八海山でも大歓迎。

◆95号の海の日特集の後編ということで、海の陶酔ではない「統帥」のあり方についての中原オピニオンをお届けする。編集代表者の一人である中原氏の労作、日本の海洋政策の策定主体を含めて、海洋政策全体を鳥瞰することで、日本の海洋政策のエンフォースメントまでを含めた問題点、重要課題をおのずと浮き彫りにする。図も含めて貴重な労作。

◆中山オピニオンは、水産総合研究センターという、一般にはなじみのない組織の、さらになじみの浅い水産遺伝子解析センターという、岩牡蠣の殻よりもっと硬そうな組織において展開されている、「寿司ネタゲノム計画」という寿司好きには頼もしく聞こえる研究の紹介。ゲノム育種で魚を家魚化するという夢と、原産国を探り出す探偵活動、いずれも大いに進めていただきたいもの。中原オピニオンにもあるように、独法を含めた行政組織のよりいっそうの情報発信の重要性を改めて感ずる。

◆「岩牡蠣の殻の固さと人情け」(平々)(了)

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