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Ocean Newsletter
第66号(2003.05.05発行)
- タケダライフサイエンスリサーチセンター・疾病予防センター所長◆木村美恵子
- 北海道大学大学院工学研究科教授◆森吉昭博
- 浦賀ドック野外博物館設立推進会議代表幹事、岡山理科大学教授、産業考古学会評議員◆若村国夫己
- ニューズレター編集委員会編集代表者(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新
編集後記
ニューズレター編集委員会編集代表者(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新◆「遠浅の波や光や五月来る」(中嶋秀子)。さわやかな季節になった。海の季節の幕開けである。イラクの戦争も不幸中の幸いで短期に終結した。アメリカにわたった松井選手の活躍以外に、明るい話題がないに等しかった最近の私たちの心の暗闇を、皐月の風が払うようである。このさわやかさがいろいろな意味で少しでも長続きしてほしい。
◆木村オピニオンは、私たちの生きる源としての海の水と健康の関係を説く。「ひとの羊水としての海水」という副題のすばらしさに乾杯したい。乾杯はミネラルウォーターでももちろん良いが、デンマーク等のヨーロッパ系の少し軽いビールの花の香りが、5月の海にはふさわしそう。
◆森吉オピニオンは、私たちに日常の生活の中で意識にも留めていないウインドウォッシャー液に含まれる合成洗剤等が、道路に落ちてアスファルトと接触し、思わぬ海の汚染源となっていることを知らしめる。これに限らず、自らの日常の営為が、意図せざる害悪を他に及ぼしている可能性の高さに思いをいたすと慄然とするが、ひとの羊水としての海水の清浄さの保全も、自己の及ぼすすべての結果的加害の最小化も、自らのなすことを冷静に知るという作業がなければ始まらないということか。
◆若村オピニオンは、産業考古学というユニークな視点から、われわれの社会が保全すべき知の遺産の保全の仕方に関する問題を提起する。営利を目的とすることによって結果的に社会に貢献する経済活動の主体がなしうること、知的営為の主体である学会、地域の行政主体と地域の住民、国それぞれがなしうることと望ましいと考えることの違いを、私たちはどのようにして乗り越え、次の世代にさまざまな知を伝授しうるのだろうか。
◆エリオットのFour Quartetsの一節 "Time present andtime past Are both perhaps present intime future, And time future containedtime past"を思い出す。(了)
第66号(2003.05.05発行)のその他の記事
- 海のミネラル ~ひとの羊水としての海水~ タケダライフサイエンスリサーチセンター・疾病予防センター所長◆木村美恵子
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- 編集後記 ニューズレター編集代表(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新