Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第551号(2023.07.20発行)

編集後記

(公財)笹川平和財団海洋政策研究所長◆阪口 秀

◆Ocean Newsletterは本号をもって第551号となった。まずは、この編集後記の場をお借りして、第401号から第550号までの長期に渡り編集代表の労をお取り頂いた坂元茂樹先生と窪川かおる先生には、心からのお礼を申し上げたい。そして、この551号から全く微力ながら小職(海洋政策研究所長 阪口秀)が編集代表を務める。
◆本号では、本年3月に東京で開催された北極サークル日本フォーラムについてグリムソン前アイスランド大統領にご寄稿頂いた。その記事では、ロシアによるウクライナ侵攻後、北極評議会の位置づけが変化したことと、非北極圏国であるアジアのオブザーバー国との対話の重要性が増したことが述べられた。また拙著で、北欧諸国のバイキングによって広められた伝統工芸の毛糸の草木染が地球温暖化による影響で様変わりを強いられていることを指摘した。さらに水産庁の内田氏にご執筆頂いた「海業の推進への新たな制度」では、漁港の活性化を目指した新しい数々の取り組み=海業を推進するにあたり、漁港は公共施設であったことと漁業作業以外の用途を前提としていなかったために、漁港漁場整備法そのものを改正する必要があることが述べられた。
◆これら3つのトピックの共通点は、時代の流れと共に政情や環境も時々刻々と変化するために、元々の前提が崩れて時代に合わなくなってしまった枠組、やり方、法律等を、いかに対応させるべきかという論点である。「初期の伝統を守る」という理念と、「時代に即して更新する」という理念は、人の立場や生き様によっていつも対立する。しかし、「これまでずっとこうやってきたのだから」という思考停止状態が時代の変化を捉えることさえ阻んでしまう。変えてダメだったら元に戻せば良いだけである。変える勇気を持つことが肝要である。これからのOcean Newsletterもその心意気で時代の流れと変化を先取りする次第である。(所長阪口秀)

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