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Ocean Newsletter
編集後記
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オーシャンニューズレター
第550号(2023.07.05発行)
編集後記
帝京大学先端総合研究機構客員教授◆窪川かおる
◆国際誌『Science』の1月23日号に掲載された記事では、スクリプス海洋研究所の女性研究者の割合は26%だが、男性研究者より研究室面積は平均して半分近くしかない。この差は研究費や年功序列などではないという。弛まない男女共同参画への意識改革が求められる。洋上風力発電をはじめ、海洋のいずれの施策にも多様な人材を必要とする。今後の女性の活躍が期待される。◆洋上風力発電事業と漁村・漁業との共存共栄を目指す取り組みが進行している。その最前線を全国漁業協同組合連合会代表理事会長・銚子市漁業協同組合長の坂本雅信氏よりご寄稿いただいた。「海業」(本誌第538号参照)を基盤とし、漁業が栄え、地域が活性化し、増える消費電力を洋上風力発電が供給する好循環を目指している。それぞれの浜の漁業協同組合が漁業者・地域住民と事業者との間に入り、相互理解を進め、漁村地域の持続的発展に尽力されることは心強い。◆日本では、海洋ごみとなるプラスチックごみの分別収集とリサイクルが進むが、大発生源である東アジア・東南アジアでは遅れている。(公財)日本容器包装リサイクル協会副部長の清水健太郎氏より処理の現状について教えていただいた。日本では当たり前の圧縮梱包機を搭載する収集車が通行できない、分別排出の啓発が難しいなど課題は多い。一方、日本ではリサイクル工場でリチウムイオン電池内蔵製品が混入して発火事故が相次いでいる。プラスチックごみの発生から排出まで消費者もよく理解しておきたい。◆おさかな供養碑を研究されていた東海大学海洋学部の故田口理恵氏の業績を同僚の関いずみ教授より御寄稿いただいた。全国1,141基の供養碑のうち東京湾の大森周辺と川崎に複数ある海苔養殖について取り上げている。石碑には、海苔養殖の開始、盛況、埋め立て事業による漁業権放棄の無念さが刻まれ、時代に抗しえず代償を払った今日があることを伝えている。大事な記録を受け継ぎたい。(窪川かおる)
◆さて、6年余りの長きにわたり携わってきたOcean Newsletter編集代表であるが、第550号をもって降板することとなった。編集委員会のご助言、そして著者への執筆依頼および査読を経て、組み版、校正、編集後記執筆という流れが、遅滞なく今に至ったのは、編集・発行に係わる方々のご尽力に他ならない。厚く御礼申し上げる。ご寄稿いただいた方々、ご愛読くださった皆様との間に、海洋がもつ多様な価値と可能性を共有できたことは大きな喜びであった。心から感謝申し上げる。持続可能な海洋の未来に向けOcean Newsletter号のよき航海を祈る。(窪川かおる、坂元茂樹)
第550号(2023.07.05発行)のその他の記事
洋上風力発電事業について─「海業」の視点から
全国漁業協同組合連合会代表理事会長◆坂本雅信
海洋ごみになるプラスチックを収集しリサイクルするには
(公財)日本容器包装リサイクル協会プラスチック容器事業部副部長◆清水健太郎
おさかな供養碑が語る東京湾海苔養殖終焉のものがたり
東海大学海洋学部海洋文明学科教授◆関いずみ
編集後記
帝京大学先端総合研究機構客員教授◆窪川かおる
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