◆ロシアのウクライナ侵攻に端を発した国際的なエネルギー危機もあり、海に囲まれた日本の再生可能エネルギーを利用する発電方法として、洋上風力発電の整備が急速に進もうとしている。2019年に、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用に関する法律(再エネ海域利用法)が施行されて、洋上風力発電の保護区域の指定などが着々と進行し、2022年7月28日には6市2町が「全国洋上風力発電市町村連絡協議会」を結成している。欧米に比べて大きく出遅れている洋上風力発電だが期待を込めて注視したい。 ◆着床式洋上風力発電と遜色ないか、それ以下の発電コストになると期待されている浮体式洋上風力発電の導入が、各国で拡大している。国際エネルギー機関によると、日本の洋上風力発電ポテンシャルはアジア最大の年間903万GW時である。長崎大学海洋未来イノベーション機構の織田洋一コーディネーターより詳説をいただいた。実用化に向け技術開発が加速されている一方で、実海域での実証により先を見据えた商業化への道筋を早急に整える必要があるという。気候変動危機の今、ロードマップの策定と産官学の英知の結集が期待されている。 ◆第7回「私たちの海洋会議」(Our Ocean Conference)が2022年4月にパラオで開催された。この国際会議は、国家から民間に至る様々な立場と分野の主体が協力し、自主的なコミットメント(取り組み)の誓約を提案するもので、第7回は審査を経て承認された誓約が411件、総額は163.5億米ドル(約2.2兆円)に上った。テーマ別では気候変動とブルーエコノミーがそれぞれ20%ほど、国別では日本が米国とEUに続く35件であった。海洋政策研究所の渡邉敦上席研究員によれば、同研究所の提案4件はすべて承認されたという。会議の重要さが増す中で、今後は誓約実施の評価と情報共有が課題だとされている。是非ご一読ください。 ◆第1回「森里海を結ぶフォーラム」が2021年10月に長崎県諫早市で開催された。その実行委員会事務局の鈴木弘章氏より有明海の干潟がつなぐ高校生の活動についてご寄稿いただいた。フォーラムの森里海宣言では、高校生が、一番の絶滅危惧種は自然の中で遊ぶ子どもであると宣言したという。共感する人も多いであろう。引き続いて2022年3月に開催された環有明海高校生サミットは、3日間はオンラインだったが、1日だけ鹿島市干潟交流館での対面の討議と干潟体験が行われた。若者のフィールド体験の大切さは論より証拠である。(窪川かおる)
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