Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第529号(2022.8.20 発行)

編集後記

日本海洋政策学会会長◆坂元茂樹

◆北海道で今シーズン初めて水揚げされたサンマに1匹1万円の価格がつけられたニュースは記憶に新しい。このところ続くサンマの不漁で2022年の初水揚げ量はわずかに24匹とのこと。サンマの不漁は、海水温上昇に加え、同じ餌を食べるマイワシが日本近海で増えサンマが沿岸に寄り付かなくなったこと、中国や台湾の漁船が日本近海に来る前のサンマを大量に採捕していることが原因とされる。サンマの漁獲量は1958年のピーク時の約57万5,000トンに比較すると2021年は1万8,291トンで30分の1以下になっている。
◆宮内克政水産庁企画課企画班課長補佐からは、2022年3月に閣議決定された、水産資源管理の着実な実施・水産業の成長産業化の実現・漁村の活性化の推進を3本柱とする新たな水産基本計画についてご紹介いただいた。水産資源の減少による漁業・養殖業生産量の長期的な減少傾向や漁業者の減少という課題に直面するわが国にとって、水産業の発展に向けて水産に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目指すこの基本計画の実施に期待したい。
◆和田良太東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻准教授からは、もう一つのわが国の課題である次世代の海洋産業人材の育成に向けた論考をご寄稿いただいた。海洋利用プロジェクトにおいては、調査・探査・掘削、施設の設計・建造・施工、運用期間中の運転・保守など、開発フェーズに応じた多様な技術とスキルを満たすための戦略的な人材育成の取り組みが必要であるとされる。諸外国での海洋人材育成で行われている産学連携の取り組みに学び、技術革新をリードする高度人材の育成の必要性を説く。和田准教授が属する研究科では産学連携・異分野連携の場として「柏海洋フォーラム」が開催され、博士人材の育成に取り組んでいるという。その成果に期待したい。
◆千葉県いすみ市水産商工観光課の泉水正美氏から同市が開催している「SURF TOWN FESTA」での2019年の全日本障がい者サーフィン選手権大会の開催に至る、障がい者によるパラサーフィンの取り組みをご紹介いただいた。バリアフリー海岸を目指し、車いす用のトイレ・海岸へのスロープの設置・車いすのままで砂浜を走行できるビーチマットの導入・水陸両用の車いすの常設などを行ったという。スポーツに参加する機会は恩恵的に与えられるものではなく、権利として保障される必要があることを教えられた。2016年施行の障害者差別解消法に沿った素晴らしい取り組みについて、ぜひご一読を。(坂元茂樹)

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