Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第502号(2021.7.5 発行)

編集後記

帝京大学先端総合研究機構 客員教授♦窪川かおる

♦6月11日~13日に英国で開催されたG7サミットの成果が、カービスベイ首脳コミュニケとして発表され、COVID-19終息と経済回復に向けての力強いメッセージが発せられた。またインド太平洋および台湾海峡の重要性の表明、環境問題への多岐にわたる行動も盛り込まれた。海洋問題はわが国にとって目前にあり、気候変動や海洋汚染は喫緊の課題である。そのため、今、海洋科学の成果と施策との連携が求められている。その連携に尽力されてこられた気候変動の世界的研究者である山形俊男本誌前共同編集代表が第62回藤原賞を受賞された。おめでとうございます。
♦かつて海藻類はヨウ素をはじめとする化学物質の原料として産業利用されてきたが、近年、生きた海藻の利用は激減した。しかし現在、炭素回生システム(カーボンリサイクルシステム)で再び海藻類が注目されている。沖縄の海と海藻類を用いてこのシステムを構築する研究を進めている琉球大学工学部の瀬名波出教授より詳説をいただいた。大型プラント施設から排出されるCO2の固定化技術の要は、海藻類の高速大量養殖技術の基礎研究と開発である。海ブドウの養殖技術開発プロジェクトでは、CO2回生だけでなく品質向上と生産量増にもなり、琉球大学発ベンチャー企業でさらなる開発が進められている。
♦ラムサール条約にわが国では52か所、154,696 haの湿地が認定されている。イランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で条約が採択されて50年が経つ。NPO 法人ラムサール・ネットワーク日本の堀良一理事より湿地保全の目的、締約国会議が進めてきた活動について教えていただいた。その理念は湿地の「賢明な利用」である。2021年4月現在、171カ国の締約国において2,418カ所の条約湿地が認定されているが、湿地は開発に晒されやすく、湿地の価値の理解増進は課題である。是非ご一読いただきたい。
♦戦艦大和は戦後76年が経っても話題は尽きない。2005 年に開館した大和ミュージアムは、日本海軍の軍港として発展した呉の歴史と造船を中心とした科学技術を伝える海事歴史科学館である。23万点に及ぶ貴重な所蔵資料のデジタル化と公開への取り組みを濱名翔平学芸員よりご寄稿いただいた。写真・図面コレクションは計約9万点になり、そのうち約2万点余りがデジタル化された。文献資料には軍艦大和基本計画なども含まれる。終戦後の焼却処分を免れたこれらの貴重な資料のデジタル化と公開は時間も労力もかかるが、大いに期待したい。(窪川かおる)

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