Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第478号(2020.07.05発行)

編集後記

帝京大学戦略的イノベーション研究センター客員教授♦窪川かおる

♦COVID-19の影響で急速にオンラインの利用が増えた。学術集会の多くもオンライン開催となった。国内移動はもとより、海を渡らずに国際集会に参加できる点ではオンラインも悪くない。本誌発行の笹川平和財団海洋政策研究所は元々オンライン配信に積極的だが、参加型の海洋フォーラムにもそれが適用された。また新たにオンライン対談「OPRIリレーメッセージ」が5月27日に初回配信された。対談相手は、初回が国際法学者で本誌共同編集代表の坂元茂樹氏、第2回は海洋物理学者の山形俊男氏、3回目が海洋白書編集会議委員で海洋分野の有識者3氏、聞き手は角南篤所長である。COVID-19の影響をテーマに現在進行形の対談をご一読いただきたい。
♦休館中の水族館では飼育のご苦労があったという。動画配信の充実により在宅でも水族館を楽しめたが、実物に会える贅沢さを再認識した。大阪にある海遊館の西田清徳館長より海遊館開館時からの2つのコンセプトと未来に向けた取り組みについてご寄稿いただいた。博物館相当施設の登録、高知県の海洋生物研究所以布利センターの設立、生き物との新しい出会いの場「生きているミュージアム ニフレル」開館など新風を吹き込んでいる。さらに世界の水族館との連携を深め、海洋プラスチック問題解決にも取り組んでいる。実際に海遊館でご覧になってはどうだろう。
♦潜水士になるには、免許に加えて数々の資格が必要であるという。なぜなら水中土木作業は多様で高度な技術と経験を必要とするからである。(一社)日本潜水協会の鉄芳松会長より潜水の歴史から潜水士の活躍場面まで詳細に教えていただいた。潜水器の開発に日本は大きく貢献し、約100年前には大串式潜水器が世界を驚かせたという。現在は健康・安全の確保と労働管理が徹底されている。鉄氏は高い専門性と総合力を備えた人材育成を進める養成機関を検討されており、海洋事業を支える魅力的な職業にすることを目指している。
♦プレジャーボートの利用が高まる一方で、事故も増えている。(一財)日本海洋レジャー安全・振興協会は、1992年に発足した会員制プレジャーボート救助事業(BAN)を運用し、東京湾から瀬戸内海および九州北部と若狭湾にレスキューステーションを配置してサービスを実施している。同協会救助事業部長の上森達朗氏にその活動をご紹介いただいた。ボートオーナーにとって心強い事業であり、会員数も増加している。海の季節を迎え、レジャーで船に乗る方は、細心の船舶整備と海況判断および安全航行をして海を満喫していただきたい。(窪川かおる)

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