Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第123号(2005.09.20 発行)
第123号(2005.09.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者(総合地球環境学研究所教授)◆秋道智彌

◆島国日本には全部で6,847の島があるという。それゆえに日本は世界で第6位の広大な面積の排他的経済水域を確保できる。それも離島と呼ばれる小さな島々のおかげである。島と海を見直してその意義をいまこそ考えるべきだ。小島氏の主張である。

◆ただし、日本の海は平面上の二次元的な広がりとしてだけ取り上げるべきではない。松沢氏は海の三次元性に注目し、日本の排他的経済水域の体積を試算した。画期的な試みである。それによると、日本はアメリカ、オーストラリア、キリバスについで世界第4位となる。アメリカとオーストラリアはともに大きな大陸国であり、200海里内の水域体積は大きいと予想できる。第3位のキリバスは遠藤さんが取り上げているツバルに隣接する太平洋の小さな島国であり、サンゴ礁の島々が広範囲に分散しているため上位にきた。また、日本には5,000mより深い深海域の割合が世界でもっとも多く、しかも浅い海から深い海までが平均して分布する特徴が浮かび上がった。深海をもつことが今後の日本にとり、きわめて重要な意味をもつことはいうまでもない。深海は調査研究、資源開発以外に、二酸化炭素の貯留源としての役割を期待されている。人類にとり最後の処女地といえる深海研究はわが国では海洋研究開発機構(JAMSTEC)が中核となり進めている。

◆深海が無限の可能性を秘めているとはいえ、資源は無限であるという幻想をもつことは危険である。限界を忘れて大量消費の中にどっぷりつかった日本人が同じような気持ちで開発に臨むことは賢明ではないからだ。

◆遠藤氏は温暖化の影響で水没の危機に瀕しているツバルでの体験から、限界に生きてきた島の人々のライフスタイルこそ学ぶべきと主張する。人々は離島であるがゆえの苦悩や貧困を受け入れて逆らわずに生きてきた。もちろん、ツバルのなかでも首都や飛行場のある島とそうでない島との間では経済格差ゆえの二重の貧困があるにちがいない。欲望という名のついた大国日本にとり、南太平洋の小国は鏡とすべき存在なのだ。排他的経済水域だけに拘泥する必要はさらさらないが、その重要性を正当に評価することが日本の海洋政策にとり必須となろう。本号はそのシーズを示したといえるのではないか。(了)

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