【開催報告】第6回イラン短期研修(2024年2月)
アジア・イスラム事業グループでは、イラン外務省付属の大学院大学である国際関係学院(School of International Relations、以下SIR)との共催で、日本人大学生のイラン短期研修を実施しています。2024年2月10日~2月22日の現地10泊の日程で、公募で選抜された9名の学生が、テヘラン、エスファハーン、ヴァルザネ、カーシャーンでの4都市のプログラムに参加しました。
核合意は、残念ながら早晩瓦解するだろうと考えているが、まず、その核合意の意義を3点に集約して述べたい。ここでは、核合意の施行、制裁解除の大半が実際に起こった時期に着目し、「2015-16年イラン核合意」と呼んでいる。
第一に、「イランの核開発プログラム」問題は、イラク戦争直前の2003年に国際問題化した。その後時間はかかり紆余曲折を経たものの、核合意の形で持続的な解決法を見出すことが出来た。第二に、イラン国民・経済への悪影響を排除せず、イランの原油輸出を標的にした過酷な経済・金融制裁に訴える結果になったが、武力は使わず、外交折衝の結果、双方が納得できる合意に至った。中東の問題の解決の事例としては稀有である。是非は別にしても、イラクやアフガニスタンに対する国際社会が武力を用いて対処したのと対照的である。第三に、核合意後、イランはすべての履行要件を遵守したが、これは、双方の外交的・政治的な意思があれば、この問題に対処ができることを示したという点で、歴史的な意義があった。