3月16日(水)、笹川平和財団の笹川日中友好基金は、米中新視角基金会(周志興主席)の協力を得て、日本の中国研究者及びメディア関係者に向けた中国経済オンラインセミナーの第三弾「中国経済は現在及び長期的な厳しい挑戦にどう向き合うか」を開催しました。
講師に北京大学国家発展研究院教授、一橋大学経済研究所特任教授の伍暁鷹氏を迎え、コメンテーターは前回に続き中国経済の専門家で、日本国際問題研究所客員研究員の津上俊哉氏が務めました。
伍暁鷹氏は、中国の経済成長率に関する研究と議論をリードする研究者であり、中国政府が発表したGDP成長率と他の指標を対比する独自の測定値を発表していることで注目されています。今回のセミナーでは、マクロ経済指標から中国経済が直面している不動産、投資、消費、就労等の問題と財政政策の関連性について論じました。さらに中国の40年来の経済改革の軌跡と日本をはじめとする東アジア各国の経済成長を比較し、中国型成長モデルが抱える最も根本的な問題は、政府と市場の間に明確な境界線がないところにあると指摘しました。
津上氏は、伍暁鷹氏の分析に賛意を示し、過剰債務、国進民退、貧富差の拡大が中国経済の三大問題であり、その共通原因は隠れた政府保証だと応じました。講演者とコメンテーターの間で、強すぎる政府の功と罪について意見を交わしました。
笹川日中友好基金による2021年度の中国経済オンラインセミナーシリーズは今回で最終回となります。今後は講師の方々へのインタビュー記事を随時公開してまいります。2022年度も引き続き中国に関する広範なテーマを取り上げ、日本の有識者及びメディア関係者に向けた発信を行っていく予定です。新型コロナ感染症の早期収束を願うと共に中国のオピニオンリーダーを招く対面式交流の再開を実現したいと考えております。今後ともご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
これまでの中国経済セミナーは以下をご参照ください。
第1回.機会と挑戦:2022年の世界経済と中国経済の展望
第2回.不動産業界をめぐる動きと中国経済