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コロナ対応から考えるアジアと世界

「先進民主主義国」の言論空間が見落としている「発展途上国」の対中認識

中国のエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的外交政策はどう受け止められているのか

井形彬

2021.09.17
30分

はじめに

ここ数年、中国政府が高圧的な外交政策を展開するようになってきている。その中には「エコノミック・ステイトクラフト」という「経済的な手段を用いて地政学的な国益を追求する」と定義される様々な政策も含まれている1。特に輸出入、観光客や留学生といった分野で中国依存が高い場合に、中国側が禁輸措置や関税賦課、渡航を抑止する政策などを取ることで圧力をかける手法が頻繁に見られている。そして、所謂「先進民主主義国」の言論空間では、このような政策により世界中で対中認識が悪化しているように語られることが多い2。
 
本稿では、対中認識に関する世論調査の国際比較を通じて「先進民主主義国」では中国によるエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的な外交政策が対中認識の大幅な悪化につながっている一因である可能性を検討する。一方で、現状では「発展途上国」や「権威主義国」におけるデータが不足しているため、これらの国々においても本格的な世論調査を行うことが望ましいことを提言する。

「先進国」における対中認識の悪化

2021年6月30日、Pew Research Centerによる各国の対中認識に関する世論調査の国際比較に関する最新結果が発表された3。欧州、北米、アジア太平洋地域における「先進国(advanced economies)」17ヶ国に行った本調査では、ギリシャとシンガポールを除く15ヶ国にて回答者の過半数以上が中国に対して否定的な見方を示している。
中国に対し否定的な見方を示す回答者の割合
表1:中国に対し否定的な見方を示す回答者の割合を示した表。赤と青のハイライトは、それぞれの国で否定的な見方を示した回答者が一番多かった年と少なかった年。Pew Research Centerの調査結果より筆者作成4。
表2:米国に対し否定的な見方を示す回答者の割合を示した表。赤と青のハイライトは、それぞれの国で否定的な見方を示した回答者が一番多かった年と少なかった年。Pew Research Centerの調査結果より筆者作成5。
定点観測的に行われているこの調査を分析すると、数字の推移に関して興味深い点がいくつか見えてくる。
 
第一に、2021年の回答を見ると、シンガポール以外全ての調査対象国において米国よりも中国に対して否定的な見方を示す割合が高かったことだ。オバマ政権時(2009-2016年)には全体的に米国を否定的に見る国々が少なく、トランプ政権時(2017-2020年)には全体的に対米認識が悪化したのが見て取れるが、2021年はバイデン政権の誕生の影響があってか各国の対米認識は前年に比べて数十ポイント改善している。
 
第二に、本調査が行われ始めた2002年から現在に至るまで、一貫して日本が中国に対して最も否定的な見方を持ち続けているという点だ。日本の否定的な対中認識が最も悪い93%まで悪化したのは、尖閣諸島国有化を巡り日中関係が緊張した2013年だ。その後も中国に対して否定的な見方を示す回答者は安定して8-9割の間を推移しており、2021年は88%となっている。
 
日本のこの数字は、ほんの数年前までは他国と比べて例外的であった。2-3年前までの数字を見ると、日本で中国に否定的な見方をする回答者の割合は他国と比べて数十ポイント以上高かった。これが2019年になり、初めて日本以外にスウェーデンの否定的な対中認識が70%を超え、2020年には11ヶ国が70%を超えている。ここ数年で他の「先進国」の対中認識が急速に日本と同レベルになってきたと言えるだろう。
 
第三に興味深いのは、日本に次いで否定的な対中認識を持つトップ三ヶ国(スウェーデン、オーストラリア、韓国)に見て取れる共通点だ。いずれもエコノミック・ステイトクラフトを含む中国の高圧的な外交政策により被害を受けた時期と対中認識の悪化の時期が重なっている。以下、これら3ヶ国について中国の外交政策と、各国の世論調査の推移について簡単に検討する6。

・スウェーデン(80%)

スウェーデンの対中認識が劇的に悪くなり始めたのは2019年だ。2018年までは45%が否定的であったのが翌年には67%まで悪化し、2020年には73%となっている。
 
2019年は、スウェーデンのNGOが中国生まれでスウェーデン国籍を持つ作家の桂民海(Gui Minhai)にトゥホルスキー賞を授与すると発表した年だ。桂民梅は、中国共産党に対する批判などを含む「禁書」を扱う香港の銅鑼湾書店の株主であり、中国国内で二度拘束されている。中国政府は桂民梅への同賞授与を取りやめるように圧力をかけたが、スウェーデン側が屈しなかった。
 
この報復手段として、中国政府はスウェーデン映画の国内上映を禁止した。また、スウェーデンへの貿易使節団派遣を取り消した。さらに、在スウェーデン中国大使が二国間の経済・貿易規制を行うと発表した7。その後も、スウェーデン発の自動車ブランドであるVolvoが2010年以来フォードに代わって親会社となっていた浙江吉利控股集団有限公司に完全に合併させられる可能性が取りざたされたことや、スウェーデンの先端技術を持つSilex(半導体)やSatlab Geosolutions(人工衛星測位システム)といった企業が中国に買われたことが警戒視され、スウェーデン政府は投資規制の強化に踏み切っている8。
 
このような中国によるエコノミック・ステイトクラフトや経済安保上の懸念に加え、「戦狼外交」も平行して行われたことも更なる対中認識の悪化につながっていると考えられる。在スウェーデン中国大使は過激な発言により2019年から2021年の二年間にかけて、スウェーデン外務省に40回以上も抗議のために呼び出されている。一例として、この大使はスウェーデンを48kgの軽量級ボクサー、中国を86kgの重量級ボクサーに例えて「軽量級ボクサーが挑発し続けるのであれば、重量級ボクサーに選択肢はない」と述べ、スウェーデンに圧力をかけている9。

・オーストラリア(78%)

オーストラリアは短期間で対中認識が最も急激に悪化した事例と言えるだろう。2017年に否定的な対中認識を持つと答えたオーストラリア人は32%と他国に比べて最も低かったが、わずか3年後の2020年には81%と、49%上昇し、日本、スウェーデンに次いで三番目に対中認識が悪い国となっている。
 
2020年はオーストラリアにとって、対中認識を劇的に変化させた年だったと言える。オーストラリア政府は香港やウイグル、チベット等における人権侵害について国際的な場で声を上げてきたほか、WHOで新型コロナに関する国際的な独立調査を求める決議をEUと共に進めてきた。これを受け、中国は11月にオーストラリアに対し「14の不満」を列挙したリストを公開し、「中国を敵として扱うならば、中国は敵となるだろう」と警告した10。
 
このような二国間関係悪化の最中、中国はオーストラリアに対する様々なエコノミック・ステイトクラフトを駆使している。中国は牛肉、麦、石炭、砂糖、シーフード、銅、木材、綿、ワインなどの輸入に対し禁輸や追加関税を課している11。また、オーストラリアの大学は2019年時点で全学生の10%程度が中国人留学生となっており、大学の経営上重要な収入源となってきた。しかし、中国教育部は2020年6月にオーストラリアにおける「アジア人に対する差別的な事件」などを理由に、オーストラリアに留学しないよう中国人学生に警告している12。
 
オーストラリアではこれら中国によるエコノミック・ステイトクラフトに加え、「戦狼外交」や「影響力作戦(influence operation)」も対中認識の悪化に繋がっている13。最も甚だしい例としては、中国外交部報道官の趙立堅がSNSにて、オーストラリア軍人がアフガニスタンの子供の喉元にナイフを突きつける偽の合成写真を掲載するという、偽情報の流布を行ったのもこの時期だ14。

・韓国(77%)

韓国は2016年の世論調査データが抜けているものの、2015年と2017年を比べると否定的な対中認識が37%から61%と大幅に悪化していることが分かる。
 
2016年は、韓国が米国とTHAADと呼ばれるミサイル防衛システムの配備を決定した年だ。北朝鮮を念頭に配置されたこのシステムだが、中国政府はこれが自国に対する手段だと解釈し、報復措置として様々なエコノミック・ステイトクラフトを駆使している。
 
まず、中国政府は国内にてK-popの国内イベントのキャンセルや韓国のテレビ番組放映を禁止した。また、空気清浄機やトイレシートといったサムスン・LGエレクトロニクスという韓国の大手電化製品会社の製品や化粧品などを「安全性の懸念」を理由に販売を禁止した。他にも、THAAD配備の土地を提供したロッテグループに対して、中国規制当局が中国国内のロッテマート99ヶ所中、75ヶ所を「安全基準違反」として閉鎖したほか、中国国内におけるチョコレート工場の建設を停止した。更に、韓国製の自動車会社であるHyundaiやKiaのボイコットが行われ、売り上げが半分に落ち込んでいる。これらに加えて旅行代理店に対して韓国へのパッケージツアーの販売をやめるように働きかけたのに加え、中国-韓国間のチャーター便の追加申請を拒否するなどして、結果的に韓国への月間中国人観光客数は2016年6月に約76万人だったのが、翌年同月は約25万人と1/3まで減少している15。

・その他

これ以外にも、否定的な対中認識が広まっている上位の国々を見ると、いずれも中国のエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的な外交政策を取られた時期と、世論調査結果が対中認識悪化に傾いた時期が重なっている。

「発展途上国」における対中認識

ここまで見ると、中国のエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的な外交政策は対中認識悪化の一因であり、「中国外交の失敗」と論じることは何ら不自然でないように思える。
 
しかし、このPew Research Centerの調査は示唆に富むものである一方で、「先進国」しか見ていないという欠点がある。すなわち、これら17ヶ国はほぼ全てが経済的に裕福である「民主主義国」ばかりなのだ。経済的に発展した国であれば中国のエコノミック・ステイトクラフトに対して一定の抵抗ができると考えられるのに加え、民主主義国であれば強権主義的な政策や言説に対する反発がより強い、といった仮説が立てられる。すなわち、「発展途上国」や「権威主義国」に対しても、中国の高圧的な外交政策が対中認識の悪化につながっているとは必ずしも言えない可能性がある。例えば、2021年の調査結果で対中認識よりも対米認識の方が悪いのは、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが毎年出している各国の「民主主義指数」で第74位と、Pew Research Centerが調査対象とした他の国々に大きく後れをとっているシンガポールだけとなっている16。
 
実際に、中国のエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的な外交政策が「成功している」と解釈しうる事例がいくつかある。例えば、これら「先進民主主義国」を中心とする39ヶ国が香港の国家安全維持法について中国政府を批判する声明に同調しているが、それ以外の「発展途上国」や「権威主義国」を中心とする54ヶ国が香港国家安全維持法を支持すると表明している17。また、中国政府の新疆ウイグル自治区における政策に関しても、同じく「先進民主主義国」を中心とする39ヶ国が中国政府を批判したものの、それ以外の「発展途上国」や「権威主義国」を中心とする45ヶ国が支持を表明している18。
 
これらの国々が何故中国の諸政策に対し支持・反対したかは勿論、それぞれ個別の理由があるため一般的に語ることはできない。しかし、対中認識が「先進民主主義国」と「発展途上国」や「権威主義国」の間で二分化しているように見える事例が増えているのも事実だ。特に、中国はCOVID-19を受けて「マスク外交」や「ワクチン外交」に力を入れており、その対象は他でもない、「発展途上国」や「権威主義国」となっている。特に「マスク外交」に関しては、防衛協力の文脈で中国人民解放軍が医療製品を各国に提供している事例19や、中国が姉妹都市関係にある国に対して優先的に医療製品を提供しているといった指摘20がされ始めており、「対外援助」というエコノミック・ステイトクラフトが対象国にどのような対中認識変化を与えているかの調査も望まれる。
 
より詳細な分析を行うためにも、「発展途上国」や「権威主義国」における対中認識に関する国際的な世論調査比較が行われることが重要だ。現状ではISEAS-Yusof Ishak Instituteが行っている東南アジアにおける世論調査比較が存在するが、この調査は「エリート層」のみを対象としており、一般的な世論調査を行っているPew Research Centerの調査と単純比較することはできない21。

おわりに

現在、「コロナ対応から考えるアジアと世界」プロジェクトでは、まさにこれら「発展途上国」や「権威主義国」などのPew Research Centerがカバーしていない国々を中心に、「エリート層」に限られない一般向けの世論調査を行っている。対中認識の二分化は生じているのか。中国のエコノミック・ステイトクラフトを含む高圧的な外交政策は成功している側面も存在するのか。続報を期待されたい。

1 エコノミック・ステイトクラフトについては、以下の文献を参照のこと。Brad Glosserman、井形彬「『日本の安全保障政策』にかけている視点:『Economic statecraft』とは何か」『東洋経済Online』、2018年2月26日。https://toyokeizai.net/articles/-/209782; 井形彬「『経済的国策』をめぐり激化する米中競争——エコノミック・ステイトクラフト(ES)にどう対処するか」『外交』、2019年3/4月号。http://www.gaiko-web.jp/test/wp-content/uploads/2019/04/4-5p44-47.pdf; Akira Igata. “Economic Security and Japan’s Economic Statecraft.” Issues & Insights. Vol.21, SR1. April 2021: p.1-12. https://pacforum.org/wp-content/uploads/2021/04/issuesinsights_vol21SR1.pdf?fbclid=IwAR2jmUfrO1iR3D7quomnBrRRtV9LtttzSjyNMGJ-zJxB4L_jcw2FZ9jcXcI; 井形彬「日米同盟は『経済安全保障』の時代へ~菅・バイデン共同声明で鮮明に」『論座』2021年4月20日。https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021041900001.html; Akira Igata and Brad Glosserman. “Japan Is Indispensable Again: The Need for Economic Security Is Reviving Washington’s Alliance With Tokyo.” Foreign Affairs. July 15, 2021. https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2021-07-15/japan-indispensable-again; Akira Igata and Brad Glosserman. “Japan’s New Economic Statecraft.” The Washington Quarterly. Vol. 44, Issue 3, 2021. http://dx.doi.org/10.1080/0163660X.2021.1970334.

2 例えば、以下の文献を参照のこと。Minxin Pei. “Opinion: China’s economic bullying will never work.” Nikkei Asia. July 8, 2020. https://asia.nikkei.com/Opinion/China-s-economic-bullying-will-never-work; Jessica Chen Weiss. “China’s Self-Defeating Nationalism: Brazen Diplomacy and Rhetorical Bluster Undercut Beijing’s Influence.” Foreign Affairs. July 16, 2020. https://www.foreignaffairs.com/articles/china/2020-07-16/chinas-self-defeating-nationalism; Steven Lee Myers. “China’s Aggressive Diplomacy Weakens Xi Jinping’s Global Standing.” The New York Times. April 20, 2020. https://www.nytimes.com/2020/04/17/world/asia/coronavirus-hina-xi-jinping.html
3 Laura Silver, Kat Devlin and Christine Huang. “Large Majorities Say China Does Not Respect the Personal Freedoms of Its People.” Pew Research Center, June 30, 2021. https://www.pewresearch.org/global/2021/06/30/large-majorities-say-china-does-not-respect-the-personal-freedoms-of-its-people/
4 中国の数字は以下の表を参照のこと。”Large majorities in most places have negative opinions of China.” Pew Research Center. June 29, 2021. https://www.pewresearch.org/global/2021/06/30/large-majorities-say-china-does-not-respect-the-personal-freedoms-of-its-people/pg_2021-06-30_global-views-china_0-02/
5 米国の数字は以下の報告書を参照のこと。Richard Wike, Jacob Poushter, Laura Silver, Janell Fetterolf and Mara Mordecai. “America’s Image Abroad Rebounds With Transition From Trump to Biden.” Pew Research Center. June 10, 2021: 34-37. https://www.pewresearch.org/global/wp-content/uploads/sites/2/2021/06/PG_2021.06.10_us-image_REPORT.pdf
6 尚、日本も中国によるエコノミック・ステイトクラフトの被害を受けている。2010年には尖閣諸島をめぐる緊張の高まりを受け、中国が日本へのレアアース輸出を停止。しかし、日本の場合その影響はこの世論調査に明確に現れていない。これは当時から既に日本の対中認識は全体的に否定的であったためそこまで影響が見られなかった、あるいは、2011年の東日本大震災を受けて中国を含む国際社会が日本に積極的に手を差し伸べたことにより否定的な対中認識が緩和された、など様々な仮説が立てられるが、本件の詳しい分析は本稿では行わない。
7 Tobias Andersson Åkerblom. “Kinas ambassadör till GP: Handelsrestriktioner ska införas mot Sverige.” Göteborgs-Posten. December 5, 2019.
https://www.gp.se/ekonomi/kinas-ambassad%C3%B6r-till-gp-handelsrestriktioner-ska-inf%C3%B6ras-mot-sverige-1.21197960
8 Thomas Erdbrink and ChristinaAnderson. “Fears for Volvo Expose Sour Turn in Sweden’s Ties With China.” The New York Times. June 17, 2021. https://www.nytimes.com/2020/06/14/world/europe/sweden-china-volvo.html
9 James Kynge. “Taming the wolf warrior – China’s rising aggression.” Financial Times. August 10, 2021. https://www.ft.com/content/1b9cba7e-4473-4b27-adb2-67ef63e02717
10 Jonathan Kearsley. “China shows official list of reasons for anger with Australia.” 9 News. November 18, 2020. https://www.9news.com.au/national/china-australia-tensions-beijing-government-grievance-list-with-canberra/adc10554-e4e9-4a19-970e-81949501a1ad
11 Su-Lin Tan. “Explainer | China-Australia relations: what’s happened over the past year, and what’s the outlook?” South China Morning Post. April 20, 2021.
https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3130109/china-australia-relations-whats-happened-over-past-year-and
12 中华人民共和国教育部「教育部发布2020年第1号留学预警」2020年6月9日。http://www.moe.gov.cn/jyb_xwfb/gzdt_gzdt/s5987/202006/t20200609_464131.html
13 オーストラリアにおける影響力作戦については、以下の文献を参照のこと。Clive Hamilton. Silent Invasion: China’s Influence in Australia. Richmond, Victoria: Hardie grant books, 2018.
14 “Australia demands China apologise for posting ‘repugnant’ fake image.” BBC News. November 30, 2020. https://www.bbc.com/news/world-australia-55126569
15 本段落の数字は、いずれも以下の文献より引用している。Ethan Meick and Nargiza Salidjanova. “China’s Response to U.S.-South Korean Missile Defense System Deployment and its Implications.” U.S.-China Economic and Security Review Commission Staff Research Report. July 26, 2017: 7-9.
https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/Report_China's%20Response%20to%20THAAD%20Deployment%20and%20its%20Implications.pdf
16 The Economist Intelligence Unit. Democracy Index 2020: In Sickness and in health? 2021. https://www.eiu.com/n/campaigns/democracy-index-2020/
17 Shannon Tiezzi. “Which Countries Support China on Hong Kong’s National Security Law?” The Diplomat. October 9, 2020.
https://thediplomat.com/2020/10/which-countries-support-china-on-hong-kongs-national-security-law/
18 Catherine Putz. “2020 Edition: Which Countries Are For or Against China’s Xinjiang Policies?” The Diplomat. October 9, 2020. https://thediplomat.com/2020/10/2020-edition-which-countries-are-for-or-against-chinas-xinjiang-policies/
19 Helena Legarda. “The PLA’s Mask Diplomacy: China Global Security Tracker No.7.” MERICS. August 3, 2020. https://merics.org/en/tracker/plas-mask-diplomacy
20 Andreas Fuchs, Lennart Kaplan, Krisztina Kis-Katos, Sebastian S. Schmidt, Felix Turbanisch, FeichengWang. “China’s mask diplomacy: Political and business ties facilitate access to critical medical goods during the coronavirus pandemic.” VOX EU. September 16, 2020. https://voxeu.org/article/china-s-mask-diplomacy
21 ISEAS-Yusof Ishak Institute. The State of Southeast Asia: 2021 Survey Report. February 2021. https://www.iseas.edu.sg/wp-content/uploads/2021/01/The-State-of-SEA-2021-v2.pdf

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