第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
【開催報告】セミナー 日本・ブラジル相互理解促進セミナー ~友好関係130周年のその先へ~
公開日:2026.02.06
1908年に「日伯修好通商航海条約」が締結されて以降、移民船「笠戸丸」がブラジル・サンパウロ州のサントス港に到着し、多くの日本人がブラジルへ渡航しました。2025年はこの条約締結から130年の節目にあたりました。
この機をとらえ、笹川平和財団第1グループ(戦略対話・交流促進担当)は、日系ブラジル人の連邦下院議員やサンパウロ市議会議員などの日系人政治家やオピニオンリーダーを日本に招へいし、1週間の交流・視察プログラムを実施すると共に、その一部として2026年1月30日(金)に公開セミナーを開催しました。同セミナーは、ブラジルや日本社会の発展に多大なる貢献をしてきた日系人を軸に、日本とブラジル両国の相互交流の重要性の深化を促す機会となりました。
この機をとらえ、笹川平和財団第1グループ(戦略対話・交流促進担当)は、日系ブラジル人の連邦下院議員やサンパウロ市議会議員などの日系人政治家やオピニオンリーダーを日本に招へいし、1週間の交流・視察プログラムを実施すると共に、その一部として2026年1月30日(金)に公開セミナーを開催しました。同セミナーは、ブラジルや日本社会の発展に多大なる貢献をしてきた日系人を軸に、日本とブラジル両国の相互交流の重要性の深化を促す機会となりました。
開会挨拶
萱島 信子 氏(笹川平和財団 常務理事)
本セミナーは、日本とブラジルの友好関係をさらに発展させ、次の世代につないでいく取り組みであると述べ、様々な国・地域で紛争が発生、治安は不安定な状況にあり、世界の平和と安全のためには、様々なステークホルダーとできるところから繋がっていくことの重要性を伝えました。2025年は、日本とブラジルの友好130周年にあたり、皇族のブラジル訪問やブラジル大統領の日本訪問といった両国で多様な交流が活発に行われたことに触れ、当財団も両国の友好関係が130年の歴史を踏まえた上で、その先の次世代につながっていくような事業に2025年度より新たに取り組んでいることを紹介しました。
来賓挨拶
オクタヴィオ・エンヒッケ・ジアス・ガルシア・コルテス 特命全権大使(駐日ブラジル連邦共和国大使館)
130 年にわたる外交関係の歩みの中で、ブラジルと日本は大きな変貌を遂げてきました。その変化は両国の多様な交流に反映され、その成果はブラジルの農業、漁業、工業の近代化にも大きく寄与してきました。
また、世代を超えて受け継がれてきた日系社会の人間性やコミュニティ精神といった価値観は、ブラジル社会に同化し、根づいています。分断と紛争が続く現代において、こうした価値観が世界に希望と勇気を与える存在であってほしいと、心から願っています。
また、世代を超えて受け継がれてきた日系社会の人間性やコミュニティ精神といった価値観は、ブラジル社会に同化し、根づいています。分断と紛争が続く現代において、こうした価値観が世界に希望と勇気を与える存在であってほしいと、心から願っています。
【第1部】講演
本セミナーの第1部では、日本に在住するブラジル関連の専門家から、政治、外交、日系社会の視点を交え、日本とブラジル交流の重要性を強調する講演が行われました。
舛方 周一郎 准教授(慶應義塾大学 法学部 政治学科)
「危機の時代のブラジル政治と日本外交―日伯関係をどう位置づけるか」
危機が連鎖する時代、日本とブラジルの二か国間だけではこの衝撃を吸収することができず、日伯関係を「協力の要」とし、多国間主義を運用可能にするべきだと述べ、日本の資本、資金、技術、制度とブラジルの食料、資源、気候を活用し、二国間では支える領域が欠ける部分を、大国の1つであり日伯両国とも相対的に関係の強いインドとも連携し、その経済成長と技術で補うことで領域の補完と信頼が協力を可能にすることを提案しました。さらに、2026年はブラジルの選挙の年であることを取り上げ、在外投票は「余白」ではなく「政治を動かす回路」として機能することを強調しました。日伯両国に必要なのはイデオロギーの勝敗ではなく、現実的な統治の線を作っていくこと、ブラジルの旗印にもあるように「秩序」と「進歩」の同時達成を目指す統治技術こそが現在必要とされていることではないかと述べ、最後に「日系であることは象徴ではなく、二つの公共圏をつなぐ資産である」というメッセージが残されました。
早田 幸太郎 氏(弁護士/日系人)
「在日日系ブラジル人達の日本社会との連携と活躍」
早田氏はブラジル領事館顧問弁護士としての活動を通じて、「日伯関係は公式な条約書だけでなく、学校、家族、人々、社会に表れている」と述べ、多様なブラジル人社会と在日ブラジル人の日本社会における活躍を法務、教育、ビジネス、文化などの面から取り上げました。在日ブラジル人を4つの社会的グループに分析し、日本社会に完全統合を果たしたブラジル人を挙げる一方、コミュニティが日本社会で直面する言語的壁、独自のエコシステムなどの課題も述べられました。その中でも見えない架け橋として機能する二つの社会を行き来する在日ブラジル人を、現代の社会における両国の繋がりに必要不可欠な存在であることを強調しました。今後の日伯関係においても両国社会においてもこの架け橋となる在日ブラジル人の活躍を期待し、新たな未来を構築することへの可能性と希望が述べられました。
【第2部】パネルディスカッション
本セミナーの第2部では、ブラジルにて活躍する日系政治家およびオピニオンリーダーによる日本とブラジルの関係における日系政治家の役割や現地での日系人としての活動を紹介するパネルディスカッションが行われました。
「日系ブラジル人政治家の役割と日伯両国からの期待」
キン・カタギリ連邦下院議員
ブラジルの政治界での日系人の数の少なさを強調し、私たち日系人が祖先との関係を継続し、文化的、人的交流を失わず、日本の伝統、教育を継承していくことが責任と使命であるとした上で、二国間の架け橋としての意欲が述べられました。カタギリ議員は、日本の司法制度、治安に加え、年々自然災害の被害が増える傾向にあるブラジルは、自然災害の多い日本のインフラから学ぶべき技術、実践が豊富にあることを取り上げました。さらに、日本人は事前に計画したことを確実に実施するという行動スタイルに加えて、ブラジル人のアドリブ力、創造力、予想できないことに対しての対処能力から学べることがあるのではないかと述べられました。
ペドロ・アイハラ連邦下院議員
日本の移民から始まった日本とブラジルの関係ではあるが、グローバル化が進んだ現代はどちらかの助けに依存するのではなく、互いに連携することの重要さが強調されました。アイハラ議員は、グローバルな社会においても、自国の主義主張ばかりでなく二国間の連携が強調されるべきであり、ブラジルは更に、これまでの日本政府等による農業分野への貢献やブラジル国内の豊富なリソース、並びに優れた研究者を生かして、日本とブラジル両国の技術成長のためにもブラジルは日本の研究所になれるし、なる資格があると述べられました。
「サンパウロ市を中心とした日系リーダーの活躍」
クラウディオ・クリタ氏(モデレーター)
ブラジルで最も大きな日系コミュニティが在住するサンパウロ市での市議会議員としてブラジル社会とブラジル国内の日系コミュニティに向けた活動が紹介されました。
ジョージ・ハト サンパウロ市議会議員
ハト市議会議員からは、サンパウロ市の予防医療の一環としてスポーツ、野球を促進した実践、さらには現在ブラジル国内33%の子どもたちが肥満状態にある課題と立ち向かうため、学校給食の調整、超加工品の販売停止の取り組み、日系企業と連携した人材育成や雇用機会創出により経済・開発成長を試みた活動などが挙げられました。
ロドリゴ・ハヤシ・グラール サンパウロ市議会議員
グラール市議会議員は、若手リーダーとして日系社会での活動、イベントに参加することの重要さも述べ、出自の歴史の関心が薄れている次世代の若者に対して、日系文化を引き続き継承し、先祖から引き継いだ教えと伝統を失わず、忘れない若者の継承者を育成していきたいとの意欲が述べられました。日系であることは一つの架け橋であり、過去には日系コミュニティから日系コミュニティのために働く議員を選出していた時代もあったが、混血でさまざまなコミュニティが生きるブラジル社会においては、日系人である以上に一人のブラジルの政治家として日系コミュニティを超えて仕事をしていくことがますます重要であると述べられました。
閉会挨拶
小西 伸幸 氏(笹川平和財団 第1グループ グループ長)
日系を一つの切り口とし、政治家、オピニオンリーダーとFace to faceで対話することで日本とブラジルの相互理解、交流を強固する機会を構築することができ、本セミナーに登壇いただいたすべての関係者や開催に協力いただいた機関の関係者に謝意を伝えました。また、今後も、世界の平和と安全に貢献するという当財団のミッションのもと、ブラジルに続き、ペルー、アルゼンチン、パラグアイとの相互理解をも促進するための活動を引き続き進めていく意欲を述べました。
当財団はこれからも次世代を中心に、日本と南米日系社会との連携構築を目指した活動を展開してまいります。
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お問い合わせ先
笹川平和財団 第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
担当者:梶ヶ山
E-mail:asia@spf.or.jp
笹川平和財団 第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
担当者:梶ヶ山
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