第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
【開催報告】
インド国会議員招へいと日印の国会議員によるラウンドテーブルミーティングの開催
2025.03.12
10分
主催:笹川平和財団
共催:インド産業連盟(Confederation of Indian Industry)
ラウンドテーブル開催日時:2025年2月25日(火)18:30-20:30 (JST)

安達一常務理事
笹川平和財団では、アジア諸国と日本との間で、社会の平和と安定を希求するべく様々な人物交流事業、開発協力事業、調査研究事業を実施しています。
この度、「日印戦略的ネットワーク強化事業」の一環として、世界の外交・経済において存在感を高めるインドと日本の関係強化を目的に、2025年2月24日(月)~3月1日(土)に、インドの国会議員4名を日本に招へいしました。
今回招へいしたインド国会議員は以下の通りです。
今回の招へいでは、日本の政治家や政府高官との対話とネットワーク作りのため、東京にて菅義偉日印協会会長、西村康稔日印友好議連会長をはじめとする政府関係者や国会議員、外務省との意見交換等を行いました。
特に2月25日(火)には日印国会議員等による「新時代における日印共通目標に向けた対話」と題したラウンドテーブルミーティングを開催し、日印国会議員間の対話が行われましたので、以下にその概要を報告します。
本会合の冒頭、笹川平和財団常務理事の安達一より、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップのもと、日印は外交・経済的協力が深化する重要なパートナーであると同時に、日本側とインド側の相互理解は未だ特定の分野に限られている現状がある。日印間の対話を通じた相互理解が日印二国間関係の発展の核心である」とし、ラウンドテーブルへの期待を述べました
その後、日本側からは岐阜女子大学南アジアセンター特別客員准教授である笠井亮平氏、インド側からは来日した国会議員4名を代表して上院議員のアルン・シン氏(インド人民党)が、基調講演を行いました。
この度、「日印戦略的ネットワーク強化事業」の一環として、世界の外交・経済において存在感を高めるインドと日本の関係強化を目的に、2025年2月24日(月)~3月1日(土)に、インドの国会議員4名を日本に招へいしました。
今回招へいしたインド国会議員は以下の通りです。
- アルン・シン 上院議員(2期目、ウッタル・プラデーシュ州、インド人民党全国書記)
- ラブ・クリシュナ・デヴァラーヤルー 下院議員(2期目、アーンドラ・プラデーシュ州、デルグ・デーサム党国会議員団団長)
- リッキー・シンコン 下院議員(1期目、メガラヤ州、人民の声党書記長)
- イクラー・チョードリー 下院議員(1期目、ウッタル・プラデーシュ州、サマジュワディー党)
今回の招へいでは、日本の政治家や政府高官との対話とネットワーク作りのため、東京にて菅義偉日印協会会長、西村康稔日印友好議連会長をはじめとする政府関係者や国会議員、外務省との意見交換等を行いました。
特に2月25日(火)には日印国会議員等による「新時代における日印共通目標に向けた対話」と題したラウンドテーブルミーティングを開催し、日印国会議員間の対話が行われましたので、以下にその概要を報告します。
本会合の冒頭、笹川平和財団常務理事の安達一より、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップのもと、日印は外交・経済的協力が深化する重要なパートナーであると同時に、日本側とインド側の相互理解は未だ特定の分野に限られている現状がある。日印間の対話を通じた相互理解が日印二国間関係の発展の核心である」とし、ラウンドテーブルへの期待を述べました
その後、日本側からは岐阜女子大学南アジアセンター特別客員准教授である笠井亮平氏、インド側からは来日した国会議員4名を代表して上院議員のアルン・シン氏(インド人民党)が、基調講演を行いました。
1. 岐阜女子大学南アジアセンター笠井亮平氏 基調講演要旨

笠井亮平氏
昨年は、2014年に当時の安倍総理とモディ首相のリーダーシップのもと格上げされた「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の10周年にあたる年でありました。実際、2000年代初頭に比べ、2025年現在の日印間協力の拡大・深化が著しいことを感じています。同時に、日印関係には未だ課題が残る領域もあります。これまで、両国間の外交・貿易・経済分野を中心に関係強化が進められてきました。今後は、日印間のあらゆるレベルでの人的交流や、日本とインドの地方自治体間の交流・協働の促進も真剣に検討されるべきアジェンダであり、本日のラウンドテーブルでの議論にも期待をしたいと思います。
「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の本質的な強化を目指す中で、日印関係の重要性を二国間だけでなく、「地域間(リージョナル)」および「グローバル」の観点からも検討していく必要があります。日本が最初に提唱した「自由で開かれた太平洋(FOIP)」は、安倍元総理の在任中から日本外交におけるプライオリティです。FOIP構想のもと、これまではベンガル湾や東南アジアに焦点が当てられてきました。これからは、インド洋及びインド太平洋西海域とのコネクティビティの強化という点に日印協力のポテンシャルがあると考えます。さらに、日印関係の「グローバル」な意義として、今日の不安定な国際情勢におけるより良い国際秩序の形成に両国がアプローチできるという点があります。なかでも、SDGsへの取り組みの強化およびSDGsの目標期限である2030年以降の道しるべを示す上で、日印が積極的に協働できるのではないのでしょうか。また、日印は、民主主義のレジリエンスが直面する課題について、グローバルな文脈をふまえた貢献ができるとも考えます。アジアのみならず世界においても民主主義大国である日印はは昨今の民主主義の危機に対して協力可能であり、本日のラウンドテーブルにおいても、どのように両国が民主主義の価値を維持・強化できるかについての議論が交わされることも期待しています。
「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の本質的な強化を目指す中で、日印関係の重要性を二国間だけでなく、「地域間(リージョナル)」および「グローバル」の観点からも検討していく必要があります。日本が最初に提唱した「自由で開かれた太平洋(FOIP)」は、安倍元総理の在任中から日本外交におけるプライオリティです。FOIP構想のもと、これまではベンガル湾や東南アジアに焦点が当てられてきました。これからは、インド洋及びインド太平洋西海域とのコネクティビティの強化という点に日印協力のポテンシャルがあると考えます。さらに、日印関係の「グローバル」な意義として、今日の不安定な国際情勢におけるより良い国際秩序の形成に両国がアプローチできるという点があります。なかでも、SDGsへの取り組みの強化およびSDGsの目標期限である2030年以降の道しるべを示す上で、日印が積極的に協働できるのではないのでしょうか。また、日印は、民主主義のレジリエンスが直面する課題について、グローバルな文脈をふまえた貢献ができるとも考えます。アジアのみならず世界においても民主主義大国である日印はは昨今の民主主義の危機に対して協力可能であり、本日のラウンドテーブルにおいても、どのように両国が民主主義の価値を維持・強化できるかについての議論が交わされることも期待しています。
2. アルン・シン インド上院議員 基調講演要旨

アルン・シン上院議員
日本とインドは、持続可能な発展を基盤とする平和という共通のビジョンを持ち、複層的な二国間対話を通じて協力を深めています。特に、強靭で透明性のあるグローバル・サプライチェーンの構築が両国の経済の繁栄に不可欠です。インドは世界で最も急成長する経済大国であり、日本はその変革を支える重要なパートナーです。岸田首相の2022年訪印以来、クリーンエネルギー、バイオテクノロジー、製造業などで協力が進展し、日本・インド包括的経済連携協定(CEPA)を通じた経済関係が強化されました。日本の投資はインドの成長を支えており、特に半導体分野は日印の協力が最も期待されている分野であります。中小企業レベルでは、インドが低コストで適切なソリューションを提供し、日本が技術支援を行うことで、双方に利益をもたらす関係が築いています。
人的交流の面では、インドからの留学生は増えているものの、日本との相互交流は依然として少ないことに課題があります。専門性を有する人材の往来を活性化させる必要があります。
インフラにおける日印間の協力に関しては、過去10年間で日本はインドのインフラに350億ドル以上を投資し、スマートシティ、新幹線、EVバッテリー開発などのプロジェクトが進行しています。サプライチェーン強化の取り組みを活用し、インド太平洋地域の経済安全保障を強化し、ヘルスケア、インフラ、サイバーセキュリティ、気候変動対策といった分野での協力も加速しています。
日本とインドは歴史的に友好関係を築いており、特に近年はモディ首相のリーダーシップのもと、日印関係は過去にないほど強化されています。本日のラウンドテーブルは日印の友好関係を促進することを確信しています。私たちは、これらの取り組みを更に前進させるべく継続して努めていかねばなりません。
人的交流の面では、インドからの留学生は増えているものの、日本との相互交流は依然として少ないことに課題があります。専門性を有する人材の往来を活性化させる必要があります。
インフラにおける日印間の協力に関しては、過去10年間で日本はインドのインフラに350億ドル以上を投資し、スマートシティ、新幹線、EVバッテリー開発などのプロジェクトが進行しています。サプライチェーン強化の取り組みを活用し、インド太平洋地域の経済安全保障を強化し、ヘルスケア、インフラ、サイバーセキュリティ、気候変動対策といった分野での協力も加速しています。
日本とインドは歴史的に友好関係を築いており、特に近年はモディ首相のリーダーシップのもと、日印関係は過去にないほど強化されています。本日のラウンドテーブルは日印の友好関係を促進することを確信しています。私たちは、これらの取り組みを更に前進させるべく継続して努めていかねばなりません。
3.日印国会議員相互意見交換
後半は、インド国会議員4名と日本国会議員を中心に、人的交流や教育における日印関係促進や混沌とする国際情勢における日印の役割について、率直な意見交換が行われました。
人的交流の促進については、インド国会議員側から、日本で学ぶインド人留学の数が少ない理由として日本の大学卒業後の在留資格取得における困難(就業機会の制約)やインドにおける日本語教育施設・教師の不足、インド人の雇用機会不足があるとの見解が述べられました。また、日印間の人的交流が進んでいない現状とそれに対する政策の必要性に関して問題意識が共有されました。また、両国における女性の政治参加については、2023年にインドで採択された「女性エンパワーメント法」を背景に、インド側から、日本の国会ではどのような取り組みがなされているのかとの質問が挙げられました。女性の政治参加推進に向けた施策について、両国の国会議員による活発な意見交換が行われました。
そのほか、日本側からは、若者の教育分野における交流、対米外交についての認識に関する質問などが挙げられました。インド側からは、AI開発における法整備や日印の経済協力についての質問や意見が述べられました。
人的交流の促進については、インド国会議員側から、日本で学ぶインド人留学の数が少ない理由として日本の大学卒業後の在留資格取得における困難(就業機会の制約)やインドにおける日本語教育施設・教師の不足、インド人の雇用機会不足があるとの見解が述べられました。また、日印間の人的交流が進んでいない現状とそれに対する政策の必要性に関して問題意識が共有されました。また、両国における女性の政治参加については、2023年にインドで採択された「女性エンパワーメント法」を背景に、インド側から、日本の国会ではどのような取り組みがなされているのかとの質問が挙げられました。女性の政治参加推進に向けた施策について、両国の国会議員による活発な意見交換が行われました。
そのほか、日本側からは、若者の教育分野における交流、対米外交についての認識に関する質問などが挙げられました。インド側からは、AI開発における法整備や日印の経済協力についての質問や意見が述べられました。

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