第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
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国際移住労働と市民社会の役割
ASEAN Civil Society Conference / ASEAN People’s Forum 2018(於シンガポール)において調査報告とワークショップを開催
2018.11.16
笹川平和財団(東京都港区、田中伸男会長)は「国際移住労働と市民社会の役割」事業の一環として、11月2日~4日の日程でシンガポールにおいて開催されたASEAN Civil Society Forum / ASEAN People’s Forum 2018 (ACSC/APF2018)に出席し、「Migrant Workers’ Rights in ASEAN Region: A Baseline Study」の報告を兼ねたワークショップの分科会を主催しました。


2017年11月の第31回東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットにて各国首脳により署名された「移住労働者の権利の保護と伸長に関する宣言(コンセンサス)」を受けて、笹川平和財団は、インドネシアを拠点にASEAN域内の人権問題に関してアドボカシー活動を行うHuman Rights Working Group(HRWG)への支援を通じて、域内の市民社会からの情報に基づいた提言の取りまとめなどの活動を行っています。2018年度の夏からは、コンセンサスに示されている移住労働者の権利について各国ではどのような現状にあるのか、またコンセンサスが見落としている問題としてどのようなことがあるのかを明らかにするためベースライン調査を実施してきました。今回のACSC/APF2018での分科会は、その調査結果を取りまとめた刊行物「Migrant Workers’ Rights in ASEAN Region: A Baseline Study」の発表の機会となりました。
このワークショップでは、HRWGでASEAN人権アドボカシープログラムを率いるDaniel Awigra氏からコンセンサスの経緯とその概要、今後各国でどのような制度設計や活動が計画されているのかを紹介し、ベースライン調査でリサーチャーを務めたインドネシア大学のAvyanthi Aziz氏が全ASEAN加盟国をカバーしたリサーチの内容を報告しました。また、HRWGのプログラム・オフィサーであるYoga Lordason氏は、自身の母親がシンガポールで移民家事労働者として20年以上働いていることを事例に移住労働者と家族が抱える課題、特に子供と親のコミュニケーション不足によって生じる問題やそれを防ぐために必要な権利保護について実体験を含めて問題提起しました。
担当研究員の林茉里子は、日本の市民社会の一員としての立場から、「日本はASEANのダイアローグパートナーであり、またASEAN+3のメンバー国でもある。また、ASEAN諸国からの労働者の受入国のひとつであり、東南アジア諸国に進出する多くの日本企業が現地で移住労働者の雇用主となっているということからも、日本の市民社会には、ASEAN諸国の市民社会と連携し移住労働者の権利の保護と伸長に取り組む責任がある」と今回のワークショップを笹川平和財団がHRWGと共に開催するに至った問題意識を説明しました。
担当研究員の林茉里子は、日本の市民社会の一員としての立場から、「日本はASEANのダイアローグパートナーであり、またASEAN+3のメンバー国でもある。また、ASEAN諸国からの労働者の受入国のひとつであり、東南アジア諸国に進出する多くの日本企業が現地で移住労働者の雇用主となっているということからも、日本の市民社会には、ASEAN諸国の市民社会と連携し移住労働者の権利の保護と伸長に取り組む責任がある」と今回のワークショップを笹川平和財団がHRWGと共に開催するに至った問題意識を説明しました。

ワークショップの後半では、ASEAN諸国や台湾から出席した市民団体の関係者らとの活発な意見交換がなされました。地域統合の議論の中では、労働力の移動がモノの貿易や金融取引と同じように話されることが多いが、当然のことながら労働力=労働者=人間であるという視点を必ず持って議論がなされるべきであるということが再認識されました。
このベースライン調査は、政府や国際機関によるデータだけはなく、ASEAN加盟10か国において日々移住労働者やその家族と向き合い現場で活動している市民社会から提供された情報を含むものとなっており、ハイレベル会合や政策対話では見落とされがちな「人々の声」も反映したものでもあります。「Migrant Workers’ Rights in ASEAN Region: A Baseline Study」は近日中にオンラインで公開の予定です。
このベースライン調査は、政府や国際機関によるデータだけはなく、ASEAN加盟10か国において日々移住労働者やその家族と向き合い現場で活動している市民社会から提供された情報を含むものとなっており、ハイレベル会合や政策対話では見落とされがちな「人々の声」も反映したものでもあります。「Migrant Workers’ Rights in ASEAN Region: A Baseline Study」は近日中にオンラインで公開の予定です。
関連リンク
■2018年2月開催: “Regional CSOs Consultation Meeting on the Implementation of ASEAN Consensus on the Rights of Migrant Workers”
報告書(1.2MB)
コンセンサスへの提言書(388.4KB)
■2018年8月開催:“Assessing the Human Rights Situation of Migrant Workers in ASEAN : A Civil Society Baseline Study”
報告書(1.1MB)