第1グループ(戦略対話・交流促進担当)
高齢者の求人開拓件数は応援センターの開設以来、この6年間で5679件、2546社にのぼり、とくに全国で初めて県とコンビニエンスストアが提携し、高齢者の就業を推進しています。また、企業に定年の廃止や延長、継続雇用を働きかけ、定年廃止・延長などに踏み切った企業は536社を数えます。
野田氏は、企業向けのセミナーを実施し高齢者を雇用する利点などを訴えていることや、高齢者に地域の子育て現場で活躍してもらうために、最新の保育知識などに関する研修を施し、修了者を「子育てマイスター」に認定していることも説明しました。
一方、福岡市社会福祉協議会の馬男木(まなぎ)幸子・地域福祉課長は、住民主体で取り組まれている地域福祉活動の担い手の多くが「元気な高齢者」であり、「こうした活動に参加することが介護予防につながっている。高齢者は地域の重要な社会資源のひとつです」と指摘しました。
「福岡市アラカンフェスタ・R60倶楽部」の井出修身氏は、「アラカン」とは「アラウンド還暦」の略で、主に60歳前後を対象に、これからの過ごし方について考え、仕事や地域活動などを行うきっかけとなるようなイベント、体験プログラムを開催していることを披露しました。福岡市シルバー人材センターの古賀豊文氏も、高齢者に就業の機会を提供している実態と取り組みを説明し、「高学歴社会なので、清掃の仕事があっても応募者がいない。求人と応募のギャップをどう埋めるかが課題です」と述べました。
野田氏は、企業向けのセミナーを実施し高齢者を雇用する利点などを訴えていることや、高齢者に地域の子育て現場で活躍してもらうために、最新の保育知識などに関する研修を施し、修了者を「子育てマイスター」に認定していることも説明しました。
一方、福岡市社会福祉協議会の馬男木(まなぎ)幸子・地域福祉課長は、住民主体で取り組まれている地域福祉活動の担い手の多くが「元気な高齢者」であり、「こうした活動に参加することが介護予防につながっている。高齢者は地域の重要な社会資源のひとつです」と指摘しました。
「福岡市アラカンフェスタ・R60倶楽部」の井出修身氏は、「アラカン」とは「アラウンド還暦」の略で、主に60歳前後を対象に、これからの過ごし方について考え、仕事や地域活動などを行うきっかけとなるようなイベント、体験プログラムを開催していることを披露しました。福岡市シルバー人材センターの古賀豊文氏も、高齢者に就業の機会を提供している実態と取り組みを説明し、「高学歴社会なので、清掃の仕事があっても応募者がいない。求人と応募のギャップをどう埋めるかが課題です」と述べました。
シンポジウムではアジアの専門・実務家から、各国の実情や課題などについて見解が表明された
これに対し、アジア諸国の専門・実務者からはまず、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の元社会開発部長、テルマ・ケイ氏が、韓国やシンガポール、タイなどでは定年退職年齢が引き上げられており、多くの国で「アクティブ・エイジング・センター」が設けられ、高齢者の雇用機会を増やす取り組みがなされていると概観しました。
「ヘルプ・エイジ・インターナショナル」の東アジア・太平洋支部プログラムアドバイザー、クエン・チャン氏(タイ)は、「日本は高齢化の先頭を走っており、他の国が追いかけている。日本からは多くの学びがある。成功もあれば失敗もある」と指摘しました。そのうえで、日本から学ぶべきこととして「カンボジアやベトナム、フィリピンなどでは高齢者は重荷だと認識されることが多い。日本では高齢者はさまざまな能力をもった集団であり、アジア諸国は高齢者に対する意識を変えることが必要だ」と強調しました。また、ベトナムの年金支給額が月額12ドルであることなどを指摘し、「年金だけに頼るのではなく働くことが重要だ。就労すれば所得を増やすことができ、仕事へシフトしていくことも日本からの学びです」と述べました。
韓国の高齢者生活科学研究所のハン・ドンヒ所長は「韓国は高齢社会に入り、生産人口と若い世代が減り、高齢者が毎年どんどん増えている。また、高齢者の貧困率と借金の割合が増加しています」と、深刻な状況にあることを力説しました。そして、韓国では高齢者と企業の間をとりもち就業機会を増やし、パソコン、インターネットなどIT(情報技術)を使いこなせるようにして、デジタル格差の解消を試みていることを紹介しました。
上海大学東アジア研究センターの馬利中所長は、「中国は経済成長で国民の生活水準が良くなる一方、高齢化が進んでいます。(人口削減政策の)『一人っ子政策』時代の親が高齢者になりつつあり、高齢者を支える人たちが少なくなっている。高齢化対策が重要になっています」と説明しました。中国では今年1月から、日本の経験を参考にした介護保険制度が上海市など15都市で始まったことや、第一線を退いた医師や教授、専門技術者が、医療、教育、都市計画、牧畜などに従事する取り組みなどを紹介しました。そして「高齢化を乗り越える理念や知識などを互いに勉強し、日本の高齢化対策の経験が導入されることを期待しています」と語りました。
「ヘルプ・エイジ・インターナショナル」の東アジア・太平洋支部プログラムアドバイザー、クエン・チャン氏(タイ)は、「日本は高齢化の先頭を走っており、他の国が追いかけている。日本からは多くの学びがある。成功もあれば失敗もある」と指摘しました。そのうえで、日本から学ぶべきこととして「カンボジアやベトナム、フィリピンなどでは高齢者は重荷だと認識されることが多い。日本では高齢者はさまざまな能力をもった集団であり、アジア諸国は高齢者に対する意識を変えることが必要だ」と強調しました。また、ベトナムの年金支給額が月額12ドルであることなどを指摘し、「年金だけに頼るのではなく働くことが重要だ。就労すれば所得を増やすことができ、仕事へシフトしていくことも日本からの学びです」と述べました。
韓国の高齢者生活科学研究所のハン・ドンヒ所長は「韓国は高齢社会に入り、生産人口と若い世代が減り、高齢者が毎年どんどん増えている。また、高齢者の貧困率と借金の割合が増加しています」と、深刻な状況にあることを力説しました。そして、韓国では高齢者と企業の間をとりもち就業機会を増やし、パソコン、インターネットなどIT(情報技術)を使いこなせるようにして、デジタル格差の解消を試みていることを紹介しました。
上海大学東アジア研究センターの馬利中所長は、「中国は経済成長で国民の生活水準が良くなる一方、高齢化が進んでいます。(人口削減政策の)『一人っ子政策』時代の親が高齢者になりつつあり、高齢者を支える人たちが少なくなっている。高齢化対策が重要になっています」と説明しました。中国では今年1月から、日本の経験を参考にした介護保険制度が上海市など15都市で始まったことや、第一線を退いた医師や教授、専門技術者が、医療、教育、都市計画、牧畜などに従事する取り組みなどを紹介しました。そして「高齢化を乗り越える理念や知識などを互いに勉強し、日本の高齢化対策の経験が導入されることを期待しています」と語りました。
「田隈コスモスの会」を訪れ、介護予防のため数独ゲームに加わったタイからの参加者(写真右)
シンポジウムの会場で、地元テレビのインタビューに応じる大野修一・笹川平和財団理事長。高齢化問題に対するメディアの関心も高い
翌31日の専門家会議(非公開)では、世代間交流や生涯学習の重要性などについて議論を深めました。2日間の会議に先立つ29日には、海外からの参加者は、福岡市内で「田隈コスモスの会」「はこざきカフェ」「福岡市アラカンフェスタ・R60倶楽部」のユニークな取り組みと活動を視察しました。
笹川平和財団は今年2月、シンガポールで1回目のアジア・インパクト対話を東南アジア研究所と開催し、今回が2回目です。次回は来年3月にベトナムで開き、アクティブ・エイジングを推進するための方策について議論を深める予定です。
笹川平和財団は今年2月、シンガポールで1回目のアジア・インパクト対話を東南アジア研究所と開催し、今回が2回目です。次回は来年3月にベトナムで開き、アクティブ・エイジングを推進するための方策について議論を深める予定です。
(写真 上津原理恵)