2025年度 「笹川平和財団 次世代日本ラテンアメリカ研究会」応募要項
笹川平和財団(SPF)は、次世代のラテンアメリカ地域研究者の育成と、ラテンアメリカ地域の日系人との連携強化を目的として、「笹川平和財団 次世代日本ラテンアメリカ研究会」を開催します。(書類締め切り:2025年11月10日(月)17時締切(日本時間))
核合意は、残念ながら早晩瓦解するだろうと考えているが、まず、その核合意の意義を3点に集約して述べたい。ここでは、核合意の施行、制裁解除の大半が実際に起こった時期に着目し、「2015-16年イラン核合意」と呼んでいる。
第一に、「イランの核開発プログラム」問題は、イラク戦争直前の2003年に国際問題化した。その後時間はかかり紆余曲折を経たものの、核合意の形で持続的な解決法を見出すことが出来た。第二に、イラン国民・経済への悪影響を排除せず、イランの原油輸出を標的にした過酷な経済・金融制裁に訴える結果になったが、武力は使わず、外交折衝の結果、双方が納得できる合意に至った。中東の問題の解決の事例としては稀有である。是非は別にしても、イラクやアフガニスタンに対する国際社会が武力を用いて対処したのと対照的である。第三に、核合意後、イランはすべての履行要件を遵守したが、これは、双方の外交的・政治的な意思があれば、この問題に対処ができることを示したという点で、歴史的な意義があった。