政治に広がるSNSの影響力 ―東南アジアと日本の有識者が語る各国事例
笹川平和財団の第1グループ(戦略対話・交流促進)は、2025年3月6日、戦略対話・交流プログラムの一環として「東南アジア諸国と日本の政治におけるSNSの普及と民主主義の変化」と題したオンラインイベントを開催しました。本イベントでは、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本における選挙に対するSNSの影響について、5名の専門家による発表をもとに議論が行われました。
「トランプ時代の女性と政治」をテーマにしたパネルディスカッションが17日、笹川平和財団ビル(東京都港区)の国際会議場で開かれました。トランプ政権下での米中間選挙を11月に控え、予備選に立候補した女性の数が大幅に増加した背景や、女性議員を増やし、政治分野でジェンダー平等を推進するための方策と取り組みについて議論されました。
パネルディスカッションには、女性の政治参画と女性リーダーの育成をトレーニングなどを通じ支援する、米国の「マイン・ザ・ギャップ」の共同創設者クリスティン・ハフェート、ジェシカ・グラウンズ両氏、申琪榮(シンキヨン)・お茶の水女子大学准教授、渡辺靖・慶応義塾大学教授が登壇しました。モデレーターは三浦まり・上智大学教授が務めました。
笹川平和財団の茶野順子常務理事
笹川平和財団の茶野順子常務理事は開会の挨拶で「トランプ大統領の就任式(2017年1月20日)の翌日に、全米と世界の国々で、女性を中心としたデモンストレーション『ウイメンズマーチ』が実行され、大変注目を浴びました。これは女性の権利をはじめとする人権の大切さを呼びかけ、トランプ大統領の言動について抗議するものでした」と振り返りました。
そのうえで「トランプ政権が成立して、はや2年目になりました。そして、今年は中間選挙の年です。これまでにないくらいの女性が立候補しています。下院では472名、上院では57名です。これまでに一番女性の立候補が多かった年といわれる2012年の選挙と比べても、下院で174名、上院では21名も多いという結果になっています。州知事選も行われますけれども、78名という記録的に高い数字の女性が立候補しています」と、女性の立候補者が大幅に増加した状況を説明しました。
その理由として、茶野氏は「大多数の立候補者が民主党であるということから、これはトランプ政権に対するフラストレーションだという論調が主流を占めていますが、反トランプというだけではない大きな変化が起ころうとしており、そのうねりに女性たちが積極的に立ち向かおうとしているのかもしれません」と指摘しました。
「マイン・ザ・ギャップ」の共同創設者、クリスティン・ハフェート氏(写真左)とジェシカ・グラウンズ氏
申琪榮・お茶の水女子大学准教授
女性の政治参画を促進するうえでの問題点も論議されました。グラウンズ氏は、2007年に「ランニング・スタート」という非政府組織(NGO)を立ち上げ、これまでに約1万5千人の若い女性をトレーニングしてきました。そうした経験を踏まえ「女性は、出馬する適格性が自分にあると感じない。適格だと考える女性は、男性に比べ3分の1だといわれています。より多くの女性を出馬させたいと思っても、女性自身がそう思っていなければ意味がないのです。政策や法律を変えるには女性が必要で、研修などを通じ、女性にリーダーシップを発揮するよう触発することが大事です」と語りました。
渡辺靖・慶応大学教授
三浦まり・上智大学教授