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第3グループ(社会イノベーション推進担当)

「社会的インパクト投資フォーラム2018」におけるロナルド・コーエン、西村陽一両氏の対談

笹川平和財団


2018.02.27
12分
対談 西村陽一氏(朝日新聞社常務取締役)=写真左=、ロナルド・コーエン氏(GSG会長)

対談 西村陽一氏(朝日新聞社常務取締役)=写真左=、ロナルド・コーエン氏(GSG会長)

西村氏 本題に入る前に、コーエン卿は社会課題や難民問題を含む人道問題に、相当な熱意をもっていることで有名な方ですが、おそらくご自身が体験をされた人生の苦難、苦労が投影されているのではないか、と推察します。現在の社会問題にかける熱意の背景にある、エジプトご出身の自身の人生について、若干お話をいただきたいと思います。

コーエン氏 確かにわれわれここにいる一人ひとりには、ここに集まっている個人的な理由があり、義務を感じているのだと思います。自分が得たものを還元したい、もっとお金を儲ける以上の意義があることをしたいと思っているのです。私の場合、エジプトで1956年にスエズ危機があり、英国人、フランス人、ユダヤ系の人々は、やむを得ずエジプトから出国せざるをえない状況になりました。私と家族はすべてを失い、難民として英国に行きました。一人につきスーツケース1個、10エジプトポンドだけ。私は切手のコレクションを、誰にもあげたくないと、腕に抱えていました。そういう経験があったので、インパクト投資にこれだけ情熱があるのだと思います。

 もうひとつ、われわれの世代とミレニアル世代との間には、つながりがあると思います。1960年代に私はオックスフォードの学生でした。理想主義的な時代だったと思います。私の世代は、ミレニアル世代の教師になった世代です。ですから感覚として、ミレニアル世代に伝えたいという使命感というものがあるのではないでしょうか。

 2008年の世界金融危機があり、それに先立つ10年間で経済格差がより広がりました。世界的に人々が苦しんでいることを見て、世界がつながっているのだという認識を持ったのです。だからこそ、世界的な大きな動きになっているのだと思います。

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西村氏 スエズ危機からリーマンショック、そして今日に至る世界史を体現されたご自身の人生に沿ったお話しでした。

社会問題に対応するためには、国と地方の予算の拠出ではとても足りない。コーエン卿は基調講演で、リスク、リターン、インパクトという言葉を使い、これまでの資本主義にはない三位一体の考え方を示されました。この社会的インパクト投資の手法がなぜ、社会課題の解決に有効なのでしょうか。

コーエン氏 これまで数年間で得た教訓というのは、慈善的なモデルというものは完全に破綻しているということです。これは何世紀にもわたって破綻しています。例えば、慈善団体に対してお金を出すとします。2、3年ぐらい寄付をし、それをやめて「ごめんなさい。他にも寄付を出さなければいけないところがあるので」となれば、どうなるでしょうか。

 慈善団体のようなソーシャルセクターを見ると、2つの特徴が浮かび上がります。小規模であり、お金がないということです。システムは破綻しているのです。ソーシャル・サービス・プロバイダーのサービスを評価すると、慈善団体は結果を出すところについていくのです。政府の予算もそうです。私の予測では、これから10年、20年後になりますと、政府の予算の20%は結果と成果をベースに支払われるようになるだろうとみています。

 まさに目標を達成しようとするのです。しかも、それに対するお金というのは、ちゃんと目標が達成されたときではないと出ない。成功しなければお金は出ないということです。

 ソーシャル・インパクト・ボンド(民間資金で社会的事業を実施し、成果が出れば行政が投資家に資金を償還する官民連携の投資スキーム)の力は何かといいますと、社会、環境課題を投資機会に変貌させるというところにあるのです。

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西村氏 環境、ジェンダー、貧困など17項目の解決を目指すというのが、SDGs、国連が定めた持続可能な開発目標です。この達成期限は2030年です。一方で、コーエン卿は社会的インパクト投資の転換点を2020年としています。国連の開発目標とインパクト投資との関係はどうなっているのか。そして、2020年がなぜ、どのように転換点になるのか、ビジョンをお示しいただけますでしょうか。

コーエン氏 2020年ごろになれば、われわれは分岐点にくる、市場が急成長すると思います。すでに分岐点に近づいているという証左もいろいろとあります。アウトカム・ペイメント・ファンドを日本やインド、アフリカで創り、相当なお金を呼び込むことができるようになれば、なおさら分岐点に近づくことができるでしょう。

 日本の年金基金が、資金の5~10%を社会的インパクト投資に割り振り、(環境、社会、ガバナンスを重視し投資する)ESGを含むようなものを創るようになれば、それもまた分岐点への後押しとなります。

 米国のフォード財団はすでに、10億ドルを配分しています。50の財団がそれをやったなら、他も追随するでしょう。例えば、貧困家族に手を貸すことによってもっと儲ければ、もっと多くの家族を助けることができるようになるのです。

 国連の開発目標を達成するためには30兆ドルが不足しています。1年あたり2.5兆ドルの不足です。ですから大手の企業も巻き込まなければなりません。大手の企業にもっと参入してもらわなければなりません。社会、環境的な問題の改善へ向けて、自分たちに何ができるのか、考えてほしいのです。2030年までには、法律なども企業を後押しするようになると思います。お金儲けの話しかしないのでは許されないような時代になると思います。

西村氏 休眠預金の活用は英国が先行しており、日本では来年秋から運用が始まります。世界の先行事例としては英国と韓国がありますが、韓国ではあまりうまくいっていないと聞いています。なぜ英国ではうまくいっているのか、成功のカギは何なのでしょうか。日本へのアドバイスを含めておうかがいします。

コーエン氏 英国には休眠預金活用基金であるビッグ・ソサエティ・キャピタルというのがあり、私も共同創設者のひとりです。6億ポンドを出資という形でいただき、そのうちの4億ポンドは休眠預金からきています。もしわれわれが投資をすれば他の人たちも一緒にやってくれるでしょう。2、3倍の投資にすることができます。休眠預金を使うことは、日本にとって非常に大きなチャンスになると思います。

 もし日本がアウトカム・ペイメント・ファンドをつくり、投資を呼び込むことができれば、他の投資家も必ず追随するでしょう。年基金や財団基金からも投資がきて、相乗効果が望めます。ファンドにどんどんお金が入ってくれば、若年失業者や高齢者が抱える問題など、取り組む案件を増やしていくこともできます。エコシステムがつくられることが大事なのです。

 カギはインパクト投資マネージャーをつくることです。英国の例をみますと、40程度の組織があり、そこがインパク投資のマネジメントをやっています。

西村氏 ミレニアル世代の起業家と既存の金融機関をどう結び付けるのでしょうか。

コーエン氏 ミレニアル起業家の若い人たちに毎日会っています。彼らは「こういうようにすればこういう人たちが助かります」という話をもってきます。例えば、貧困家庭への支援などで、毎日いろいろな人がいろいろなことを創造しています。お金を儲けるのですけれども、同時に社会を改善するために、良いことをしようということです。問題は、あまりにも利用可能なお金が少ないということなのです。

西村氏 今回はご自身の体験も踏まえて、本格的にお話しを頂きました。今後とも、情熱を持って、日本の起業家、金融機関、政府あるいはメディアに対して、語り続けて頂きたいと思います。ありがとうございました。

<略歴>
ロナルド・コーエン氏 グローバル社会的インパクト投資運営グループ(GSG)会長
1945年、エジプト生まれ。英オックスフォード大学、米ハーバード大学ビジネススクール卒。英国の休眠預金活用基金であるビッグ・ソサエティ・キャピタルの創設者。2013年の主要国首脳会議(サミット)で、英国のキャメロン首相(当時)の呼びかけにより、社会的インパクト投資を推進するために創設されたタスクフォースに端を発する、「グローバル社会的インパクト投資運営グループ」(GSG)の会長。「社会的インパクト投資の父」と言われる。妻と2人の子供とロンドンに在住。
 
西村陽一氏 株式会社朝日新聞社 常務取締役 コンテンツ統括/編集担当
      ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社 代表取締役
1981年東京大学教養学部を卒業、朝日新聞社入社。政治部員、モスクワ支局員、アメリカ総局長、政治部長、ゼネラルエディター兼編成局長、北京・清華大学高級訪問学者などを歴任。2013年6月に取締役(デジタル・国際担当)。14年9月より取締役編集担当。17年7月より現職。
※本内容は[社会的インパクト投資フォーラム2018](2018年2月19日・20日開催)でのコーエン氏と西村氏の対談を掲載したものです。

第3グループ(社会イノベーション推進担当) ヨーロッパ・ユーラシア
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