日本国内で、ESG経営に向けた動きが加速しています。背景には、持続可能な開発目標(SDGs)を中核とする「持続可能な環境・経済・社会への転換」に向けた国際潮流、機関投資家による「国連責任投資原則」へのコミットメントとESG投資の拡大、「ビジネスと人権に関する行動原則」の実施に向けた機運の高まりがあります。
気候変動への対応及び環境資本の持続可能性の担保といった「E」(環境)においては、情報開示を含め、政府と民間企業による取り組みが進展しています。今後は、人的資本の持続可能性という観点から、「ダイバーシティ」「人権」「健康・安全」に注目する「S」(ソーシャル/社会)についても、具体的かつ変革的な取り組みや情報開示が求められるでしょう。欧米では男女間賃金格差の情報開示の義務化が進んでいますが、日本でも、岸田総理が今年1月の施政方針演説で「男女間賃金格差の解消に向けて、企業の情報開示ルールの見直しを行う」と述べています。本セミナーでは、「S」の重要要素である「ジェンダー平等」に注目し、情報開示の国際動向と今後の展望を議論します。
現在、企業がジェンダー平等を推進するための行動指針として最も普遍的な枠組みは「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」(2010年に国連グローバルコンパクトとUN Womenが共同策定)です。近年、WEPs署名企業が世界的に急増していること、ESG経営/投資が拡大していることを受け、「WEPsの取組みの進捗状況を測定するための指標」「企業による積極的な開示が求められる指標」を取りまとめた「WEPs 透明性とアカウンタビリティフレームワーク(TAF)」が昨年策定されました。
TAFのリンクはこちら:
https://www.spf.org/gender/publications/tafj.html
WEPsのリンクはこちら:
https://japan.unwomen.org/ja/what-we-do/economic-empowerment/weps
今般、笹川平和財団、特定非営利活動法人Gender Action Platform、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が協力し、日本語版を制作しました。本セミナーでは、TAFの概要を報告し、投資家、企業、市民社会(NGO)の視点から、日本ではTAFをどのように活用できるかを議論します。また、特別講演として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のESG投資の方針と情報開示に対する基本的な考え方をお話しいただきます。
みなさまのご参加をお待ちしております。