現在、日本は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にあることから、日本の平和と安全を確保するため、防衛力の抜本的強化が求められています。特に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を強化するための人的基盤の強化は、喫緊の課題として位置付けられ、政府を挙げて急ピッチで対策が検討されています。
笹川平和財団 日米・安全保障研究ユニット 総括・交流グループは、「
安全保障戦略のあり方研究」(2024-25年度)において、2024年4月、安全保障に係る政策立案・実務における有識者をメンバーとして「安全保障戦略のあり方(人的基盤の強化)研究会」(座長:黒江哲郎 元防衛事務次官)を立ち上げ、防衛力の人的基盤強化に向けて、第三者の視点を活かした既存の枠組みにとらわれない大胆な発想で検討を行って参りました。2025年5月には政策提言の第1弾として、
政策提言「防衛力における人的基盤の強化にむけて」を公表しました。
「
安全保障戦略のあり方研究」(2025年度)および「
安全保障戦略のあり方研究Ⅱ」(2026年度)においては、前回提言の問題意識を引き継ぎつつ、縮小する人的資源をもって増大する安全保障上の課題に対応するためには、関係機関が相互に協力し連携しあうことが死活的に重要であるとの認識の下、そのために必要な国家の体制、政府と民間との協力の在り方など、より広範な課題についても議論を進めました。
なお、2024年度のドイツ・英国・シンガポール・豪州に引き続いて、
2025年度はエストニア・フィンランド・韓国にて海外調査を実施し、検討に反映させました。
この度、政策提言の第2弾として、政策提言「新たな時代における国家安全保障モデル~防衛力の人的基盤強化の視点から~」を公表します。本提言が、日本のさらなる防衛力の人的基盤強化に向けた一助となれば幸いです。
<提言タイトル一覧>
はじめに
第1項目:国家の危機管理体制の向上
提言1:「事態対処専門委員会」を活用した武力攻撃事態等に関する政府内の認識共有と国全体の事態対処計画の策定
(1)「事態対処専門委員会」を活用した武力攻撃事態等に関する政府内の認識共有
(2)国全体の事態対処計画の策定
提言2:国としての危機管理をリードする人材を育成するための教育課程設置
提言3:国民の「安全保障リテラシー」の向上
第2項目:各種事態に対応するための自衛隊と民間力の連携・一体化
提言4:新たな戦い方に対応するための自衛隊と民間力の連携・一体化
(1) 対象地域の再整理
(2) 対象業務の拡大
(3) 民間協力従事者の安全確保、補償の導入およびインセンティブの付与
(4) 役割分担と平素からの訓練
提言5:「有事における持続性・強靭性確保のための防衛装備品国内製造強化方針」の策定
提言6:自衛隊施設や公共施設のさらなる強靭化および自衛隊員の居住環境の魅力化
(1)自衛隊施設および公共施設の強靭化
(2)防衛産業施設および米軍基地の強靭化
(3)自衛隊員およびその家族の居住環境の魅力化
第3項目:防衛省・自衛隊の人的基盤の強化
提言7:大学・短期大学卒等を対象とする2士募集(任期制、非任期制)のコースの新設と大学生・短期大学生等に対する奨学金制度(給付型、義務年限あり)の導入
(1)大学・短期大学卒等を対象とした2士募集(任期制、非任期制)コースの新設
(2)大学生・短期大学生等に対する奨学金制度(給付型、義務年限あり)の導入
提言8:自衛官の職務の特殊性に応じる名誉・給与体系の新設と家族支援の充実
(1)現役自衛官および退職自衛官に対する名誉の付与
(2)自衛官給与体系および「国家補償年金制度(仮称)」の新設
(3)自衛官、退職自衛官等の医療費や厚生面での取り扱いの改善
(4)家族支援の充実
提言9:外国人の登用
提言10:国家のレジリエンス向上のための「安全保障リザーブ制度」の設立
(1) 新たな「安全保障リザーブ制度」の構成
(2) 要員の確保
(3) その他
提言11:セキュリティ・クリアランス制度の実効性の向上
(1)国としてのセキュリティ・クリアランス制度の一本化
(2)適性評価のための専門的調査機関の設置
(3)セキュリティ・クリアランス制度の実効性を担保するための国の支援
(4)実戦に即したセキュリティ・クリアランス制度の運用
おわりに
<提言者一覧>
黒江 哲郎 元防衛事務次官 【座長】
山崎 幸二 元統合幕僚長 / 元陸将
村川 豊 元海上幕僚長 / 元海将
宮川 正 元情報本部長 / 元空将
柴田 弘 元防衛装備庁装備官 / 元海将
桜林 美佐 ライター / 防衛問題研究家
河上 康博 笹川平和財団 日米・安全保障研究ユニット 総括・交流グループ長 / 元海将補
<事務局>
河上 康博 笹川平和財団 総括・交流グループ長 兼 主任研究員 【事務局長兼務】
柴山 真里枝 笹川平和財団 総括・交流グループ 研究員
洞口 雅恵 笹川平和財団 総括・交流グループ 主任
※提言書本文は
こちらをご覧ください。
※後日、英語版を公開予定です。
<2025年度 第1次提言はこちら>
・
政策提言「防衛力における人的基盤の強化にむけて」
・公開フォーラム
「SPF 安全保障戦略フォーラム 防衛力における人的基盤の強化に係る政策提言」(2025年5月14日開催)