サイバーセキュリティの領域は、インターネット空間の安全確保にとどまらず、インターネット情報に影響を受ける民主主義プロセスの安全確保や社会の信頼・統合・安定の安全保障までを含むようになっており、それらが世界的な課題となっています。2016年の米国大統領選挙を端緒に、欧米やアジア各国・地域の選挙等において、ディスインフォメーションを用いた情報操作によって外国勢力が民主主義プロセスに干渉し、広範な影響工作を行う事案が頻発しています。このような国家の意思決定プロセスに対するサイバー攻撃は、民主主義社会を危機に陥らせかねない重大な脅威であり、国家安全保障上の課題として対処することが急務です。
このような民主主義プロセスに対するディスインフォメーションの脅威は、日本にとって決して遠い国の話ではなく、社会の安心・安全の課題として対応策を検討する必要があります。諸外国では、立法による規制やSNSプラットフォーマーによる自主規制、ファクトチェックなど様々な対策が模索されています。
このようなディスインフォメーションに関する情勢を背景に、笹川平和財団の「我が国のサイバー安全保障の確保」事業においては、国内の有識者の方々にご参集いただき、2019年から3年に亘り「サイバーフェイクニュース研究会」を開催してまいりました。
今般、「サイバーフェイクニュース研究会」における有識者の方々の議論を踏まえ、我が国のディスインフォメーション対策に関する法制度や体制の整備のあり方として、「外国からのディスインフォメーションに備えを!~サイバー空間の情報操作の脅威~」という本政策提言を、笹川平和財団安全保障研究グループとして取りまとめました。
政策提言本文:
https://www.spf.org/global-data/user172/cyber_security_2021_web1.pdf
要旨集:
https://www.spf.org/global-data/user172/cyber_security_2021_abstract_web.pdf