安全保障研究グループ
「余剰プルトニウム」をIAEA管理下に
在庫量の削減目指し再処理抑制を
日本政府に5つの提言
2019.06.05
5分
笹川平和財団(東京都港区、会長・田中伸男)は6月4日、笹川平和財団ビルで記者会見を開き、「プルトニウム国際管理に関する日本政府への提言~プルトニウム在庫量の削減を目指し、新たな国際規範を~」を発表し、その内容と趣旨について説明しました。
記者会見に臨んだ田中伸男会長(左)と、研究会座長で長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎・副センター長
今回の提言は、日本のプルトニウム計画への信頼性向上と、グローバルなプルトニウム問題の解決へ、日本がとるべき政策をまとめたもので、5つの提言を打ち出しています。
その要旨は①プルトニウム国際貯蔵の追求:「余剰」なプルトニウムを国際原子力機関(IAEA)の管理下におく②現在の国際規範である国際プルトニウム管理指針の強化:日本の原子力委員会の決定に基づき既存在庫量の削減を新たな国際規範として提言し、再処理を抑制する③既存の在庫量削減に向けての国際協力:処分のための国際フォーラムを設置する④使用済み燃料管理として「乾式貯蔵」を最優先にすすめ、核燃料サイクルの選択肢評価を第三者機関が実施する⑤ プルトニウムの新たな国際規範を世界に普及すべく主導的役割を果たす―です(提言書:https://www.spf.org/global-data/20190604_plutonium_v2.pdf)。
そして日本政府に対し、提言が示したプルトニウムの新たな国際規範を世界に普及すべく、主導的な役割を果たすよう要請しています。
笹川平和財団は、長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎・副センター長(教授)を座長とする「新たな原子力・核不拡散に関するイニシアチブ研究会」を立ち上げ、議論を重ねており、そのひとつの集約として今回の提言をまとめたものです。
記者会見で、研究会のメンバーでもある田中会長は「今の核不拡散体制は不平等だと言われるが、日本のような平和利用国というのは、イランや北朝鮮にとってもいいモデルになるのではないか、これまでの平和利用政策をさらに追求できないか、と考えこの研究会をつくった。最初のステップとして、『日本がもっているプルトニウムは本当に平和利用だけのためなのか』と、世界の国から疑いをかけられることもあり、日本は国際的な管理をしていくべきではないかということで、第一弾の提言を発表した」と説明しました。
鈴木座長は「提言の問題意識は、国際安全保障の観点からプルトニウム在庫量の問題をみるということです。核兵器転用可能な核物質は、核弾頭に換算すると10万発以上あり、これが増えている。とくに非核保有国では最大の保有国である日本の責任は重いという問題意識で、この提言をまとめた」と指摘しました。
研究会は今後、「濃縮・再処理への国際的対応」や「北朝鮮の非核化における日本の協力の可能性」「北東アジアにおける核燃料サイクルの多国間管理の在り方」「核拡散防止条約(NPT)体制下における核軍縮の在り方」などについて検討を続け、さらなる提言を打ち出していく方針です。
鈴木座長は「提言の問題意識は、国際安全保障の観点からプルトニウム在庫量の問題をみるということです。核兵器転用可能な核物質は、核弾頭に換算すると10万発以上あり、これが増えている。とくに非核保有国では最大の保有国である日本の責任は重いという問題意識で、この提言をまとめた」と指摘しました。
研究会は今後、「濃縮・再処理への国際的対応」や「北朝鮮の非核化における日本の協力の可能性」「北東アジアにおける核燃料サイクルの多国間管理の在り方」「核拡散防止条約(NPT)体制下における核軍縮の在り方」などについて検討を続け、さらなる提言を打ち出していく方針です。