自衛隊の金沢、小松、舞鶴基地を視察
ベトナム人民軍訪日団
日越佐官級交流
ベトナム人民軍の佐官級訪日団が6月24日から1週間、日本に滞在し、防衛省や陸上自衛隊金沢駐屯地(石川県金沢市)などを視察して、日本との防衛・文化交流を深めました。
訪問団一行は、ホー・タイン・トゥ陸将(人民軍総参謀部政治局長)を団長に、上級大佐10人、大佐、中佐、少佐各1人の計14人。自衛隊とベトナム人民軍は、笹川平和財団の佐官級交流事業により相互訪問を重ねており、今回が8回目です。
一行は25日、防衛省で小野寺五典防衛相、本松敬史統合幕僚副長(陸将)をそれぞれ表敬訪問しました。小野寺防衛相は「今回の視察を通じ、自衛隊とベトナム人民軍の交流が進むことを期待している」と述べました。また、本松統幕副長は「アジア太平洋地域には課題が山積しており、ベトナムと協力していく意義がますます高まっている」との認識を示しました。

ホー・タイン・トゥ団長(写真左)らの表敬を受けた小野寺五典防衛相からは、ダルマが贈られた
これに対し、ホー・タイン・トゥ団長は「日越両国が外交関係を樹立してから、今年で45周年です。この間に関係は発展し多くの分野で交流が広がり、両国は戦略的パートナーとなっている。交流がさらに発展することを期待しています」と応じました。
この日は一行の歓迎レセプションも開かれ、あいさつした笹川平和財団の笹川陽平名誉会長は、日越佐官級交流について「形式的な交流ではなく、また安全保障分野のみならず日本の社会や歴史、文化も訪日団の方々には見ていただいており、相互理解のために有効に機能しています」と、意義を強調しました。

笹川平和財団ビルで開かれた歓迎レセプションで、訪日団一行を前にあいさつする笹川陽平名誉会長 (写真左から2人目)
これを受け、ホー・タイン・トゥ団長も「佐官級交流は有意義で、両国の幹部が意見交換もでき、相互に役立つ事業です。ぜひ今後も継続していただきたい」と高く評価しました。
一行は26日、陸上自衛隊金沢駐屯地で、装備と訓練を視察しました。金沢駐屯地の基幹部隊である第14普通科連隊は、石川、富山、福井の3県の防衛と警備、災害対処を担っています。この地域は積雪量が多く、また原子力発電所もあるため、雪害と原子力災害を想定した装備や訓練も欠かせません。

陸上自衛隊金沢駐屯地で、装備を視察する訪日団一行
訪日団一行は雪上車や化学防護車、除染装置などを見て回り、自衛隊員の説明に熱心に耳を傾けていました。河川が氾濫し住民が孤立した事態を想定し、ロープで救出する訓練も披露されました。
27日には航空自衛隊小松基地(石川県小松市)を視察しました。1961年に開設された小松基地には、日本海側では唯一の戦闘機部隊が配備されており、国籍不明機などの警戒に当たり、領空侵犯に対処しています。訪日団一行は、F15戦闘機の説明を受け、コックピットに試乗しました。小松基地には救難隊もあり、救難捜索機U-125Aなども見学しました。

航空自衛隊小松基地で、F15戦闘機のコックピットに乗り込んだホー・タイン・トゥ団長
また、29日には海上自衛隊舞鶴基地(京都府舞鶴市)を訪れ、ミサイル艇「はやぶさ」に乗艦し舞鶴港内を航行したほか、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」にも乗艦し、航空機用昇降機で甲板に移動して艦長から説明を受けました。

海上自衛隊舞鶴基地で、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」に乗艦し航空機用昇降機に乗る訪日団一行
基地訪問の合間に一行は、東京都内の国会議事堂や浅草、金沢市の兼六園をはじめ名所にも足を運び、日本の文化や歴史などにも触れました。
笹川平和財団の日越佐官級交流事業は2014年に始まり、自衛隊とベトナム人民軍が、毎年1回ずつ相互に訪問しています。将来を期待される幹部に焦点を当て、交流により相互理解と信頼醸成を促進し、アジア地域の平和と安定につなげることを目的としています。相互訪問は今回を含めこれまでに、自衛隊の訪越が3回、ベトナム人民軍の訪日が5回を数え、参加者は計114人にのぼっています。