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SPF NOW

イランと国際社会の関係構築支援事業
国際シンポジウム パネリストインタビュー

笹川平和財団


2017.06.01
14分
パネリストの皆さん

笹川中東イスラム基金は、2017年3月にイランの首都テヘランで、「日本-イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」をテーマに、国際シンポジウムを開きました。複雑な世界情勢の中で、日本とイランの関係をさらに緊密にしていくにはどうしたらよいか。将来に向けた関係作りに役立てるため、1500年と言われる長い友好の歴史を可能にしたものに目を向けて、文化、芸術などの分野にも光をあてた新しい試みのシンポジウムとなりました。当日は、イランと日本との外交関係、資源問題、文化・観光交流などに関し、多角的な議論が行われました。日本からは、専門ジャンルの異なる4名をパネリストにお迎えし、イランと日本の交流について積極的な意見交換が行われました。シンポジウム終了後、パネリストの皆さんにお話しをうかがいました。

(アルファベット順)

 
阿部 克彦氏 (神奈川大学准教授)
堂道 秀明氏 (元在イラン特命全権大使)
加藤 幸兵衛氏 (陶芸家)
宮 晶子氏 (水ing株式会社執行役員)
 

歴史を遡るイランとの文化交流
地道な積み重ねが大切

阿部 克彦氏(神奈川大学 准教授)
阿部 克彦氏
<略歴> パリ第4・ソルボンヌ大学イスラム文明研究専門研究課程免状(DEA)取得。モントリオール大学院高等教育研究科修士号取得。専門分野は、サファヴィー朝期美術史で、主に陶芸や絹織物の装飾美術を研究。主な著書・論文に、「江戸期における外国文化の需要:日本におけるイランの絹織物」(共著、2017年)、"Chinese Influence on Persian Ceramics of the Safavid Period"(2009年、韓国語訳、邦文題「サファヴィー朝期のペルシア陶器に見られる中国の影響」)などがある。

<イランの美術史研究との出逢い>
日本の奈良時代、唐の長安の都では、ペルシャ文化が大流行していました。ものを作る器用さや技術の高さを誇る優れた文化を、日本から行った遣唐使たちが持ち帰ったのですが、それらが正倉院に残っています。鎖国をしていたと言われる江戸時代でも、長崎奉行にはモール通使というペルシャ語の通訳がいて、平戸や長崎を通じて、世界に目を向けていました。

専門はイランのサファヴィー朝(16~18世紀)の美術史です。大学で美術史を勉強していた時に、サファヴィー朝時代の美術に出逢い、イランの美術に惹かれました。その後バックパッカーで初めてイランを訪れて以来、行く度に親日的なイランの人々にとても良い印象を持ちました。
阿部 克彦氏
3世紀からイラン高原を支配したササン朝ペルシャが7世紀半ばにイスラム勢力の侵攻を受け滅亡したのち、イランは長い間、モンゴルやトルコ系の民族の支配下におかれていました。850年ぶりにイランの統一王朝として登場したのが、サファヴィー朝で、シーア派を国教とし、現在のイラン国家につながる基礎を築きました。洗練された文化が発達したことで、織物や陶器、金属細工などの芸術が最盛期を迎えました。

<シンポジウムの手ごたえ>
通信や交通の手段が不便な時代に、イラン(ペルシャ)で生み出された絹織物がはるばる海を越え、人の手から人の手に渡って日本に届けられ、日本人がその価値を認識し、愛好しました。そうした、ものを通じた文化交流の確かな証について、シンポジウムの聴衆の皆様にわかっていただけたらと思ってお話しをしました。

現在のように、政治外交関係がスムーズでない時でも、必ず人の行き来があり交流が続くということが歴史から見えてきます。無理やり続けようと思わなくても、自然と惹かれ合うように、民間の文化交流は誰かがやっているものです。少しずつでも、日々の地道な交流の積み重ねを継続していくことが大切です。

日本とイラン、互いの認識の相違
文化交流が絆に

堂道 秀明氏(元在イラン特命全権大使)
堂道 秀明氏

<略歴>
1973年、東京大学法学部卒業後、外務省入省。中近東アフリカ局アフリカ第二課長、欧亜局東欧課長、在エジプト大使館公使等を経て、2003年に中東アフリカ局長に就任。その後、駐イラン特命全権大使(2004~2007年)、駐インド・ブータン特命全権大使(2007~2011年)、経済外交担当特命全権大使を歴任。2012年から16年まで国際協力機構の副理事長および顧問を務めた。

<日本とイラン>
イランと日本の関係の重要性は広く理解されていると思います。しかし、対イラン制裁などにより、国民の相手国にたいするイメージが影響を受けやすく、時として事実と異なることも多いと思います。穏健派のロウハ二大統領になり両国にとって新しいウィンドゥが開かれました。皆で喜んでいたところに米国でトランプ新政権が誕生し、イランに対して厳しい姿勢を打ち出そうとしているように見えます。そこで今回のセミナーでは、こうした状況の中でもこれまでの合意を守ってほしい、イランから破棄するようなことはしないで欲しいとうったえました。

堂道 秀明氏
<文化交流の可能性>
私が大使をしていた時に、日本語のスピーチコンテストに出場した女子学生と、今回久しぶりに会いました。現在、日本企業で働いているそうです。彼女が、日本とイランが互いに文化の面で、もっと積極的に交流できたら嬉しいと言っていました。まだまだ圧倒的に少ないそうです。これだけ長い歴史と素晴らしい文化が両国にあるのですから、緊密な文化交流の可能性はおおいにあります。

<シンポジウムの手ごたえ>
シンポジウムで、イランの伝統的な陶器であるラスター彩の技法を復元し継承している加藤先生のお話がありました。ラスター彩について知っている日本人は少ないと思いますし、そういう日本人がいることを今回イラン人も気付いたわけです。長年の時間をかけて素晴らしい貢献している日本人がいるというのは、大変インパクトがありました。 イランは天然資源も豊富ですし、優秀な人材も多く、可能性の大きな国です。現在は中国、韓国、ドイツなどが積極的に入ってきていますが、日本の商社も長年にわたり拠点をキープし続けています。今回のようなシンポジウムを継続して行って、お互いに尊敬し合える強固な関係を作っていけたら非常に良いと思います。

イランの伝統文化 日本で復活
ラスター彩を通じての交流にスポット

加藤 幸兵衛氏(陶芸家)
加藤 幸兵衛氏
<略歴> 500年前に技法が消滅されたと言われるペルシャ陶器ラスター彩を復元した人間国宝・加藤卓男の長男。1968年京都市立美術大学(当時)を卒業。1995年7代加藤幸兵衛を襲名。父卓男の逝去に伴い、ペルシャ陶技の継承を決意。2013年、イラン国立博物館にて「大ラスター彩展」を開催。陶芸を通じて日本とイランとの文化交流の促進に貢献した功績により、2014年、外務大臣表彰を受賞。2017年1月には、在東京イランイスラム共和国大使館にて「ラスター彩展」を開催。

<シンポジウムの手ごたえ>
シンポジウムは、ハイレベルな文化、ツーリズム、政治のお話があり、SPFが大変重層的な交流をしていることに感銘を受けました。 講演では、ペルシャの華と呼ばれたラスター彩の素晴らしさを、ぜひイランの方々ご自身が再認識していただきたいと祈りつつ、ラスター彩を通じての交流についてお話ししました。ラスター彩は、8〜13世紀のイランで盛んに作られましたが、モンゴルの侵攻を受け、その技術は17世紀に完全に途絶えました。父(加藤卓男)がフルブライト奨学生でフィンランドに留学中、休暇でイランを訪れた際にラスター彩に出逢い、この素晴らしい陶器を誰も製作していないことが父の情熱をかきたてました。父は復元に取り組みましたが、非常に難しい技法のため完全に復元するのに15年かかりました。
加藤 幸兵衛氏
ラスター彩の制作は難しく、陶器としての成否には、絵具の中の金属成分の比率、焼成の温度、薪の水分量、季節など、様々な要因が微妙に作用します。でも、難しいからこそやって行こうと思いました。

<ラスターを通じての展望>
私自身は、アーティストとして、ラスター彩という技術を通して、時代性と自分の個性を合わせて表現しステップアップすることが大事な問題です。一方で、イランの陶芸家と交流し技術の改良を促すというのが自分の役割だと思っています。

文化遺産・伝統工芸・観光省で、織物、絵画、陶器などすべての工芸を総合的にサポートしているところを見学し、非常に感銘を受けました。それぞれの工芸の専門家がほかのジャンルの人とも交流できる大変有意義な場ですね。日本には残念ながらこういう場所はありません。イラン政府が工芸というものを大切に捉え、政府としてサポートしておられるということは、素晴らしいと思います。

持続可能な水資源の利用について発表
熱心なイランの聴衆との交流に成果

宮 晶子氏(水ing株式会社 執行役員 技術開発統括)
宮 晶子氏

<略歴>
1954年東京生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業後、荏原インフィルコ株式会社(現水ing株式会社)入社、中央研究所にて下水処理や有機性廃棄物の生物処理の研究開発に携わる。その後、食品廃棄物のような有機性固体廃棄物からエネルギー回収するメタン発酵技術の開発を主導。現在は水ing株式会社の唯一の女性執行役員として、技術開発を担当している。

<シンポジウムの手ごたえ>
私のプレゼンテーションでは、文明の発展に伴って水の使用量が増し、自然界の自己浄化のキャパシティを超え、このまま行くと資源としての水が枯渇するということをうったえました。水は、地表から蒸発した水分が降水となって再び地表や地下を流れて供給される、循環するリニューアブルな資源ですが、今の使い方を続けると足りなくなるということを皆様と共有したいと思いました。聴衆の皆様の顔を見ながら話しましたが、一生懸命聞いて下さっている印象でした。その後のコーヒーブレイクの時にもいろいろと質問していただきました。

宮 晶子氏
私ども、水ing株式会社は、浄水場や下水処理場の建設およびオペレーション、維持管理、また、飲料製造工場の用排水処理など、総合的な水事業を行う会社です。30年以上前に、中規模の9つのプラントをイランに納めていましたが、その後、いろいろと政情の変化などがあり、直近では一緒に仕事をさせていただくことはなくなっています。イランと日本との安定的な外交および経済関係が確立されない限り、企業として単独で出ていくというのはかなり難しいと考えています。

<女性の社会参加とイラン>
弊社は女性の割合が少なく、総合職の女性社員を増やしていきたいと考えていますが、そもそも日本は理学、工学系の女性が少ないので思うようには進んでいません。イランでは、工学系が女性にとっての人気学部だそうですが非常にうらやましいです。役員の中では女性は私1人ですが、研究部門にいたので、男女差別は感じずに、自分の仕事で成果を出せばよかったのでラッキーでした。振り返って考えると、何かやってみないかとか言われた時に、えーっと思っても断らずに何でもやってきたと思います。今回のイランも、せっかくのチャンスを逃しちゃもったいないと積極的に参加いたしました。 イランは親日的な国だというのは聞いていました。積極的に話しかけてくるし、女性も大変活発で頑張っていると感じました。

国際シンポジウム

イランとの文化交流は、国際情勢や政治状況が変化しても、長い交流史の中で途切れずに続き、外交関係を補完する役割も果たしてきました。 日本とイラン両国の協力関係の基盤を強固なものにするため、長期的な展望のもとに続けられる文化面からのアシスタンスにも光をあて、重層的な交流を継続してゆきたいものです。

<了>


「笹川中東イスラム基金」はこちらをご覧ください。

第1グループ(戦略対話・交流促進担当) 中東地域
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