2025年以降の世界の紛争、国際危機グループ 理事長コンフォート・エロ氏
世界が直面しているグローバルな危機とは何か、そして日本にどのような影響を及ぼすのか。国際危機グループ理事長のコンフォート・エロ氏と笹川平和財団の西田一平太上席研究員がこのテーマについて掘り下げ、ヨーロッパと中東で進行中の紛争、米中対立の激化、そしてトランプ2.0、グローバル・サウスへの影響などについて語り合いました。
笹川中東イスラム基金は、2017年3月にイランの首都テヘランで、「日本-イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」をテーマに、国際シンポジウムを開きました。複雑な世界情勢の中で、日本とイランの関係をさらに緊密にしていくにはどうしたらよいか。将来に向けた関係作りに役立てるため、1500年と言われる長い友好の歴史を可能にしたものに目を向けて、文化、芸術などの分野にも光をあてた新しい試みのシンポジウムとなりました。当日は、イランと日本との外交関係、資源問題、文化・観光交流などに関し、多角的な議論が行われました。日本からは、専門ジャンルの異なる4名をパネリストにお迎えし、イランと日本の交流について積極的な意見交換が行われました。シンポジウム終了後、パネリストの皆さんにお話しをうかがいました。
(アルファベット順)
<略歴>
1973年、東京大学法学部卒業後、外務省入省。中近東アフリカ局アフリカ第二課長、欧亜局東欧課長、在エジプト大使館公使等を経て、2003年に中東アフリカ局長に就任。その後、駐イラン特命全権大使(2004~2007年)、駐インド・ブータン特命全権大使(2007~2011年)、経済外交担当特命全権大使を歴任。2012年から16年まで国際協力機構の副理事長および顧問を務めた。
<日本とイラン>
イランと日本の関係の重要性は広く理解されていると思います。しかし、対イラン制裁などにより、国民の相手国にたいするイメージが影響を受けやすく、時として事実と異なることも多いと思います。穏健派のロウハ二大統領になり両国にとって新しいウィンドゥが開かれました。皆で喜んでいたところに米国でトランプ新政権が誕生し、イランに対して厳しい姿勢を打ち出そうとしているように見えます。そこで今回のセミナーでは、こうした状況の中でもこれまでの合意を守ってほしい、イランから破棄するようなことはしないで欲しいとうったえました。
<略歴>
1954年東京生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業後、荏原インフィルコ株式会社(現水ing株式会社)入社、中央研究所にて下水処理や有機性廃棄物の生物処理の研究開発に携わる。その後、食品廃棄物のような有機性固体廃棄物からエネルギー回収するメタン発酵技術の開発を主導。現在は水ing株式会社の唯一の女性執行役員として、技術開発を担当している。
<シンポジウムの手ごたえ>
私のプレゼンテーションでは、文明の発展に伴って水の使用量が増し、自然界の自己浄化のキャパシティを超え、このまま行くと資源としての水が枯渇するということをうったえました。水は、地表から蒸発した水分が降水となって再び地表や地下を流れて供給される、循環するリニューアブルな資源ですが、今の使い方を続けると足りなくなるということを皆様と共有したいと思いました。聴衆の皆様の顔を見ながら話しましたが、一生懸命聞いて下さっている印象でした。その後のコーヒーブレイクの時にもいろいろと質問していただきました。
イランとの文化交流は、国際情勢や政治状況が変化しても、長い交流史の中で途切れずに続き、外交関係を補完する役割も果たしてきました。 日本とイラン両国の協力関係の基盤を強固なものにするため、長期的な展望のもとに続けられる文化面からのアシスタンスにも光をあて、重層的な交流を継続してゆきたいものです。
<了>