中国経済セミナー登壇者インタビュー Vol.4 津上俊哉氏(日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家)
笹川日中友好基金は、中国の米中新視角基金会(周志興主席)の協力を得て中国経済セミナーシリーズ(全3回、2021年12月~2022年2月)を開催しました。本セミナーのコメンテーターとしてご登壇頂いた日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家の津上俊哉氏に中国の経済政策やその教訓等についてお話を伺いました。(2022年7月5日収録)
インタビュー要約:
―"Um Ghayeb" =「子のない母」という興味深いタイトルですが、この映画を通して。観客に何を訴えたかったのでしょうか?
まず、この映画を作りたかったのは、"Um Ghayeb" =「子のない母」という呼び名にとても惹かれたからです。私には、それが詩的にも思えたり、物悲しくも感じました。そんな中、ハナーンという女性に出会い、触発され、映画へのインスピレーションがわきました。この映画は、ただ子供を授かりたいという女性の話ではなくて、夢を叶えようとする一人の人間の話、そしてその夢は叶わないという話。「万が一夢が現実となったら、その人は幸せになるのだろうか?幸せとはただの幻想なのだろうか?」というのが、この映画の持つ重要な「問いかけ」です。
―映画制作はどんなものでしたか? 制作中経験した、困難や苦労はありましたか?
(映画の舞台の)上エジプトは、私の住んでいるカイロからは非常に離れていて、文化も非常に違います。ものの見方もステレオタイプで画一的な土地柄です。女性であることによって、自分一人ではアパートも借りることができません。また、当時は政治的に不安定な時期だったこともあり、映像を撮るという作業においても、カメラを持った私たちがそこにいるだけで懐疑的な人々もいました。撮影をしているだけなのに、実際に2度捕まり大変でした。
―あなたには確固たる意思や強さが感じられますが、エジプトにおいて女性で映画監督という立場でいるということの意味は?
我慢強くやっている、ということでしょうか。そして、自分を信じて限界に挑戦するようにしています。他にも多くのエジプト人の女性映画監督たちがいますし、彼女たちの映画も海外で上映され賞をもらうなどしています。長く続けていくには、彼女たちも私同様、とても我慢強くやっているのだと思います。国がどうこういうだけでなく、映画制作ということ自体が簡単な仕事ではないのです。
―笹川平和財団は 非営利で政治的制約のない民間団体で、様々なプログラムを社会に提供しています。今後どのような役割を期待していますか?
文化交流を継続していくことが非常に大切だと思います。というのも、日本はエジプト人にとても大きな影響を与えてきたからです。私の周りにも、日本の文化やアートや映画に対して、とても熱心な人々が多く存在します。日本と中東がお互いを知り、違いを学び合えるプラットフォームがあると良いと思います。個人的な意見ですが、アートはそれぞれの国の魂を深く映し出すものだと思うのです。これらの橋渡しをしてくれる誰かを見つけることが非常に重要です。