中国経済セミナー登壇者インタビュー Vol.4 津上俊哉氏(日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家)
笹川日中友好基金は、中国の米中新視角基金会(周志興主席)の協力を得て中国経済セミナーシリーズ(全3回、2021年12月~2022年2月)を開催しました。本セミナーのコメンテーターとしてご登壇頂いた日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家の津上俊哉氏に中国の経済政策やその教訓等についてお話を伺いました。(2022年7月5日収録)
インタビュー要約:
―バングラデシュは地政学的に非常に重要な位置にあります。アジアの国々や日本との関係は?
我が国は、外交的にも内政上でも、貧困撲滅・雇用と繁栄・工業化・貿易に注力しています。隣国インドの繁栄が、バングラデシュにも経済的好影響を与えている一方、中国とも親密な関係を築き、経済的に結びつくことを大切にしてきました。また、日本とは特別な関係があります。日本はバングラデシュを最初に承認してくれた国の一つであり、当初からバングラデシュ発展のために大きな援助をしてくれました。現在は、政府だけでなく、民間部門との結びつきを増やそうとしています。日本向け経済特区を設け、日本企業が事業を行いやすくしています。
―近年、イスラム過激派のISのようなグループの蛮行が世界中で不安や心配の種となっています。
我が国はイスラム国家ではありません。非宗教的な国家として、我々が強調しているのは多元的であることです。ヒンズー教徒・キリスト教徒・仏教徒・自然崇拝者・イスラム教徒が共存している寛容な社会です。だからといって影響を受けない訳ではなく、過激な思想は国境を越えて流れ込み、広がります。ですから、バングラデシュ政府は、効果的な対過激化や対テロ化プログラムを用意し、学生たちに就職の機会を増やし、過激主義や危険思想などへ道を逸れることを防ぐようにしています。
―「政府は消え失せるのか? ガバナンンスの将来」というタイトルの講演をされます。
どんな社会も、特に開発途上国では、政府なしで秩序を保つのは不可能です。 今日の世界においては、政府は、さらに大きな重要な役割を担っています。テロリズムとの戦い、サービス提供・社会正義の確保、そして市民への様々な保証など、政府の仕事はさらに重要です。しかし、伝統的な意味での政府は再構築されなければならないですし、市民満足度の高いサービスを提供しなければなりません。