2025年以降の世界の紛争、国際危機グループ 理事長コンフォート・エロ氏
世界が直面しているグローバルな危機とは何か、そして日本にどのような影響を及ぼすのか。国際危機グループ理事長のコンフォート・エロ氏と笹川平和財団の西田一平太上席研究員がこのテーマについて掘り下げ、ヨーロッパと中東で進行中の紛争、米中対立の激化、そしてトランプ2.0、グローバル・サウスへの影響などについて語り合いました。
インタビュー要約:
―バングラデシュは地政学的に非常に重要な位置にあります。アジアの国々や日本との関係は?
我が国は、外交的にも内政上でも、貧困撲滅・雇用と繁栄・工業化・貿易に注力しています。隣国インドの繁栄が、バングラデシュにも経済的好影響を与えている一方、中国とも親密な関係を築き、経済的に結びつくことを大切にしてきました。また、日本とは特別な関係があります。日本はバングラデシュを最初に承認してくれた国の一つであり、当初からバングラデシュ発展のために大きな援助をしてくれました。現在は、政府だけでなく、民間部門との結びつきを増やそうとしています。日本向け経済特区を設け、日本企業が事業を行いやすくしています。
―近年、イスラム過激派のISのようなグループの蛮行が世界中で不安や心配の種となっています。
我が国はイスラム国家ではありません。非宗教的な国家として、我々が強調しているのは多元的であることです。ヒンズー教徒・キリスト教徒・仏教徒・自然崇拝者・イスラム教徒が共存している寛容な社会です。だからといって影響を受けない訳ではなく、過激な思想は国境を越えて流れ込み、広がります。ですから、バングラデシュ政府は、効果的な対過激化や対テロ化プログラムを用意し、学生たちに就職の機会を増やし、過激主義や危険思想などへ道を逸れることを防ぐようにしています。
―「政府は消え失せるのか? ガバナンンスの将来」というタイトルの講演をされます。
どんな社会も、特に開発途上国では、政府なしで秩序を保つのは不可能です。 今日の世界においては、政府は、さらに大きな重要な役割を担っています。テロリズムとの戦い、サービス提供・社会正義の確保、そして市民への様々な保証など、政府の仕事はさらに重要です。しかし、伝統的な意味での政府は再構築されなければならないですし、市民満足度の高いサービスを提供しなければなりません。