2025年以降の世界の紛争、国際危機グループ 理事長コンフォート・エロ氏
世界が直面しているグローバルな危機とは何か、そして日本にどのような影響を及ぼすのか。国際危機グループ理事長のコンフォート・エロ氏と笹川平和財団の西田一平太上席研究員がこのテーマについて掘り下げ、ヨーロッパと中東で進行中の紛争、米中対立の激化、そしてトランプ2.0、グローバル・サウスへの影響などについて語り合いました。
インタビュー要約:
―パリで開催されたCOP21のサイドイベント、オーシャンズ・デイにおいて「海洋と気候に関わる政策提言書」を取りまとめ、提出されましたね?
世界の国々が、気候変動に関する政策を討議し、合意を導きだすために集ったCOP21は、歴史上でも鍵となる会議でした。SPF海洋政策研究所やその他の共催者と共に、海洋関連のネットワークを組織し、国際機関や政治的リーダーを集結させ、意味のある提言書を作成することが出来ました。私たちが大きな声を上げ政治的声明を出したことによって、法的拘束力をもつ合意書に海洋に係る記述を加えることが出来ました。
―国連の「2030アジェンダ」がかかげる持続可能な開発目標(SDGs)の目標14において、「持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用する」とありますが?
地球規模の全ての国家の合意があったことはとても意義のあることでした。ただ、初期段階で交渉の場にいた人々は海洋に関して限られた知識しか持ち合わせていませんでした。ですから、海洋が環境だけの問題ではなく、経済的にも社会的にも重要だということ理解をしてもらうことに非常に苦労しました。私たち人間の半数は、沿岸部か小さな島国に住んでいて、海洋を通じたあらゆる経済活動が活発に行われています。海洋の世界経済に対する貢献はとても大きいのです。太平洋島嶼国を中心とした開発途上の小さな島国が強い意見を述べ、海洋が優先順位の高い課題であることを政治的に働きかけました。
―気候変動と海洋関連の危機は切迫した課題として直面するべきと理解しています。もっと状況を知り、効果的に対応し行動することが重要かと思われますが、いかがお考えですか?
小さな島国では気候変動を食い止めなければ大変苦しむということはよく認識されています。基本的には、一般の理解度はここ数年で格段に上がったと思っています。 すでに豊富な科学的情報が提示され、また将来予測や海洋へのインパクトも示されています。これらの情報を人々に伝えることが大切だと思います。もし先に何が起こるか分かっていれば、それを回避するよう選択すると思うのです。私たちは子供や孫たちのために良い未来を確保するという責任があるのですから。