2025年以降の世界の紛争、国際危機グループ 理事長コンフォート・エロ氏
世界が直面しているグローバルな危機とは何か、そして日本にどのような影響を及ぼすのか。国際危機グループ理事長のコンフォート・エロ氏と笹川平和財団の西田一平太上席研究員がこのテーマについて掘り下げ、ヨーロッパと中東で進行中の紛争、米中対立の激化、そしてトランプ2.0、グローバル・サウスへの影響などについて語り合いました。
インタビュー要約:
―イスラム教は世界第2位の宗教ですが、最近イスラム過激派組織によって間違った印象が広がる傾向も見られます。
コーランによるイスラム教の真髄は「平和の宗教」であり、預言者モハメッドの使命は平和を全世界に広げるということです。ですから、世界中のイスラム社会内にISISやその他の過激派が存在しているということは、現代の世界や文明に対する挑戦ということだけでなく、イスラム教徒やイスラム社会への挑戦なのです。宗教の名の下に極端な暴力に走る過激派の根本原因を断ち切り、イスラム教とイスラム教徒を守る責務のために、我々は協力しなければいけません。
―イスラム教の改革が必要だとしたら、どう改革しますか?
イスラム教は、改革主義的宗教であると言えます。現代的要素を備えた平和宗教で、現代~将来の国際情勢に適応できるものです。過激派には、宗教とは別の(政治的)動機があります。我々は、過激派の脅威に対抗するために、平和で中庸な現代イスラム教を主流と説き、各国の団体・コミュニティー始め、政府や市民組織などと連携していくことが重要です。
―イスラム穏健派として、多様性への敬意を強調されていますが。
イスラム教では、コーランによって多元主義が認められており、他者をいかに受け入れるか、を大切にしています。私たちは、世界の多くの国々で、様々な信者や無信仰者、様々な国籍・民族と共生しています。異宗教間の平和的な共存と共生という方向性を広めていくことが重要です。
―『インドネシアにおけるイスラム教の課題と挑戦』という講演で参加者とシェアしたいことは何ですか?
インドネシアにおけるイスラム教を紹介したいと思っています。何百年も前に平和的な形で入ってきたイスラム教は、中東のイスラム教とは異なる部分があります。それは「平和的なイスラム」という点を強調した本質的なものです。過激派組織や原理主義者からの挑戦が、9・11以降顕著であり、我々もバリの爆弾事件などテロの犠牲者です。だからこそ、平和的イスラムを主流と説くイスラム穏健活動に力を入れています。もう一つ参加者と共有したいことは、インドネシアと日本の関係です。両国は兄弟関係にあり、多岐な分野に渡って未来に向けて強化されなければならないことを訴え、参加者からのフィードバックも欲しいと思います。