中国経済セミナー登壇者インタビュー Vol.4 津上俊哉氏(日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家)
笹川日中友好基金は、中国の米中新視角基金会(周志興主席)の協力を得て中国経済セミナーシリーズ(全3回、2021年12月~2022年2月)を開催しました。本セミナーのコメンテーターとしてご登壇頂いた日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家の津上俊哉氏に中国の経済政策やその教訓等についてお話を伺いました。(2022年7月5日収録)
インタビュー要約:
―日本を含むアジアの歴史問題について、どのようにお考えですか?
歴史問題は、アジアにおける政治問題の多くの根幹をなしていて、国際連携の重荷になっています。日中関係や日韓関係だけでなく、中印関係まで歴史によって圧迫されています。今は、皆で未来を見つめ前進する時です。アジア全体で、歴史がより良き繁栄した未来への足かせにはならないと証明していくことが大切だと思います。
―日印関係が 世界で最も急速に成長している二国関係だと仰っていますが。
日本とインドの連携は、地政学上、アジアを変えることが可能な関係性です。 アジアには、日本、中国、インドの3重要国が存在しますが、そのうちの日印の二カ国が協同すれば、アジアの平和と安定に重要な貢献者となりえます。近い将来、日本とインドの戦略分野における協力はもっと進むでしょう。すでに、両国で首脳会談を一年に一度行うという取り決めもなされています。
―日米同盟はインドやアジアの国々にとっても重要だと思われますか?
アメリカにとって日本はアジア戦略の中心で、日米同盟はアジアの平和と安定の要です。この関係は中国の修正主義によって、さらに重要度を増しています。 この日米パートナーシップは、広くアジアの平和と安定にとって非常に重要です。今、アジアでは、似た考え方を持った国々が友好関係を結び、網状の結合関係を作ろうとしています。それが、アジア・太平洋地域における力の均衡と安定をもたらすでしょう。
―日本の国際社会における積極的な役割を期待されていますね?
第二次世界大戦以降、他国に対して一発の弾も撃っていないという、素晴らしい記録を日本は持っています。世界中見渡しても、そんな記録を持っている国は中々ありません。しかし、何十年にも渡って日本は「受け身外交」を行ってきました。ただ、最近日本が積極的な役割を担いたいという兆候はかなり増えています。 積極的な日本というのは、アジアの平和と安定に必要不可欠です。平和的であるとともに、アジアの舞台で積極的な役割を果たすことが、日本にとってとても重要です。